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神戸市外大に通訳部は誕生するか?

2022年3月5日。私は神戸市外国語大学で運営しているサークルを部活に昇格してもらうために、公認団体申請書を文化総部に提出しました。とこう書いてしまうとたったの一文なのですが、これにはちょっとした歴史があります。この記事はこの日に至るまでの活動記録です。

私は2019年に神戸市外大の大学院に入学しました。社内通訳として経験を積んでいた私は母校に社会人として入学しました。それ故に、通訳をより多くの学生に知ってもらいたい一心で、通訳勉強会 (Interpretation Study Group, ISG)というサークルを立ち上げました。

最初は部にしたかったので、ある管理スタッフに聞いてみました。ちなみに僕が学部入学した2005年の管理人のおじちゃんはすごく気さくで、会うたびに「おぉ〜元気しとるか?」など声をかけてもらったものです。沢山の世間話をこの管理人としました。

ところが2019年の管理人はかなり冷たい感じで、部を作りたいと言った僕に対して「そんなの無理よ。2〜3年の活動実績がないと部に昇格できないのよ」とあしらいました。その応対の仕方がいかにもお役所っぽかったのを今でも覚えています。今思い返しても腹立たしいのですが、すぐに部は作れないということが現実なのだと悟りました。

とはいえせっかく念願の大学院に入ったのだから、せめてサークルだけでも作ろうと思い、申請用紙をお願いすると、その管理人は面倒くさそうに「はい」と一枚の紙を渡しました。今思えば、これが全ての始まりでした。

この紙には名簿を記入する欄がありました。もちろん僕一人しかいません。そこで学部生で知っている友人に声をかけて、少し無理矢理ですが「ここに名前書いてくれる?」とお願いしたこともありました。その学生は大学内で知らない人はいないほど有名かつ秀才で、ISGは脱退しましたが今ではトヨタで働いています。

メンバーをどうしようか悩んでいると、大学院の入学式で声をかけてくれた学生が、また僕に声をかけてくれました。ここではO君としましょう。O君は僕が2015年に外大でスーパープレゼンテーションというイベントで英語プレゼンをしたときに学部一回生でした。なので年齢は10歳くらい離れています。彼はその時のことを覚えてくれていて、「大西さん、こんにちは。何してるんすか」と聞いてくれました。

「サークルを作ろうと思ってるんだよ。通訳の」と言うと、O君は「それ面白そうですね!僕入っていいですか?」と即答してくれたのです!これがどれだけ嬉しかったか。そして2022年3月の今、O君は今も創設メンバーの一人として、ISGにいてくれています。これからも私と共にアドバイザーとして残ってくれるようです。

外大に通訳のサークルがあるということを知ってもらわないと、という一定の緊張感があったので、コロナ以前は毎週の通訳練習場所として、他の学生にも聞こえるようなスチューデント・コモンズを選びました。ここは今でも通訳練習に使っているところで、この空間で多くの学生が私たちの通訳に興味を持ってくれた・・・のであれば嬉しいです。

O君は相当顔が広いようで、知り合いの女子学生を二人も紹介してくれました。この二人もISGに入ってくれまして、一人は見事放送業界に内定しました!このように初期のISGは、O君の人脈無しには成り立ちませんでした。

O君は人脈を頼みに人集めができましたが、一方の私は学部卒業してから9年も経っていたので、学部生で僕のことを知っている人はほとんどいません。ですが通訳の経験はあるので、通訳演習ができる環境作りに工夫していきました。毎週の通訳練習に追加して、以下の対外イベントを企画・運営・参加しました。

2019年7月:キャリア教育授業(布引中学校)
2019年10月:通訳デモンストレーション(外大祭)
2019年11月:ISG生が学生通訳コンテストで入賞
2019年12月:全国大学生マーケティング・コンテスト(MCJ)同時通訳担当
2020年2月:神戸通訳ツアー
2020年9月〜11月:Project-based interpreting (PBI) Season 1
2020年11月:ISG生が学生通訳コンテストで入賞
2021年2月〜3月:PBI Season 2
2021年8月:バーチャル観光 in 神戸「神戸の大学」出演
2021年9月〜11月:PBI Season 3 
2021年11月:通訳デモンストレーション(外大祭)
2022年1月:ISG Study Camp
2022年1月:ラジオ関西「ラフスケッチ」に出演
2022年3月:神戸通訳ツアー Vo.2 (予定)

Project-based interpreting (PBI)と言うのは、私が外国の友人をISGにお呼びして、ISGメンバーが本格的な通訳場面で日英通訳に挑戦するという企画です。修士論文でも書いた内容で、大学院の思い出の一つです。

中でもやはり感慨深いのは、毎年10大学ほどの代表が出場し、逐次通訳の腕前を競う学生通訳コンテストにおいて、2019年と2020年の二年連続でISG生が入賞したことです!2021年は残念ながら入賞しませんでしたが、当日に至るまでISG生がどれだけ練習・準備してきたか。それを私は絶対に忘れません。

このような優秀なISG生を見ることができたことは、私にとって大学院で1番の思い出です。

2021年12月末に修士論文を書き上げ、翌年2月には口頭試問を受けて、今は3月10日の大学院修了者の発表を待つのみとなりました。ISG生には私の他にも大学院生がいます。ここまで走り抜けて来た今、少し無気力になっているというISG生もいるようですが、それも無理のないことです。

気づけばISGは設立3周年を迎えました。思えば遠くまで来たもんだ、と。2019年に2~3年の活動実績を求められて「もう無理かな」と思った4月。そこから色々とやってきて昨日の公認団体申請があります。ISGは部活に昇格できるのか・・・?

学部生の時は二部軽音楽部という部に所属していました。その頃はこれまで先輩たちが作り上げてくれた部に入るだけで良かったし、そこで既に恒例となっているライブイベントとかに乗っかって音楽をするのは、確かに楽しかったのです。

ですが学部時代の軽音部が1を10にする活動だとすれば、大学院でのISGの活動は0から1を作り出す活動と言えるのではないかと、今になって思います。そこには認知の課題がありますし、自分たちの存在を逐一説明しなくてはいけない面倒さがありました。

ですが一方で、「今ISGがやっていることは、神戸外大にまだ存在しないものだ。僕達は開拓者だ」という意識はありました。30過ぎた大人が大学のサークルに何を真剣に・・・と思われるかもしれませんが、こんな楽しいチャンスを真剣にやらないでどうするのだ?と逆に思います。

今僕がやっている仕事や学業、サークル活動などは全て、英語や通訳という大好きなことの延長線上にあります。大好きな分野だからこそ、0から組織を作り出す気持ちも湧いてきたのだと思います。先駆者がいたり前例がある組織だと、こういう気持ちにはならないかもしれません。

果たして神戸市外大に通訳部は誕生するのか?また次回の投稿をお楽しみに!






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