無題

@空道のポジショニングマップ。論理的に考えると矛盾している。実におもしろい。

皆さん、こんにちは。久保家です。

久保家のリビングにはホワイトボードがありまして、毎朝、そこに夫が考えたことを描いて、朝ごはんを食べながら夫婦でディスカッションをしているのですが、その内容をコンテンツとしてまとめてみようというのが、今回の試みです。

昨日は、朝から田舎へ草刈りに出かけていたのですが、その道中にドライブしながら道元の有時の話をしていたら、妻から「抽象的な話ばかりすると疲れる。」と怒られてしまいました。反省しています。ごめんなさいm(_ _)m 夫の話はいつも論理が飛躍するので、抽象的な話でそれを連続的にされるとさすがに疲れる。ホワイトボードを使ったり、文字とした書き起こすと、自分自身が論理が飛躍していることに気づくのですが、それがない環境で連続的に話すと、抽象的になり過ぎて、意味をなさなくなる。

なぜだろうと考えますと、夫は井筒俊彦さんの「意識と本質」を夢中で何度も何度も読み込んでいまして、抽象的な話に慣れてしまっていたのですね。抽象的な話なのに、それが抽象的な話をしていることに気づかなくなる。これを、面白いほどよくわかる数学シリーズを書いている細野真宏さん
が、「思考の歩幅」と概念で説明しています。つまり、思考の階段を何段飛ばしにするかは個人によって異なるというわけです。一段ずつ上がる人もいますし、五段飛ばしくらいで上がる人もいるわけです。学者さんのような抽象的な思考が得意な人は、十段飛ばしくらいで、ピョーンと演繹的に考えることができる。しかし、その階段飛ばしの幅がずれると、会話が成り立たなくなる。よくある話です。

演繹的に考えることができるのと、他人と話をしてコミュニケーションできることは別です。夫は考えるのが大好きなので、四六時中散歩しながら妄想していますが、会話をすると、いつも話が飛躍しすぎると怒られます。要するに、ギアのコントロールが下手くそなのです。あたまの中ではビジュアル思考で考えているから、論理の飛躍や五段飛ばしが発生しても気にならない。でも、コミュニケーションをするためにシーケンシャルな言語に落とし込むと、「あれれ?」と思うことがある。そのまま話し続けると、どんどん会話が乖離していくわけです。共通言語の多い妻とお話するのは本当に楽しいのですが、そのためにも外へ出て知らない人と話をする機会を増やしていかないといけないなと思いました。

○空道のポジショニングマップ

枕が長くなりましたが、本題にうつります。夫はドローンが好きでして、この好きなもので生業をしていきたいと夢想しております。本業がネットワークエンジニアなので、遠からず近からずといったところですが、なにぶんIT業界も人材不足でございますので、夫のようなオッサンまで招集されて日々仕事に励んでいるわけです。35歳定年説は、どこに消えたのでしょうか(笑)

ドローンには、夢中になれる楽しさがありまして(これを私的言語で、無になれる楽しさと呼んでおります)、夫が入っている地域ICT推進協議会のドローンワークショップでも、オジサンたちがワイワイガヤガヤ楽しそうにドローンを飛ばして交流を深めております。好きなことに関する知識というのは、自然と頭に入るものでして、次から次へと新しいテクノロジーが身についてゆく。これがドローンワークショップの良いところです。

しかし、その半面、あまりにも楽しすぎて趣味の世界に没頭してしまうという弱点もあります。この感動をみんなに伝えたいという想いが強いのですが、なかなか思うようにいかない。実際に、ドローン体験会などを開催してドローン体験してもらうと、その楽しさの実感が伝わって深い興味を持ってくれるのですが、趣味の領域を出ることが難しい。これをビジネスにしてしまうと、今度は利益やらコストやらの概念が入ってきて、楽しいドローンへの興味が失われてしまうのではないかという不安もよぎります。

何か良い方法はないだろうかと試行錯誤していましたところ、「空道」という言葉がひらめきました。日本では何でも道になるというのは、本当かもしれませんね。もっとも、夫がいま人工知能や東洋哲学にハマっていて、それを伝えていきたいという想いが重なったことから、空道に至ったことは否めません。しかし、そこには間違いなく道といえる何かがあるなと感じました。本質直感によるビジョンは見えたので、それを論理で説明していく必要性を感じております。

そこで、まずは戦略の基本であるポジショニングマップを作成することにしました。戦略とは、違いをつくってつなげることです。ドローン業界は、すでに過剰ともいえるほどの競争市場に成長しています。あまりにも多種多様な製品が出てきて、何から始めてよいかがわからないようなカオスな状態になっています。これはインターネットが出てきたときのIT業界の様相に似ています。つまり、多産多死のレッドオーシャンになっているわけです。そこで、どのようなポジショニングを取るのかを考えるのは、生き残りをかける上で極めて重要なスタートラインといえるでしょう。

そこで、縦軸に市場の成長、横軸に強みをもったポジショニングマップを作成しました。具体的なパラメータとして、縦軸には(テクノロジー導入による)規模感、横軸には楽しさを指標として定義しました。

縦軸の規模感ですが、市場の成長によって規模の大きい産業が参入してくることになりますので、成長と規模感に相関関係があります。すでに米国ボーイング社のようなマンモス企業も民間領域に参入していますし、産業ドローンの雄である中国DJIのシェアが圧倒的シェアを誇りますので、ハードウエアで勝負する時代は終わっていると考えるのが合理的でしょう。

そうなると残るのはソフトウェアやサービスの領域ですが、こちらを「楽しさ」という観点から横軸にしてみました。そう考えると、規模は小さくても「楽しい」という強みをもって勝負をすることができます。例えば、楽しいドローン教室や個人の趣味向けのドローン販売、メンテナンスを行うといったお仕事があります。中小企業やベンチャー企業になりますと、ドローンの楽しさを強みにしたサービスをつくっていく戦略を立てるかたちになります。

しかし、この分野は、IT業界と同じく全産業に参入することができる「産業のコメ」的な領域ですから、多産多死のレッドオーシャンになることは火を見るより明らかです。過当競争になって薄利多売になり、売り手側が全員消耗していくという構造になっています。むしろ、見えないテクノロジーを扱うIT業界よりも、目に見えてわかるハードウエアが主役ですので、より参入障壁が低くなり、レッドオーシャンになることは想像に難くありません。

ドローンというのは最新テクノロジーの塊です。科学の領域においては、規模が大きくなるほどテクノロジーの集積度は高まります。誰もが、市場規模の大きい方向へ進みますが、そこには産業界の虎が寝ていて、うっかり尻尾を踏んづけたら大変なことになります。だからといって、楽しい方向に舵をきったら過当競争のレッドオーシャンが広がっている。既存の産業も参入してきて、血みどろの状態になっている。

それでは、ほかに道はないのでしょうか。すると、規模感と楽しさを除いた領域にポッカリと空いたホワイトスペースがあることに気づきます。過当競争でレッドオーシャンになっている中に、論理的に考えたら、そこはあり得ないだろうという領域が残っている。この「矛盾」の問題に立ち向かうが「空道」です。

規模の問題は「対立」の問題です。どちらかが勝ち、どちらかが負ける。弁証法というアカデミックな考え方もありますが、ビジネスの領域においてはM&Aです。そして、過当競争の問題は「差異」の問題です。これは解決しようがありません。そして、生物が多様な進化を遂げてきたように、多産多死の原理によって、自然淘汰されていきます。自然の摂理に従っているので、政府がバックアップしようが何をしようが、なるようにしかなりません。

しかし、「矛盾」の問題は解決することができる可能性があります。矛盾なのですから、知恵を振り絞って考えれば、ひょっとしたら解決できる可能性があります。そして、昔の日本人の人たちは、それを道として解決してきた。例えば、プリンターを使えば正確に文字が書ける時代に、いまだに書道は残っています。むしろ、書道をするという経験の価値が上がっています。外国人からも日本の伝統文化として、その価値を認めているわけです。

夫が思うに、昔から「利息」という概念はありましたら、資本主義の根本と成る論理はかなり昔からあったと思うのです。資本主義の論理に従うと、金持ちはより金持ちになり、貧乏人はより貧乏人になります。なぜかといえば、資本家にとって有利に動くように意図的に仕組みにつくっているからです。歴史的偶然性のように見えますが、構造の問題ですから、そこには必然性があります。このことを具体的なデータで示したのが、ピケティの「21世紀の資本」ですので、ぜひ読んでみてください。原書は分厚くて圧倒されますが、要約したエッセンス本で本質はつかめますので、そちらをおすすめします。

昔の人は、金持ちがより金持ちになり、貧乏人がより貧乏人になるビジネスの論理を使うことなく、生きるために必要な「生業(なりわい)」として、その問題を解決してきました。ですので、夫も同じことができるはずだと信じて、空道を進んでいきたいと思います。

いかがだったでしょうか。皆さん(妻)はどう思われますか。

○本日のおすすめ本

【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!
高橋 洋一 (著)
単行本(ソフトカバー): 160ページ
出版社: あさ出版 (2015/2/20)


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