10代
真っ黒な海の中、どう泳いでいいか分からずに「魚」は迷った。
周りには無人島を目指すイルカの群れや、
ひたすら暗い深海を目指すアンコウや、
はたまた目的など作らずに自由に泳ぎ回る人魚がいた。
その「魚」は自分がどこに向かって泳げばいいのか分からなかった。
ただ泳ぐだけでも苦しい。
お腹は減るし、天敵のサメに怯えて生きなければならない。
「魚」はなぜそうまでして泳がなければならないのか分からなかった。
なぜこの海に生まれ落ちたのかと運命を呪う夜もあった。
それでも泳がなければならない事はうっすら分かっていた。
絶望は私の呼吸を止めれるほど強くはない。
泳ぐのだ。
その身が朽ち果て、生を全うするまで。