オーストラリアの裁判所、AIは特許出願において発明者となることができると判断
オーストラリア連邦裁判所は、2021年7月30日、特許出願の願書においてAI(人工知能)を発明者として記載することは許される、との判断を示しました。
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本件で問題となった出願は、Dr. Stephan Thalerが出願した特許出願(出願番号:2019363177)です。同出願の願書には、発明者として、AIである「DABUS」(Device for the Autonomous Bootstrapping of Unified Sentienceの略)の名称が記載されていました。
オーストラリア特許庁は、オーストラリア特許法に基づいて願書に氏名を記載することが求められている「発明者(inventor)」は、自然人である必要があり、AIは「発明者」たり得ないとして、方式審査の段階で出願を却下する決定をしました。
これに対し、出願人はオーストラリア連邦裁判所に控訴しました。
オーストラリア連邦裁判所は、オーストラリア特許法における「発明者(inventor)」は条文上、自然人には限定されておらず、また、「発明者(inventor)」の辞書的な意味に照らしても自然人に限定されていると解することはできず、AIも発明者になることができる、と判断しました。
また、出願人であるDr. Thalerが特許を受ける権利を有するか否かという点については、裁判所は、Dr. ThalerがDABUSの所有者であることにより、DABUSが行った発明についてDr. Thalerが特許を受ける権利を有する可能性があると述べました(もっとも、裁判所は、方式審査の段階ではDr. Thalerがいかなる根拠に基づいて特許を受ける権利を有するかは判断する必要がないとして、この点についての確定的な判断は示しませんでした)。
Dr. Thalerは、DABUSを発明者とするPCT出願を行い、各国において審査が行われています。これまでに、米国、英国および欧州特許庁においては、DABUSは発明者となることができないという判断が示されています。他方、南アフリカにおいては、DABUSを発明者とする特許が2021年6月に登録されました。
今回、オーストラリアの裁判所が、AIも発明者になることができるという判断を示したことで、この問題についての世界的な議論がさらに加速することが予想されます。
(文責:乾 裕介)
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