#2

ワンルームの部屋の真ん中にある長机。その短辺にそれぞれ座って食べる。
君がフォークを刺す。君がナイフで切る。君がフォークを口に運ぶ。君の口が時計回りに動く。君の喉が動く。
一連の動作があまりにも自然すぎて、プログラミングされている見本の動きを繰り返しているだけかのように見えた。
余りにも僕が熱心に見ていたのか、君は少し恥ずかしそうにして、食べるのをやめてしまった。

西洋製のクマのぬいぐるみが棚からその様子を見ている。カーテンは揺れて、外からの光は通す癖にこちらからの接触を絶たせる。そんな世界、部屋の中。

世界の中にはさらに小さな世界があって、その外にもより大きな世界がある。君が気まぐれで目玉焼きの黄身を割ったように、僕らのいるこの小さな部屋も何かで壊れてしまうかもしれない。例えば地球に隕石が降って僕らの世界が壊れたとして、それを僕らは恨むことができるのだろうか?

この部屋の中には、世界が、たくさん。
この部屋の外にも、世界は、たくさん。

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