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どんな仕事をやってきたのか(プロダクトマネジャー編)

私がどんな仕事をやってきたのか、ということを書いてみます。
こちらで書く内容は個人的な見解ですので、その点はご了承くださいね。
長くなりましたので分けて書きます。

どんな会社で働いてきたのか

私が所属している会社は、業界でいうとITゼネコンと呼ばれるような「伝統的」なIT企業です。Web企業やスタートアップのようにキラキラした雰囲気もありませんし、オフィスは平凡です。ソフトウェアのエンジニアなのにスーツで出勤するのは当たり前、という雰囲気でした。スーツでキーボードを打っていると、机にすれて袖がテカテカしてくるのが気になります。
最近は緩和されていますが…。

そして、会社のビジネスの中心はSI。つまり受託型のビジネスです。目の前のお客様の難問に取り組み、ITで課題を解決するという仕事ですね。
私はこの会社に新卒でSEとして採用されました。

しかし、そういったSI中心の組織にあって、なぜか私はSIをやってきませんでした。たまたま新卒で配属されたところが、ソフトウェアの業務パッケージ・ソリューションを開発・展開する部署だったからです。配属のときは驚きました。でも、今考えても幸運だったと思っています。

それからずっと同じ会社で働いています。もう十数年です。
それでも、人とは少し違った歩き方をしてきました。

一歩目: 業務パッケージ・ソリューションの開発

この仕事はSIとは似て非なるものでした。
何が違うかといえば、そのソフトウェアプロダクトの仕様を決めるのが「自分たちである」ということです。市場を先読みし、喜ばれる商品を自分たちで作っていかなければなりません。つまり、正解は目の前の顧客が持っているとは限らないのです。

まさに正解のない仕事。
しかも、私が担当したプロダクトは黎明期でした。
先輩も上司も正解を知りません。それどころか、SI中心の会社ですので、プロダクトの開発に関するノウハウがきちっと整理されていませんでした。SIの開発標準やマネジメント体型はしっかりしているのに。ミドルウェアの開発部隊はいましたが、それとも少し違う気がする…と悩みました。

そこから数年間、プロダクトを成長させ、チームを育成し、自ら売る…という生活が始まりました。ノウハウがないので、マーケティングやマネジメントの本を読み漁りました。文字通り、試行錯誤の日々でした。

最終的に、なんとかビジネスを軌道に乗せることができました。
BtoBでユーザ数が10未満という状態から100を超える急成長でした。

成長期はバタバタなもので、外から見たイメージとは程遠いものです。
仕事の90%がバグつぶしという時期もありました。悩みすぎて、自分たちのプロダクトが問題になって新聞に載る悪夢を見て、うなされたこともありました。プリセールスで手痛く敗退したことも数知れません。

そして、大好きなプロダクトの戦略立案と実行に使える時間は、わずかなものでした。しかし、とても充実感があったと思います。

振り返って少し疑問だったことがありました。なぜこのビジネスを入社3年目の陰キャラSEに任せたのか。役職もなく、職位はサブリーダクラス。それなのにやっていることはプロダクトマネジャーに他なりませんでした。
そこで、最近になって異動前の上司に聞いてみました。そうすると、

「ビジネス規模が小さかったからだと思うよ。他に人がいなかったし。」

という答えが返ってきました。実に幸運だったと思います。

正直、少しやりきった感があり、新しいことをやりたくなりました。
その一方で、自分のプロダクトをこのまま強化していくと、いつか市場が飽和し、レッドオーシャンに突入するという予感がありました。IT化されていなかった業務をすべてシステム化した後には、差別化するところがなくなって価格の競争が始まるからです。

そこでふとあるアイデアが生まれたのでした。2009年末のことです。

転身: 勢いでデータ分析の世界に足を踏み入れる

2009年末。担当しているプロダクトのビジネスが安定してきたころ。
目標だった100ユーザを突破し、次の手を考えていました。

悶々と考えていたとき、ふと自分のプロダクトのデータテーブルが目に入りました。そこでこう思ったのでした。

「アナログな業務をシステム化すると、紙よりも多くのテーブルを実装することになるのはなぜだろうか。」

人が頭で考えて、手を動かして紙に記録する作業。それをシステム化すると、なぜかデータテーブルの数が紙よりも多くなるのです。それは第三正規形にするから、というだけでないような気がしました。おそらく、人の頭でやっていることを分割し、ルールベースに置き換える過程で増えるのだと思いました。

逆に言えば、これらのデータテーブルは人の暗黙知。このデータを起点に、人がやりたいと思っているけどアナログでできないことを実装すれば、大きな付加価値になるのではないか? そう考えたのでした。

そしてちょうどタイムリーに、記録データを統計的に見てみたいという先進的な要望がきました。統計的というキーワードはかなり懐かしいものでした。大学で講義をとった記憶はありましたが、さっぱり忘れていました。自分でやろうと思ってもわかりません。当時は、自分たちのエコシステムにもそういったスキルをもった仲間もいませんでした。

そこで、自分でやってみようと思ったのでした。
早速、社内の人員公募を調べてみると、研究部門から「データ分析・データマイニングの研究員募集」という案件を見つけました。募集内容を見てみると、以下のようなことが書かれていました。

・データ分析・マイニング技術の応用研究を実施。
・未経験者でも可。
・ビジネスに繋がる企画や製品化も行う。

これだ!と思って手を上げて面接を受け、合格しました。
こうしてデータ分析の世界に足を踏み入れることになったのです。
まだ、一般に機械学習という言葉もAIという言葉も浸透する前の話です。
ちょうと「ビッグデータ」という言葉が出始めたところでした。

しかしこのとき、「未経験者でも可」という言葉の怖さをわかっていなかったのでした。(次の記事に続きます。)

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