おならプーちゃん

#フォロワーが5秒で考えたタイトルからあらすじをつくる
若苗色のオババさんが考えた題名

江戸時代
とある大名に仕えた女中にはとある悪癖があった
それは放屁
人間なので多少の出物はあれどその女中の放屁たるや大の男も吹き飛ばす
皆その放屁女中の側にはよらず、女中も迷惑をかけまいと近くの山で放屁していた
そんなある日、城の若君が寺への参拝中暴漢に襲われそうになった
相手はかなりの手練れで数も多く、お供のものも苦戦していた
しかし
「わたくしめにお任せを!」
身の丈小さく細身の女中に敵は
「あはれ腰抜け侍の助っ人はか弱きおなご」
油断し、女中を笑う
女中はしりを捲り
ばぶぅ
と今までにない大きな放屁で、ならず者達を吹き飛ばし、見事に敵を捕縛した
話を聞いた殿様は
「かくも頼もしき放屁女中」
女中を褒め称え、褒美として
『桃尻』
の名字を頂いた

これぞ桃尻家に伝わる放屁女中なり

『桃尻家縁起』より

高級志向で有名な下着メーカーランジェリー桃尻
そこのご令嬢桃尻宝子(ももじりほうこ)も生まれた時は普通のおならをしていた
しかし、歩きだしてからその威力は日に増し、祖先の放屁女中を彷彿とさせた
「このままでは学校でいじめられていしまう」
娘命の父は娘のために防音無臭のパンツの開発プロジェクトを立ち上げた

しかし宝子が小学5年の秋、事件は起こった
宝子は父の会社が放屁女中の逸話を宣伝し、更にランジェリーを名乗っていたため、勘違いした同級生にからかわれていた
名前も宝子をもじり
男子からは「へーこ」
女子からは「おならプーちゃん」
と聞かせてもいない放屁をネタにされた

彼女自身も
「自慢できる家柄もない貧しい庶民共が。悔しければ何か一芸を披露したら?おひねりくらいなら差し上げても良くてよ」
自身の家柄を自慢する鼻持ちならないご令嬢であった

そんな殺伐とした学校生活の最中
授業中の静まり返った教室の中

ぷぅ

放屁音が響く
「ぷークスクス」
「誰だよ…今屁こいたやつ」
小さな囁きが大きくなり
「静かに!」
教師の声も虚しく大騒ぎとなった
おならに対して多感かつ大人のように気遣いの出来ない子供達は魔女狩の暴徒のように犯人探しが始まった
「ここら辺だった!」
「じゃあ犯人はへーこじゃねえか!」
勿論言いがかりである
「あー確かにここら辺でしたかも」
女子もヒソヒソとささやく
「ぷーちゃんだしね」
「よし!決まりだな!お前が犯人だ!」
勝ち誇った男子に
宝子は心底見下した目付きで男子を見つめる
「で?その幼稚な根拠で無実の人間を貶めようとしているけど、間違っていたらどう責任を取ってくれるの?」
宝子は小学生ながら無駄に口も達者であった
「子供だからって女子を侮辱したのだから覚悟は出来ているのでしょうね?」
「うるせーへーこ!皆がお前が犯人だって言うんだよ!」
「いっつもへーこいてんだろ?くっせー!」
「やだー!」
一斉にわくへーこもしくはぷーちゃんコール
教師が大声で注意を促そうとした瞬間
宝子がスカートを捲りパンツを見せる
「ももも桃尻さん?」
愛らしいピンクの桃のデザイン入りの高級感溢れるパンツに一瞬静まり返る
「ランジェリーメーカーピーチヒップの社長の娘として恥ずかしくないものをとして身に付けているこの下着。はきごこちは勿論、防臭防音機能付き。あのような惰弱なおならごとき洩らしはしない!」
強気な宝子全員が引いた
「ヘンタイ…」
「濡れ衣を着せられて黙っていては桃尻の名に恥じると言うもの!」
更に下着を下ろし尻を向ける
「あのような惰弱なおならは私ではないと言う証拠を見せてあげる」
クラスメイトの絶叫と謝罪も虚しく
ばぶぅんっ
最強の放屁が教室中を襲い
文字通り学級崩壊となった

この事件は今もなおこの小学校では語られており、体験者達の黒歴史となっている
ついでに1人の生徒によってたかっていじめた挙げ句よりによって屁で報復されたアホの子だと噂になり、未だに針の筵とか

そんなエピソードを持つ宝子は小学校を無事に卒業後、良家の子女が通う名門校へ進学、高校生となった

この学校への入学の目的は実に世俗的
「政治家の息子とねんごろになり、更に姻族関係を結び、わが社の安泰は確実だ!」
政治家のバックがあればあれそれこれとギリッギリ法的にアレなこともしやすい

「パパの事は心底どうでも良いけど…」

ターゲットは大物政治家の息子御前貴様(みさき きよう)
イケメンで文武両道、人望も厚く生徒会長もこなす
そんな彼は面食いな宝子のモロツボに入った
宝子は持ち前の頭脳と被りに被った猫で生徒に取り入り、選挙で数々の妨害を父の権力も駆使し、見事に副会長の座を手に入れた
勿論、放屁防御機能パンツの開発も同時進行だった
「年頃の娘があちこちで放屁だなんて自殺ものよ!」

そんなこんなで御前とは放課後一緒に帰る仲にもなった
「友達レベルにはなったけれど、これからが肝心!交際を経て結婚まで漕ぎ付かないと」
とは言った物の
彼が奥手なのか、宝子が本命にはイケイケドンドンが出来ないのか、仲はイマイチ進展しなかった

そんなある日の事
「桃尻さん、ちょっと買い物に付き合ってくれないか?」
御前から誘われた
「はい、私で良ければ」
買い物の内容は彼の妹の誕生日プレゼント
「同性なら妹が喜ぶものがわかると思って」
「そうねえ」
端から見れば美男美女カップル
道行く人々が注目する
当然
「これ見よがしに俺の前でイチャイチャしやがってぇーっ!」
凶器を持った不審者も
ナイフを振り回し、泡を飛ばしながら絶叫する男に、人々の悲鳴が上がりパニックになる
「桃尻さん、僕の後ろに」
側にあった棒切れを持つ御前
「君は僕が守る!」
文武両道の武士を先祖に持つ御前は兎に角友人を守ろうとした
トゥンク
「御前きゅん…」
胸のときめきが一気に上がると同時に
(だけど…)
「これは私のポジションじゃない」
かつて先祖が主を守ったように
「私の先祖の名に懸けて!弱き民草を守る!」

不審者の前に立ちはだかる
「なんだぁ?」
棒切れを構えた男の前に立ちはだかる女
武器も何も持たない女
不審者はニヤリと笑い女を血祭りにあげようとすると
「愚民が!私の玉の肌をそんな安物の刃物で傷付けられるものか!」
スカートを捲り下着をずり下ろす
ばぼふぅうっ
激しい爆音は不審者を呆気なく吹き飛ばし
(終わった…)
不審者の暴走も宝子の恋も終わった
「桃尻さん…」
「あの…その…ごめんなさい」
普通であれば剣道の有段者である御前邪魔にならない程度に離れて震えていただろう
(でもそれは桃尻家の妙技(と言うか体質)の末裔として絶対に許されない)
「私…」
「君は放屁女中と同じ技が使えるんだね!」
宝子の両手を握る
「僕は君の先祖に命を救われた大名の子孫なんだ!」
目をキラキラと輝かせる
「御前きゅん!」
とぅんく(2回目)
「桃尻さん、いや宝子ちゃん。僕と付き合ってください!君のおならも含めて僕は君が大好きだ!」
「御前…貴様きゅん!私の事はプーちゃんとお呼びください」
プーちゃん

それは桃尻家の娘が真に愛する男からの最上級の呼び名
「ああ、おならのぷーちゃんの事だね」
「貴様きゅん!」
「プーちゃん!」
2人は抱き合い
ばふぅー
おならも2人を祝福した

この告白から2人は正式に付き合いだした

これだけならただのハッピーエンドだろう
しかし悪役令嬢である彼女の前に強敵が立ちはだかる

まずは正統派ヒロイン、放屁嫁の子孫御横目(およめ)
そして最強最悪の敵、貴様の実の母である姑との嫁姑戦争
そして現在、宝子の半生を執筆中の放屁女中や宝子と同じ放屁の威力を持つ
「宝子と貴様の娘風花(ふうか)!お母様には負けなくてよ!」 

宝子の戦いは尚も続く

おならプーちゃん

終わり

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