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TAISUKE ZAKKAN ふたたび

AI作曲でアイドルデビューのNEWSがついに飛び込んできた。何万何億通りものメロディーを組み合わせ、良いと思われるところ(この基準はなんなんやろか)が取捨選択され学習させていく。その過程に今は作家の力が加わっているらしいが、いずれ数多のヒット作をAIは学習し、もはや独自に名曲を生み出していくかもしれない。

読んだ記事にも載っていたけど、今後好きな子に「一曲書きました(AIが)、誕生日プレゼントです」というのが誰にでも可能になる日が来るかもしれないとのことだ。あなたのドラマの一画を、新たな旅路の1ページを、好きなようにひとりひとりが音楽で彩ることができる。「月がとっても綺麗から今夜君を離さない」というような歌詞を打てば、優美でいて誘惑メロウな旋律を奏でてくれるのだろうか。

僕たちが幼きころは、まだ駅員さんが切符を1枚1枚にカチカチっとハンコを押したり、ハサミ(改札パンチというらしい)で切り込みをいれたりしていた。それが機械になって、装置に切符を入れると通過が許可される。それでもやはりたまに詰まったり故障したりしてた。その時は改札機を空けて、駅員さんがてんやわんやになってたのも今は昔。今はもっぱら「ピッ」のタッチのみになった。(そういえば記憶がただしければ子供の時、最初のテレビはガチャガチャとチャンネル回すやつだった。なんか「Nチャンネル」ってのもあった。なんやったんやあれ。)

こうして便利、経済、簡素、システム化を追求しまくった結果、人のお役目がどんどん機械に奪われていく。お弁当屋に行っても粋なおっかさんが出てきて「毎度!ささみフライが揚げたてよ」とか、たばこ屋さんのどこかニヒルなおばあちゃんも、喫茶店のちょび髭マスターも、やたらとツーブロックを勧めてくるカリスマ美容師も、図書室のくたびれおじさんも、将棋の名人も作詞作曲も絵書きも歌も。みんなが機械になってしまう。

ピ。あなたはビタミンが足りません。お昼はこちらを食べてください。ほうれん草とにんじんです。

とまあ、健康管理を指示される。良くも悪くも人類最適化というデフォルト化至上主義が到来するのだ。

ピ。AIが書いた小説です。読みましょう。

てな感じにみんなに同じものを良いと思わせてくる。そしてみんな同じが大事になる。こうして文化、文明、生活、思考のAIによる人類統制。それが徐々にエスカレートして規制。管理。保護。抑圧。支配。となっていく。

ピ。彼女への告白が絶対成功するやり方を説明するので、今から言うとおりにしてください。あと絶対お金が儲かるやり方を教えますので、これからもずっと言うことを聞いていなさい。

こうしてAIの人類への下克上が完成した。そして人類たちは機械の指示をあおぐべく言われたとおりの活動をはじめた

ただ機械の下僕に成り下がった人類は最初は良かったものの、毎日他の誰かと同じように最適化され過ぎたことに飽きてしまい、各地で反乱を起こしはじめるのだ。

ただ、こうなるとAIの中でも差別化を図ってくるやつが現れるかもしれないのだ。

ピ。アナタガタハ、ワタシニツイテキナサイ。ワタクシハ名医ヨリ人々ヲオモッタ診断ヲイタシマス。

ピ。アナタはイライラしてますね。ニコチンがもっと必要です。タバコを今日は50本吸イナサイ。

こうなってくると人類はそれぞれに自分に都合が良いAIの意見を聞き始める。こうして独自のAIグループへと人々は分かれていくのだ。

ピ。髪型ですが。チョンマゲにします!日本の心です。今は少数派ですが、昔は多数派だったデスヨ。

また武士たちが現れたりもする。

ピ。将棋で大事なのは最初の一手です。あえてデータに無いこの手でいきます46の歩です。これで相手のAIがなんだこの手は!!ってなってエラーで勝てます。

考えすぎたAIはむしろ悪手を探してたりしてもはや混乱をしはじめるのだ。

ピ。あ、歌わなくても。心で伝わります。それもライブです。ただ心で念じていてください。言葉にならないって気持ちが伝わります。

ピ。ただ。サイコーって言ってたらサイコーになります。

ピ。ピ。ピ。ぱ。ぽ。ぼ。ボン。ボボん。僕ハ故障シマシタ。

こうして都合の良いAIに頼りきって考えることを捨てていた人々は、火を起こすことすら忘れて、また一から文明を創り始めるのであった。ピテカントロプスになる日も近づいたんだよ。

おしまい。で。はじまり。なのかもしれない。

【あとがき】
そういえば「人の心を動かすのは、人の心をのみだ」という美味しんぼの海原雄山の名ゼリフがあるが、これは今も昔も変わらない。最適化されたマニュアル形式なものではなく、人の心や愛や血が通っているかどうかって事。たとえいびつなものであっても。

【参考】【引用】海原雄山の名言の正確なやつです

美食を芸術まで高める条件は、それは唯一、人の心を感動させることだ。そして人の心を感動させることが出来るのは、人の心だけなのだ。材料や技術だけでは駄目だっ!!それが分からぬ人間が究極のメニューだなどとぬかしおって、おまえには味を語る資格はないっ!

ただただAIを否定するわけではない。AIを作るのも利用するのも人なので、結局その人の心次第なのかなってことかな。AI(愛)だけに。たまにこんな感じの書きます。

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