「私はヨーコ JAL17期生」

  業界によってその世界にだけ通じる流行り言葉や略語がある。
 JALを退職した後、二度目の再婚の相手、安部譲二と共に経営していたJazzクラブにはいろんなジャンルのミュージシャンが出入りしていたが、彼らはよく、ひっくり返し言葉を使っていた。
 ジャズはズージャ、女はナオン、飯はシーメ、てな具合である。

 CAたちはというと、先輩で作語が好きな女性がいて、もっぱら彼女が流行り言葉の源になっていた。アンシンジラブルとは英語のアンビリーアブルと日本語の信じられないをくっつけた造語だ。うまく作ったものだ。言いやすい。たちまち全世界に広まった。あ、全世界を飛ぶJALの機内でだけ、という意味ですよ。
 他にもあったが覚えていないのは、「アンシンジラブル」ほどドンピシャの言い回しはなかったからだろう。
 世間ではスチュワーデスのことを、スッチーとかデス、と呼んでいた。
 deathなんて縁起でもない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?