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20mgと37,611分のコーティング

窓を容赦なく叩く風と、怒り狂ったように急に爆音で鳴る雷。私の嫌いな季節がやってきた。きらきらきら、今年ももう終わる。

ちなみに半分はイメソンです

この時期の数少ない楽しみの一つ、Spotifyの今年一年のまとめ。去年は思わずストーリーで自慢したくなるような素敵ラインアップだったのに、今年のトップソングのリストを開いてすぐ全てを悟り、2023年の自分には心底がっかりしてしまった。

この曲をいつ一番聞いていたかまでご丁寧に算出してくれるので、そのデータを見て、なおさら胸がざらりとする。4月、5月、6月、10月。私がnoteのタイトルにしなくたって、全部覚えてる。薬を飲んだ後に来る吐き気を掻き消すように、涙が出ても曲のせいにできるように、リピート再生にして頭に響かせて祈りを捧げるみたいに睡魔を待っていた。


この1年、ちょうど今の天気みたいに私は暴れ続けた。noteやTwitter、迷惑がかからないように辞めたそれらが意味を成さず繰り返してしまう友達へのLINEを振り返っても、どの時の自分も他人事のように思える。その時々の気持ちをこんなに丁寧に吐き出しているはずなのに、「どうしてそんなことで泣いていたんだろう?」と外側から無慈悲に、しゃがみ込む過去の自分の丸まった背中を、茫然と見ている気持ちになる。

そう考えると、8月みたいに「元気なうちに会って遊んで、あとは死んでもいい!」と遊び回っていた時期も含め、今が一番落ち着いている気がしていた。でも、それが本当の自分かどうかは分からない。今の私には、10月より倍になった「精神を安定させるアイツの魔術」がかかってる。


累計3回目の占いに行った。
行く前までは、正直何を聞いたらいいのか分からなかった。会社の中で何なんだそれは?と思うことは日々発生するけど、すごく気持ちが軽いまま退勤できていたし、仕事ができる、雑談ができるようになった自分が毎日嬉しかった。仕事のミスが続いても、私が悪い、頑張ろうと思える自分が誇らしかった。

でも実際占いに行ってみると、口から出てくるのは不安、不安、不安。そして手を握られて「薬が強いからモヤがかかっていて霊視ができない。その会社を薬を飲みながら続けるとロボットになる、何もメリットがない」と告げられた。

何でそんなこと言われなきゃいけないんだろうと思った。せっかく、穏やかでいれたのに。大丈夫だと思っていてもいつかドーンと落ちる、自分が自分で分からなくなる…。脅し文句のような結果に悲しくなり、さらにそれでもなお「やっぱりかー!」とならず、辞める気はならない自分が怖かった。


それから1週間が経とうとしているけど、私は完全にその結果に引きずられていた。辞めなければやばい理由と、辞めてもいい理由を探すようになっていた。

私が1月、辛くなったのはどうしてだっけ。3月行けなくなった時はどんな気持ちだったっけ。おじさんを信じてしまったのはどの一言からだっけ。「じゃあ薬増やしてみる?」と言われ、どうして先に会社を辞めなかったんだっけ。

ちょうどよく3月までの仕事を任せられたり、おじさんに呼び出されて説教されたり、クレーム対応したり、取引先に謝らなければいけなくなったりした。新しい人が入ってくるのに付随して、また会社のバカな部分が露呈して、爆発寸前で会社を後にしたりした。

これで涙が止まらないなら、辞めてもいいのかなあ。でもこれって私が弱いだけ?具合悪くなりたいだけ?私が全部暴露して暴言を吐いたら辞められるのかなあ。

毎晩ぐるぐる思考が止まらない。帰り際ギリギリで止めた本音を車内で吐いたら、犯罪者寸前で笑ってしまった。会社で表情筋が動かなくなり、誰かに話しかけるのが怖くなって初めて、1月の感覚を思い出した。

いつもなら、文章はここで終わっていた。吐き出すだけの現状報告。ゆっくり死んでいくだろう気持ちの可視化。でも今の私には「憂鬱を抑えてくれるアノ子の呪い」がかかってる。


湯船で死んだようにハローワークを見ていたら、なんか良さそうな求人を見つけた。そして私は気づいた。明日からもバリバリ仕事して、続いてたミスも改善して、めちゃくちゃ頑張りたい!みたいな態度で、そのまま転職するのがいちばんの半沢直樹なのでは?

あの頃みたいに、このまま無表情になって、仕事のやる気なさそうで、休みがちになって、、あ、それで辞めたのね。仕事の量やばくしてなかったのになんなんだろう、病気だよねやっぱりって言われたり、お前らのせいだ〜!!!て毎日発狂する妄想したりしてるより、今薬で元気ならそれを利用して、あの環境からあざした!!て急にいなくなるのが一番良いのでは?

でかい原因とか、自分が具合悪くなったとか、占いとか、別に待ってなくていいんだ。単純に、ここよりいいところがあるかも!ってポジティブに上を目指した風だって良くないか?

ねえ、この会社で部署異動で適応障害になったことと、悪口祭りなこと、経営やばいことは事実なんだよ。君は一年辛かったんだよ。

私は目をかっぴらき、湯船からざばっと立ち上がった。

薬とか占いとかカウンセリングとかに縋ってしまうことを、過剰に気にする必要はないと思う。だけどやっぱり私は薬をきっぱり辞めて友達とお酒を楽しく飲めるように戻りたいし、少しでも母の心労を軽くしたい。毎月1万近くかけてやっと普通でいられるのも、なんてバカなサブスクをしているんだと悲しくなる時がある。


植え替え成功の証

銀河街の悪夢も、24も、歌詞だけじゃなくて後半にかけてBGMがどんどん強くなって音の数が増えていくのが大好き。

クレッシェンドが魔法みたいに私を動かす。音楽のボリュームを上げた分だけ、再生時間が増えた分だけ、薬の量が1mgでも減ればいい。

明日は金曜日。好きな音楽をかけて会社に行こう。


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