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2020年

2020年もあと少しで終わりを迎えて、あっという間にお正月がはじまり、次第に季節が移り変わって温かい空気に包まれる。今年はどんな年だった?という聞かれれば、「出会い」の一言に尽きる。コロナウイルスの流行によって新しい生活様式が求められ、四季折々のイベントを思うように楽しむことができないまま時が過ぎた1年もあった。でも、私にとっては何よりも我が子と出会えたことが大きく刻まれているのだ。

2020年の幕開けは、年明け早々仕事に追われていた記憶がある。某テーマパークの新しいプロジェクトを手伝うため、人生ではじめてのプチ出張を体験した。泊りがけの取材を行い、パーク内の数あるアトラクションを自らで体験し文字に起こす。昨年度に転職後、慣れない業務に奮闘しながら充実した毎日を送っていたと思い。そんな矢先、1月の中旬ごろから体調不良が目立ち始め、生理もパタッと止まってしまった。『まさか?』とは思いながらも仕事に励みつつ、頭の片隅で妊娠という言葉に期待を膨らませながら、何度も裏切られてきた現実を思い起こす。そして2月上旬に意を決して妊娠検査薬を購入してみると、その結果は陽性反応だった。

それからは本当に怒涛の日々だったかもしれない。妊娠発覚後、産婦人科でお腹の子どもを再確認し、喉から手が出るほど望んでいたものを得られた幸福感に包まれるのもつかの間。妊娠初期のつわりに襲われ、身体を縦にすることができず、毎日気が滅入りそうだった。思うように食事もできず、大好きなお酒や煙草も楽しめない。仕事は急遽産休という形を取って、毎日ベッドに横たわりながら天井を見つめて。頭の中では常に不安が張り付いて、スマホを手に取れば「化学流産」などの恐ろしい単語ばかりを検索していた。妊娠初期の頃は、母体の状態に関係なく流産してしまうことがある。2週に1度の検診日でしか我が子を目の当たりにできないため、呪いのように流産という言葉が頭の中で蠢いていた。

その後、次第につわりの症状が和らぎ、腹部も少しずつ膨らみがましていった。流産のリスクが高い時期も無事に過ぎ去り、体調の回復とともに再び仕事を復帰することに。その頃には、世の中はあっという間にコロナウイルスの渦中にあり、新しい生活様式が求められて。会社でもリモートワークはが推奨され、Googleミートなどを使って画面越しに社内の顔ぶれを確認する。再び、仕事に追われる中で日々はあっという間に経過し、お腹もだんだんと妊婦らしいフォルムへと成長を遂げ。しまいには胎動を感じられるほどにまで子も成長している有様。いざ胎動がはじまると、それまで心待ちにしていたにも関わらず、あまりにも激しい動きに「おいおい…」と悩まされることも増えて。

10月に突入すると臨月を迎え、いつ産気づいてもおかしくない毎日。夫は日曜日しか休みがないので「そのタイミングで陣痛がくればいいね」なんて呑気に会話をしていた矢先、日曜日の夜にタイミングよく破水が起こった。その日は夫と買い物に行き、秋鮭の美味しい季節だし今晩はムニエルにしようなんて話していて、意気揚々とタルタルソースを作っていたら大量の水が放出された。すぐに病院へ連絡を入れて即入院となり、夫は月曜日の仕事を休むことになって。コロナ渦にも関わらず立ち会い出産の許可が降りたので、本格的な陣痛がはじまった段階で夫は分娩室に招かれた。そして、10月5の月曜日に娘が誕生した。予定日より1日早く私たちに会いに来てくれた彼女はとても元気よく大声で泣きわめいていて、壮絶な痛みを乗り越えて出会えた我が子に会えたその時、思わず泣いてしまった。大量に出血をしていたせいか、しばらくふらふらで食欲もわかず、ひどい貧血でトイレもまともに行けなかったことを覚えてる。入院中は看護師さんたちがとても良くしてくれて、はじめての子育てで右も左もわからない私を優しくサポートしてくれたこともあり安心して入院生活を送ることができた。夫は忙しい仕事の合間をみて毎日お見舞いにきてくれて、小さい我が子を抱いては感動の渦に包まれている。

退院後の1ヶ月は鎌倉にある実家に帰省し、子育て以外のすべてを実母にまかせていた。初孫ということもあり、母は娘を溺愛してしまって、父においては『娘だけ置いてお前(わたし)だけ東京に帰ってほしい』と言う始末。同じく義父母も初孫だったので、娘に会わせると頬を緩ませて小さい身体を大事そうに包み込んでいた。いろんな人に愛され、祝福され、この子を産んでよかったと胸が熱くなるびに涙がこぼれた。

彼女はすくすくと成長を遂げ、生後1ヶ月を過ぎた頃に夫の実家でお宮参りに。彼もお世話になった神社でお宮参りの儀式を終え、互いの家族が集ってお祝いのお赤飯をいただいた。


そして、あっという間に2020年も終わりを告げる。娘はもうすぐ3ヶ月を迎えようとしており、首も徐々に座ってきた。最近では人の顔をみるたび、120点満点の笑顔を浮かべて楽しそうに笑っている。少しずつ意思の疎通が取れてきて、彼女の要求もわかるようになってきた。まだまだ初心者マークの母親ではあるものの、日々彼女の成長に驚かされながら育児を楽しんでいる。たまにめげそうになる時もあるが、にっこりと姿をみていると疲れもすべて吹き飛んでしまう。

2020年は、我が子に出会えた特別な1年だった。そして2021年もまた、我が子の成長を見届ける素敵な1年を重ねていくだろう。貴女に出会えて本当によかった。素敵な1年をありがとう。また、来年もよろしくね。

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