上田麗奈 1st Live Imagination Colors 感想(3/14配信)

3/14日のうえしゃまの初ライブの感想です。
長くなるけど、結論は一言。最高なので見ろ。3/21まで視られるぞ。

セトリ

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1. 海の駅

 1曲目からすごい引き込まれる曲。
 配信が蓋絵から映像に切り替わった思ったら、映されたのは照明の落とされた会場。下ろされた紗幕には揺れる水面のような映像が映し出され、波の音だけが響いてる。既に世界観たっぷりである。
 そこから波の音にかぶさるようにイントロが始まり、うえしゃまが歌いだす。曲が始まったときは紗幕を下げたままにしておいて、途中から上げるという演出が入っており、なるほどこれが本当の幕開けかって思った。

MC

 曲終わりすぐにMC。緊張してるって言ってるけど全然そうは見えない。「寝ちゃってもいいです。」と言ってくれたけど、結果として眠るどころか目を離すことすらできなかった。

2. sleepland

 うえしゃま劇場の出発点。このときはまだこっから17曲連続で歌うとか思ってなかった。
 MC後、椅子に座ってサイドテーブルに置かれた本を開いてから歌いだすという導入からしてお洒落である。本のデカさでメルヘン・メドヘンを思い出したのもポイント高い。そのまま本をめくりながら読み聞かせのように歌うのも世界観あってよい。座りながらちゃんと歌える歌唱力の高さは見直してから気づいた。
 カメラの角度で本の中身がちらっと見えたのだが、ページごとに絵と歌詞がセットで書かれてるようだった。全部確認したいので普通の書籍サイズでいいから出版してほしい。もしくは衣装展とかで展示して。

3. fairy taleの明けに

 前に引き続き、座りながらの歌唱始まり。そのままかと思いきや、途中で椅子を立ったかと思うと、辺りをきょろきょろと見ながら駆け出す。この辺からライトは少し暗くなり、うえしゃまの身振りも本当にどこかへ迷い込んでしまった子供のようで、不安感と危うさが増していく。
 そのままセットの階段を昇りながら歌っていくうえしゃま。この辺から動きも大きくなって、表現のレンジも広がっていくような感じがした。実際、ここから上田麗奈の表現力に会場全体、画面の向こう側までのみこまれていくので、これはまさに「さぁ、連れてゆくよ」の歌詞の通り、ここから始まる一幕へ向けた序曲のような立ち位置になっていたんだと思う。

4. 誰も私を知らない世界へ

 3曲めから少しの間をおいての始まり。拍手も許さぬ空気感の張り詰め方が凄い。それでいて歌ってるうえしゃまは結構笑顔なのもギャップある。可愛い。
 間奏で階段を下りたかと思ったら、後半から歌に合わせてセット転換。新しい世界へ向かうという歌詞の内容に沿った演出であり、演者一人に対してステージ全体の形が変わるので結構スペクタクル感もある。
 ラストの方でうえしゃまがアップになるのだが、そこでカメラがわざとフォーカスをちょっとだけ外して戻すということをしていて、味が出ていた。
 曲終わりにはカメラが全景に切り替わり、転換が完了したステージが映される。この辺でスイッチャーも完璧だと思った。

5. 花の雨

 前の曲終わり、いったん暗転してからの始まり。暗転中に鳥のさえずりが聞こえてからの入りであり、曲の幸福感が更に増していたように思う。
 マイクも手持ちからスタンドに変更。スタンドを握るうえしゃまの手つき好き。ちょっとすがるように持ったり、指でとんとんリズムを取ったり、演技なのか素なのか分かんないけど可愛い。左右に揺れるステップも可愛い。足元のアップからなめていくカメラさんがいい仕事していた。
 全体に一番可愛いが詰まってる曲だったと思う。

6. たより

 引き続き明るめの曲。さっきまで暖色だったライトの光が寒色になってちょっと雰囲気が変わったが、まだ安心感の方が強かった。
 「丸いまぶたの中」で指で丸を作るうえしゃまが好き。

7. きみどり

 前の曲終わり、暗転してからの始まり。ここの暗転時、ステージの後ろに立てられた大きな木を下から紫の色でライトアップすることで不穏な空気が出ており、重い曲が来るかと一瞬思ったが、その裏をかいてのきみどりの優しいイントロ。緊張と緩和の使い方が上手すぎた。
 スポットライトに一個だけ黄緑のライトが混ぜられており、ライティングもかなり凝ってるなと気付いた。そもそも、暗転時に出していた紫系統は黄緑色の補色なので、あの時点で術中だったわけだが。後、ここのうえしゃまの表情、切ないような優しいような感じがして好き。

8. Falling

 ここで歌なしのFalling。袖へはけたので衣装替えのタイミングかと思ったが、特にチェンジはせずそのまま出てきたので、本当に間を置くための演出だったよう。
 アルバムでもこの曲から次のティーカップへの流れは出色の出来だったが、舞台ではライティングの演出も相まって更につなぎとして素晴らしいものになっていたと思う。アルバムだと前曲の「あまい夢」がリフレインのように断片的に挟まれるのだが、今回はそれを抜いてるので結構印象が違ったのもある。

9. ティーカップ

 イントロと共に登場。くるくる回るうえしゃま可愛いなーと思ってたのだが、曲中でも何度か回っており、ラストは回りながらしゃがみ込むという終わり方をしていた。気づいたら最初は明るかったライトもかなり暗くなっており、最後はスポットライトのみ。しかも歌い終わりと共に暗転する。
 アルバムでもこの曲は明るさを持ちながら「いつか、また。」へ向け緊張感を作る役割を担っているように思ったが、今回のライブは更にその役割を強くしていたと思う。最初は楽しそうだったうえしゃまの歌い方も、徐々に迷い込んだ不思議な世界への怖さや戸惑いを孕んだ感じになっており、ラスサビは音源以上に色んな感情が感じられた。

10. aquarium

 今回のハイライトの1曲。いや、全部ハイライトだけど。
 うえしゃまの真骨頂とも言える、心臓に直接触ってくるような歌い方が堪能できる曲だが、ライブ版はもはや歌というより演技の方が近いと言っていいくらいだった。
 普通に考えて「苦しそう」に歌っていたらステージとして成立しないはずなのだが、なぜかうえしゃまの場合は成立する不思議。肺いっぱいに空気を吸い込んでいるはずなのに息苦しくなるような独特の感覚に、聞いてるこちらまで陥ってしまう。サビ終わりの「Ah」とか、凄すぎて鳥肌が立った(そして、こっから先ずっと消えない)。曲終わりで一度はけて戻るほど間が置かれたのだが、現場は誰も拍手どころか身動きすらできてなかったのでは。

11. 旋律の糸

 引き続き、身動きができないまま緊張感ある曲。気づいたら後ろに立っていた木の葉が全て落ちて枯れており、季節は冬になっていたらしい。
 aquarium では手を顔の横に持ってきて感情を表現していたが、この曲では一転して手を胸に当てたまま歌っていたのが印象的。というか、途中自分で自分の首を絞めるようにしていた。凄い歌い方してる。ラストに向かうにつれ絞めが緩くなって、手がほどけるように横へ落ちていく流れもあり、改めてうえしゃまは身体全てを使って表現してるんだなと思った。

12. 毒の手

 うえしゃまの曲で一番イントロが鮮烈な曲。今回はさらに赤と青の光を交互に点滅させるという手法も加え、視覚的にも鮮やかさを出していた。1つ前の「旋律の糸」が背景、ライティング共に白一色だったのも合わせて対比が効いており、物語の転回点を印象付けていた。Empathyの曲が続いていた流れを、こうしてRefRainへと接続させるのは天才のセットリストだと思う。うえしゃまが考えたらしいので、つまり、うえしゃまは天才。
 歌い方も先ほどまでとは変わっており、祈るように合わせたりマイクやスタンドに添えられていたりしていた。手だけのアップを映すカットが何度か挟まっており、カメラの人もよく分かってるなという感じ。

13. 書庫の少女

 引き続きRefRainの曲。歯車の音から始まるリズミカルなイントロに合わせて、幾何学模様が回転するというライティング演出が光っていた。
 さらに2番が印象的。自嘲したような笑い交じりの歌い方をしつつ「ここじゃないどこかにいくの」という台詞を入れるところがばっちり決まっており、歌の世界へ取り込まれてしまった。いや、既に世界は飲みこまれていたのだが。

14. Another

 ここでまた歌なしの曲。暗転から雲間の光のような上からのスポットライトを挟み、光の瞬きと共にステージが展開される。ここまでの流れがかなり緊張感を持ったものだったので、ここはチルアウトタイムということだったのだろう。後、次の曲への布石。

15. いつか、また

 Anotherで一息つけたかと思った瞬間に、突然のこの曲。聞いてて心臓止まるかと思った。板についたうえしゃまへスポットライトが当たらないまま歌い始めたので、最初どこにいるか分からずビビったのだが、これも多分演出。
 全体的に音源より更に感情が籠ってる歌い方をしていたライブだが、この曲は最も雰囲気が変わっていた。特に、ラストの方をうえしゃまが「笑顔」で歌っていたのはかなり驚いたところ。
 これは完全に私的な解釈なのだが、音源とライブでは歌うときの視点が変わっていたのだ思う。この曲は閉じこもった主人公の元へ外へ連れ出そうとする人がやってくるという感じの曲なのだが、音源では「扉をノックされる側」で歌っていたところを、ライブでは「扉をノックする側」で歌っていたのではないだろうか。そのため、最後は笑顔で開放するように終わる。
 とりあえず、ラストの笑顔が次の曲の多幸感に繋がっていたのは間違いない。

16. アイオライト

 ここで緊張が完全に緩和される曲。
 終始笑顔な上、カメラに向けて指差ししてくれる余裕を見せてくれたうえしゃま、本当に可愛い。
 「色づけ世界」の歌詞と共に冬のように白く枯れていた世界に光が差し、緑にあふれたステージに戻っていく。ここから次の曲への流れで季節が戻っていく様子が鮮やかに描かれていた。

17. あまい夢

 最高に甘々な曲。前からの流れでずっとニヤニヤしながら見てしまった。
 ステージの上に登って客席に向けて笑顔のレスを送るうえしゃま、本当に可愛い。さっき披露していた息苦しいような歌い方はひょっとしたら夢なのではとも思えるが、それも合わせて上田麗奈なんだよな。

18. ワタシ*ドリ

 17曲連続の最後。結果的にだが、ここで一度休憩を挟まなかったら見てる側は体力がもたなかったのではないだろうか。
 歌詞の通り、くるくると変わるうえしゃまの色々な表情を見せてもらったここまでのステージ。それを踏まえたうえで最後の「一緒に行ってみる?」が凄い刺さる。aquariumの表情とかを考えると安易について行っちゃいけないの気もするのだが、それでもついて行きそうになる魔性のものがある。

MC

 ここでやっとMC。会場みんな、ここまでできなかった分の盛大な拍手を送っていた。

19. マニエールに夢を

 MCを挟んでからのサトジュン曲2連続の1曲目。
 サトジュンの曲は多幸感と広がりがあるので、ラストにはピッタリだが、キー高いのでここに持ってくるのは勇気ある決断と思う。いや、うえしゃまなら普通に歌えるんだろうが。
 「日々は繰り返す」という歌詞はそのまま、ここまでの一連の曲の流れを象徴しているかのようであり、この点でもラスト前に相応しい曲。

20. あなたの好きなメロディ

 大団円という感じの曲。ラストに相応しい広がり方と歌い上げ方。
 高らかに響き上げる高音が綺麗に出ており、ここまで18曲も歌ってきたとは思えない声量に圧倒される。ラスサビでは花びらも舞い、旅の終わり、物語の終わりに相応しい感じになっていた。
 歌い終わって一礼してから、あえて何も喋らず歩いて行き、開いた本を閉じて去っていくうえしゃま。ラストにバイバイって手を振る姿が最高にかわいかった。

EN1. リテラチュア

 衣装を変えてからの曲。ラストで本を閉じてからの、今を生きる私の物語という曲順が完璧である。
 個人的に「好きだから選ぶ、選びながら私になっていく」の歌詞が好きすぎて去年の秋には座右の銘にしてたのだが、うえしゃまの歌い方が最高に感情こもっててよかった。
 ラスサビからアウトロで指切りするように手を出すのが次の曲への布石になっており、アンコールまで物語性が作り込まれている。

EN2. Campanula

 アンコールにして更に魂が震えるようなバラード。聞き入ってたけど、改めてここでも声がぶれずにしっかり歌えてるのすごすぎる。
 前曲での指切りが「いつも笑っていて いつでも幸せでいてね」というおねがいの曲につながる流れ、最高。

MC

 最後のMC。
 「泣かないって決めた」って言いつつ泣き出したり、ライブとアルバムを言い間違えたり、うえしゃまの素が出ててほっこりした。 

EN3. Walk on your side

 正真正銘、最後の曲。ここで初めて手拍子を煽るというのがこのライブの凄いところである。
 アンコールのMCであった「チーム上田麗奈には、みんなも含まれているからね」という言葉からタイトルの「your」が俺たちのことだって分かるのが、本当にエモい。

全体の感想

・セットリスト素晴らしい
 改めて見直して感じたが、考え抜かれたセットリストである。
 EmpathyとRefRainそれぞれがとてもよくできた曲順だっただけに、どうまとめるのか気になっていたのだが、全部杞憂だった。特に「いつか、また」の歌い方を少し変えることで位置にぴったりと当てはめるところとか、アーティスト上田麗奈にしか思いつかない。

・配信映像が神
 今回のライブ、配信で見るのが正解だったと言ってもいいくらい映像が良かった。配信じゃなくてライブBDの同時視聴なのでは、と何度か思ってしまった。
 演出意図を理解したカメラワークに加え、スイッチングも完璧だったのが大きい。うえしゃまが水分補給しようとしたタイミングでアップになっていると素早く全景に切り替わったり、暗転中もこまめにカットを変えたり。世界観を崩さないようにしていた。

・うえしゃまの体力凄い
 中盤まで世界観に圧倒されて意識できなかったが、持ち曲21曲全て披露してるのに最後までパフォーマンスの質が一定というのは普通に凄い。特に後半に音域高い曲を持ってきて一切かすれてないのは驚異的と言ってもいい。

・間奏、曲間の空気
 ライブで大切なのは歌ってないときの空気の作り方、とはKing Of Stageことライムスター宇多丸の言葉だが、その観点で言うとこのライブは満点だった。曲中のマイムが歌詞と同じか、それ以上に意味を持って訴えかけてくるので、だれるところがない。曲間、特にインスト2曲の間も惹きつける考え抜かれた舞台演出も素晴らしいと思う。

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