2018年、買ってよかった建材3選
屋上というチームで店をやることにしたので、2年間放置されていたボロボロのスナックの居抜き物件を借りて改装作業をやっている。
チーム内には建築や空間デザインの専門知識を持っている人がいないので、Web、聞き込み、観察などで得られた知識を頼りに暗中模索の素人仕事で様々な作業をやっていった。
その過程で、これまでの生活では扱ってこなかった様々なものに触れる機会があった。その中でも、建物や空間を直接的に構成する「建材」を買ったり使ったりする体験はかなり新鮮でおもしろかった。
そもそも建築は、人間を収容する必要があるので、基本的には人間よりも大きいサイズになる。その建築を作るために必要とされるマテリアルも、人間のサイズや、普段の生活の中で体験するスケール感を超えたものであることが多い。
品揃えが豊富なホームセンターに行くと、巨大な木の板、めちゃくちゃに重いコンクリートブロックの塊、硬くて重い鉄の棒などといったものに、人間のスケール感を超えた崇高さのようなものが感じられて楽しい。それらを耐荷重200kgの巨大な台車に載せて、ローマ帝国の戦車みたいになったやつを無理やりレジまで運んでいってお金を払うのはもっと楽しいし、それを持ち帰って切ったり打ち付けたりして空間の一部に落とし込むのはもっともっと楽しい。
そんなこんなで建材を選んで買って使うという体験はとても楽しいんだけど、その中でも特に良かったと思ったオススメ建材を3つ選んで紹介したい。
ラーチ合板
針葉樹の合板。
合板というのは、木を大根の桂剥きのように薄く切り出して、それを重ねて接着剤で張り合わせたものだ。
大体どこのホームセンターでも、1820mm×910mmで厚みが12mmのものが1枚あたり1000円ちょっとで手に入る。
価格が安いのもあって、無垢材やシナ合板などと比べて低質な素材だとみなされることが多い。そのままだとガサガサした質感でささくれ立って危ないし、使い方によっては結構安っぽく見える。
しかし木であることには変わりないので、丁寧にやすりをかければとても触り心地の良い質感になるし、乾性油やワックスで仕上げるとかなりすべすべになる。
12mm1枚では弱くても、2枚重ねにしてボンドで接着すれば、それなりの量感と強度が出る。
そして何より、木目がおもしろい。板ごとに全然違った木目が見れるし、無塗装の状態でそのまま使っても様になる。
安くてどこでも手に入るけど、工夫や使い所によって素晴らしい結果をもたらしてくれる素晴らしい建材だと思う。
吉野石膏「C-トップ」
我々が借りたスナックの居抜き物件には窓が無い。
窓があれば自然光を取り込んで開放感のある店内にできたかもしれないが、無いものは仕方がない。閉じられた空間の中で、どうしたら落ち着ける場所を作れるかを考える必要があった。
例えば、壁が全て真っ白な塗料で塗られていたら、息苦しい空間になってしまう。
なるべく均質ではない、表情のある仕上げにすれば良いのではないかと考え、壁紙や塗料を使わないことにした。
普段よく目にするザラザラの壁に使われているのは漆喰だが、漆喰は単価が高い。
そこで「C-トップ」というプラスター材を使うことにした。
本来は下地として使用されるものだが、むき出しにしても強度などは問題ない。シーラーを塗ったあとに、適当な柔らかさになるように水で混練して、適当に壁に塗っていけばそれなりにうまくいくので、初心者にも扱いやすい左官材だと思う。
漆喰よりもグレーがかった色味で、なんとなくコンクリートっぽい感じが気に入っている。
コンクリート平板
250mm×250mm×50mmのコンクリートの塊。
コンクリートなのでめちゃくちゃに重い。これ一つでも、ギリギリ片手で持ち上げることができないぐらいの重さ。
これは店舗ではなく、自宅内で局所的に防音措置を施す必要があったので防音材として10枚弱購入したのだけど、めちゃくちゃに重いだけあって防音性もすごくてその役目はしっかり果たしてくれた。
ホームセンターのカートに合計100kgぐらいのコンクリートの塊を積んでレジまで押して歩くのは、マッド・マックス〜怒りのデス・ロード〜という感じがありかなり楽しかった。
存在感がすごくて、家の中に置いておくとバグっぽさがあって良い。
コンクリートの塊を買って家に置くという行為の楽しさだけのためにコンクリートを買っても良いと思う。おすすめです。
ただコンクリートの塊は粗大ごみでも回収してくれないので、処分時にめちゃくちゃ困ると思う。
そんなこんなで施工中の店舗「屋上」を2019年1月14日にオープンさせるべく、まだまだあれこれ手を動かしています。
サポートしていただけたらそのお金で建材などを買います。
よろしくおねがいします。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?