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「京都のヨーコさん宅」239 音羽の滝

清水寺の横に小さな滝があり「音羽の滝」と呼ばれている。観音の化身である龍が水を呑むと伝えられ、毎年春と秋には12mもある布製の大きな龍が練り歩く。

平安時代、美しい姫が音羽の滝へやってきたところ、寺の僧が懸想して付き纏った。似たような話があるが、姫もしつこいストーカー被害に会い、新婚初夜を三度も邪魔された。たまりかね、知り合った士に退治を頼む。四度目、そうとは知らぬ僧の生き霊が枕元に現れたところを斬り殺された。生き霊でも殺されるのかと言う追求は置いておこう。

やがて姫は無事結婚したものの、難産で亡くなってしまう。殺された僧の呪いかどうかは分からない。たまたま老いの坂にある姫の実家に泊まった横川の恵心僧都の枕元に現れた姫の霊が「残った幼子の行く末が心配。どうか堂を建て供養してくだされば、女ごのお産を安産にします」と頼んだ。

現在、老いの坂にある子安地蔵の謂れである。西の端に住んでいたのに、何もわざわざ東の端にある滝にまで行かなくてもいいものを。突っ込みどころの多い逸話だ。

ちなみに老いの坂は大江山にあるので、元は大江の坂と呼ばれていたらしい。



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