齋藤正彦著『線形代数入門』第3章解答

厳密性はやや失われているところもあります、間違いはご指摘お願いします。

ご不明点はコメント等でご連絡ください。
飽きなければ続けます。
少し飽きてきました。


(1)

(イ)

$$
n+1行目で余因子展開をすると、i列目の余因子は\\
\tilde{a}_{n+1,i}=(-1)^{(n+1)+i+1}\cdot x^i(-1)^{n-i}=x^i\\
よって\\
\displaystyle{\sum^{n}_{i=0}=a_{i}x^{n-i}}
$$

(ロ)

$$
明らかにx^{n+1}の係数が1であるxのn+1次式.x=a_i(i=1,2,_\cdots ,n)を代入すると,\\行列のi行目とi+1行目が一致するので,求める多項式は(x-a_i)を因数に含む.\\
2,3,_\cdots ,n+1行目を1行目に加えると,1行目はすべてx+a_1+a_2,_\cdots ,a_{n+1}となり(x+a_1+a_2,_\cdots ,a_{n+1})を因数に含むことがわかる.\\
これらの積はxのn+1次式を形成し最大次数の係数が1である.よって求める値は\\
\displaystyle{(x+\sum^n_{i=1}a_i)}\prod^n_{i=1}(x-a_i)
$$

(ハ)

$$
与えられた行列をn×n行列、求める値をA_nとおき、数列\{a_n\}を考える.
1行目で余因子展開を行うと\\
A_{n+2}=(1+x^2)\tilde{a}_{1,1}+x\tilde{a}_{1,2}=(1+x^2)A_{n+1}-x^2A_{n}   (n>0)\\
A_{n+2}-A_{n+1}=x^2(A_{n+1}-A_n)\\
A_0=1+x^2 , A_1=1+x^2+x^4より\\
A_{n+2}-A_{n+1}=x^{2n}x^4=x^{2n+4}\\
A_{n+1}=A_n+x^{2n+2}  (n>1)\\
よって\\
A_n=1+x^2++_\cdots +x^{2n}
$$

(ニ)

$$
余因子展開をすると\\
a^4+b^4+c^4-2a^2b^2-2b^2c^2-2c^2a^2\\
=a^4-2(b^2+c^2)+(b^2-c^2)^2\\
=a^4-2(b^2+c^2)+(b-c)^2(b+c)^2\\
(a^2-(b-c)^2)(a^2-(b+c)^2)\\
(a-b+c)(a+b-c)(a+b+c)(a-b-c)
$$

(2)

(イ)

$$
2,3,4列目にそれぞれf,e,dをかけて全体をfedで割る.\\
(3列目)\cdot(-1)と4列目を2列目にかけると\\
\frac{1}{fed}
\begin{vmatrix}
0&af-bc+cd&be&cd\\
-a&0&de&ed\\
-b&0&0&df\\
-c&0&-fe&0
\end{vmatrix}
=\frac{1}{f}
\begin{vmatrix}
0&a&b&c\\
-a&0&d&e\\
-b&0&0&d\\
-c&0&-f&0
\end{vmatrix}\\
2列目で余因子展開をすると\\
(af-bc+cd)^2が求まる.
$$

(ロ)

$$
|A|=|{^tA}|=|-A|=(-1)^n|A|=-1|A|\\より|A|=0
$$

(3)

(イ)

$$
\begin{vmatrix}
A&B\\
B&A
\end{vmatrix}
=
\begin{vmatrix}
A+B&B+A\\
B&A
\end{vmatrix}\\
=
\begin{vmatrix}
A+B&O\\
B&A-B
\end{vmatrix}
=|A+B||A-B|
$$

(ロ)

$$
\begin{vmatrix}
A&-B\\
B&A
\end{vmatrix}=
\begin{vmatrix}
A+iB&iA-B\\
B&A
\end{vmatrix}\\=
\begin{vmatrix}
A+iB&O\\
B&A-iB
\end{vmatrix}=
det(A+iB)det(A-iB)=|A+iB|
$$

(4)

$$
1列目にn列目,n-1列目,\cdots 2列目をα,α^2…α^{n-1}した値をかける.\\
すると,1行目は順に\\
x_0+αx_1+…+α^{n-1}x_{n-1}\\
x_1+αx_2+…+α^{n-1}x_{0}=α^{n-1}(x_0+αx_1+…+α^{n-1}x_{n-1})\\
\vdots\\
となる.ことより\\
x_0+αx_1+…+α^{n-1}x_{n-1}=0のとき行列式は0となり、それを因数に含む.\\
また,αのとり方はn通りあり、それぞれのαに対してx_0+αx_1+…+α^{n-1}x_{n-1}は独立である.\\
求める値が明らかにx_0のn次多項式であることと最高次係数を比較すると,それは\\
\prod_{α^n=1}(x_0+αx_1+…+α^{n-1}x_{n-1})\\
であることがわかる。
$$

(5)

$$
(4)においてn=4,x_1=i,x_2=1,x_-iである場合と一致している.(4)の式を代入すると\\
\prod(x+αi+α^2-α^3i)\\
=(x+i+1-i)(x-1-1-1)(x-i+1-i)(x+1-1+1)\\
=(x+1)^3(x-3)
$$

(6)

$$n個の式を代入するとaに関するn次連立方程式が得られる\\
係数行列の行列式はヴァンデルモンドの行列式と一致しており,\\xがすべて異なるという条件からその値は0ではなく、解はただ一つ存在する
$$

(7)

$$
行列の形にすると\\
\begin{pmatrix}
a&-b&-a&b\\
b&a&-b&-a\\
c&-d&c&-d\\
d&c&d&c\\
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}x\\y\\z\\u\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}1\\0\\0\\0\end{pmatrix}\\
この係数行列の1列目と2列目,3列目と4列目を足し引きすると\\
x+z=\frac{a}{z^2+b^2}\\
y+u=\frac{-b}{a^2+b^2}\\
x+z=0\\
y+u=0\\
が得られ\\
x=-z=\frac{a}{2(z^2+b^2)}\\
-y=u=\frac{-b}{2(a^2+b^2)}
$$

(8)

$$
平面ax+bx=czを考える\\
|…|=0になるのは3つの平面が(1)直線を共有しているか,(2)全く同じ平面であることのいずれかである.\\
この直線、または平面のz=-1が問で与えられた3直線の交点である.
(1)\\
直線がz=-1を通るとき,これは3直線が一点で交わることを表している.\\
z=-1を通らないとき,3直線はすべて交点を持たない.つまり平行である.\\
(2)\\
3直線が一致していると同義である.\\
よって,まとめると\\
・3直線が一点で交わる\\
・すべて平行\\
・全く同じ直線\\
のいずれかである
$$

(9)

$$
明らかに平面を表す式である.\\
x,y,zにx_i,y_i,z_iを代入すると|…|=0となることから,この平面はP_iをすべて通る\\
よって題意は満たされた.
$$

(10)

$$
(1)Aが正則かつA^{-1}が整数行列\\
(2)Aの行列式が\pm1\\
とおく\\
(1)\Rightarrow (2)\\
A,A^{-1}が整数行列であることから|A|,|A^{-1}|はともに整数.\\
|A||A^{-1}|=1より|A|=\pm1以外取り得ない\\
(2)\Rightarrow (1)\\
|A|≠0よりAは正則.\\
A^{-1}=\frac{\tilde{A}}{|A|}=\pm \tilde{A}\\
よりA^{-1}は整数行列 
$$

(11)

(イ)

$$
^tA_σは(i,σ(i))のみが1の行列である.よって\\
A_σ ^tA_σ=E\\
$$

(ロ)

$$
実際に行列の積を計算すれば明らか
$$

(ハ)

$$
detA_σ=\displaystyle{\sum_{τ}\text{sgn}τ  x_{1τ(1)}x_{2τ(2)}…x_{nτ(n)}}\\
=\sum_{τ}\text{sgn}τ  x_{τ^{-1}(1)1}x_{τ^{-1}(2)2}…x_{τ^{-1}(n)n}\\
=\text{sgn}σ^{-1} x_{σ(1)1}x_{σ(2)2}…x_{σ(n)n}\\
=\text{sgn}σ^{-1}\\
=\text{sgn}σ\\
より題意は示された
$$

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