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おそるべき、ひとやすみ書店

大型書店より本の数は少ないはずなのに、大型書店よりも読みたい本が見つかる書店。。
金欠なので今日は本は買わないと決めていたのに3冊買いました。私が意思が弱いのではありません。
ひとやすみ書店に行くと、いつも心とシンクロする本に出会います。今!ほしいと思っていた本というか。伏線回収してくる本屋。まじで怖いです。なんなんでしょうか。

今まで行ったことのある中で、1番小さな本屋なのに、ちゃんとジャンル充実してるの不思議です。
気づいたんですけど、その秘密は自己啓発系の本がないってことですね。嫌な気持ちというか足りない気持ちにならなくて済む。。

今日行ったサカタさんの写真展utopiaの、あなたを作った10冊コーナーでみてほしいと思っていた『みみをすます』

ちょうど谷川俊太郎さんの詩集を一冊ほしいと思っていたところだったので余計に気になりました。
初版は1982年。
サカタさんは、もう発売されていないかと思っていたそう。
ここにならありそう、と思ったらやっぱりありました。。
(ていうかTSUTAYAにはあったけどね。)
しかも古本。思わず買うしかないですね。?
レジで城下さんに、前に神保町に「みみをすます書店」があったんだよと教えてもらった。
人がお店の名前にするほど心にささる本って。。という話をしました。
そういえば、前にサカタさんも、本が由来になったお店のお話をしていました。
「SNOW SHOVELING」
村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』に何度も出てくる「文化的雪かき」という言葉。
私は文化的雪かき的なことをするのは嫌いです。
というか雪かき的なこと。
生活的なこと。ただ誰かがやらなくてはいけないこと。あと実際の雪かきも嫌です。したことないけど。
北のほうには住みたくないです。
でも、やらなくてはいけない、ではなくて、やりたいと思ってやっているやりがいのあることも、地球規模でみれば、誰かがやらなくてはいけないことをやっているにすぎないかもしれないとおもいました。
保育もそうだし、お店もそうだ。

そして、
文化屋雑貨店の本。

文化屋雑貨店は、少し前に開店祝いだと言って、縁側店主りこがくれた本、三品輝起さんの『すべての雑貨』に出てきて気になっていたお店。

さっき気づいたことだけど、『すべての雑貨』は帯にある"雑貨化する社会"という言葉が印象的すぎて、この本の話をひとやすみ書店でした時、私タイトルを「雑貨化する社会」って言ってたわ。。それで話通じてたから城下さんすごい。。雑貨化する社会ってどういうこと、って思いますよね、読んだら納得しました。

「すべての雑貨」はあまりフューチャーされることない『雑貨』というジャンルを突き詰めたお話。さすが有名雑貨店FALL店主。

私は、雑貨って、理論なしに、「いい」と言えるところが好きなんです。
例えば絵を買う時、これを買うほどの知識はないとか、ぐだぐだ劣等感を抱かなくていいんです。
例えば洋服だとこうはいかないです。似合うかどうか、とか考えなきゃいけないから。これを身につける自意識、、とか余計なことを考えなくていい。自分、を切り離せるというか。
買えば簡単に手に入るところとか。なんか食べ物と似てるな、「おいしい」が正義というか。雑貨は、「なんかいい」が正義。感覚に直結している。
なんかそういう雑貨ってなんなの、漠然と思っていたものを、より考えたのって、前に東京であった「雑貨展」に行ってからなんです。その雑貨展のことがこの本で語られてることも嬉しかった。


なかでも特に心に残ったのは「十一月の谷」のコラム。
星の王子さまグッズにおいて大切なのは目に見えることであるという皮肉。。
ムーミンは物語ではみんな神経症的な性格なのに、キャラクター化しているというお話。。
印象的だった章は、長く店をつづけていると店を介して誰かと誰かが仲良くなったりしてできるコミュニティーがある。お店で扱う雑貨のジャンルを選ぶことは、ひいてはお客さんを選ぶこと。
そして三品さんは、じぶんが気にいった雑貨だけであふれる職場が、鍵のかかった息苦しい部屋のように思えてしたかなかった時期があるという。
この文章に、私は目が醒めるような衝撃を受けた。
だって私はそれこそ求めていたものだったから。
お店の周りに、コミュニティーができること。お客さん同士、誰かと誰かが仲良くなったりすること、気に入った雑貨にあふれた空間で過ごすこと。
それは自分の価値観でだけ生きようとすることなのかもしれない。
色んな価値観に出会うことを喜びとするならばもしかしたら、それは虚しいことかもしれないということ。
実際にお店に立っている人だけの持ち得る感覚だと思った。
それはユートピアかディストピアか。
やってみないと分からない。カウンターの外側からは絶対に見えないからね。

さて、「キッチュなものからすてがたきモノまで」というキャッチーなフレーズ。
宇宙百貨やら大中やらのはしりとなった伝説の雑貨屋がかつて原宿にあった文化屋雑貨店とのこと。
中学生の頃、宇宙百貨で、はげたおじさんのノートやらチャイニーズな雰囲気のテーブルマットやら、色んなものをめちゃくちゃ買っていた。
あのポップでシュールな世界観がすごく楽しかったんだよなー。

私もお店にフレーズつけたいな。
「わくわくする雑貨から物語を感じる雑貨まで」語呂悪いな。
気になっていた雑貨屋の本、しかも新刊バーゲンブックになっていた。買うしかないですね。はい買いましたとも。

あと、今日行った写真展utopiaのサカタさんと、今日行った「もちつもたれつ」の宮崎しんやさんが撮影しているこの本。

お店のセレクトがめちゃくちゃ良かったのと、タイミングが良すぎて買わなきゃ、ってなりました。

そしてひとやすみ書店に置かせてもらっているzine「カフェの神様」残り少なくなっていました。
この空間にあってこそ手にとってもらえてる部分がすごくあると思うので本当にありがたいです。結構なスペースをとっているし、、。
しかも今回分からポストカード付きで値上げしていたのでどうかな、、と気にかかっていたので良かったです。
どんな方が買ってくださったのだろうか。気になります。
次回こそ早めに納品できるようがんばります。。。

ひとやすみ書店の入り口には、城下さんの文章で、小さいお店だから何も買わずに出るのは申し訳ないなってもしかしたらもしかしたら、思うかもしれないけど、そんな風に思わなくて大丈夫です。ハンカチでも新調しな。っていう心遣いの言葉が書いてあります。個人のお店でそれを言えるって本当にすごいということが今なら分かります。なかなか言えないです。

しかし、そのステキな心遣いによって、何この本屋、、素敵やん、、この人から本買うしかないわ、っていう逆の心理が働くことに気づきました。
この人から買いたい、という心理って不思議だなと思います。この空間にお金を払いたいと思わせるお店、この人にお金を払いたいと思わせる人って何がちがうのか、ということをこの頃ずっと考えています。

そういえば今日はサカタさんとも、ダテさんとも、城下さんとも、黒い部分を持つ人って面白いよね、という話をしました。
お店の店主、黒い部分がある人おおいよな。しかし影こそ魅力です。光トカゲ。
キラキラトカゲのことを思い出しました。

心を許した人にだけ黒さを出して、そうでない時は黒さが出ないように当たり障りないような風に、カメレオンのように生きてきたように思うけど、それよりも、面白き黒さ、鮮やかな黒さを表現できるように。

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