リクルート(HPグルメ)とぐるなび

市場動向

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外食産業全体の市場規模は25兆7692億円、料理品小売業(中食)を算入した広義の市場規模としては33兆929億円となる。高齢化、女性の社会進出等のライフスタイルの変化によって全体では拡大傾向にあり、特に中食需要の伸びが大きい。

集団給食は減少傾向にあり、特に事業所において大きな減少傾向となっている。こちらはより良いワークライフバランスを実現するための取り組みの活発かによって出勤日数が緩やかに減少傾向にある(参考:厚労省)ことが一因とみられるが、この分は営業飲食や中食需要の上昇に移行していると思われる。


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一方で、2020年3月以降は新型コロナウイルスの影響によって外食産業における消費が大きく減少した。特に4月においては緊急事態宣言の発令に伴い外食店舗は営業時間の短縮を要請されたため休業する店舗も増え、また営業を続ける店舗でも客数が大幅に減少し、売上は前年比が60.4%となった。

業態別データを見るとテイクアウト需要に対応ができたところは比較的減少幅が少なく、ファストフードや中華が60~80%以上の売り上げを維持するなど踏みとどまっている。一方で、麺類や焼肉など店舗での飲食が中心となる形態は厳しく、特に名指しで危険性が指摘されていた居酒屋やパブといった形態の店舗は前年比10%を下回るという壊滅的な打撃を受けた。

緊急事態宣言の解除と共に多くの店は営業を再開し、客足も若干回復したがwithコロナの時代においては外食に対する客の心理的障壁画上がっていることは間違いなく、売り上げが例年並みに回復するとは考えがたい。ウイルス対策にかかるコストも負担として加わる中で、各店舗としてはいかにこの外食控えを乗り切れるかが重要となる。

ビジネスモデル

リクルートに代表される、顧客と事業者の間を繋ぐ構造をリボンモデルをいう。ホットペッパーグルメとぐるなびで比較すると両サイドのニーズを満たす取り組みを行うため性質は似ているが、顧客サイドと事業者サイドのどちらに特にフォーカスしているかで立ち位置・特徴が見えてくる。

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(出典:リクルートのすごい構"創"力)


BMC_ぐるなび

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①主な提供価値の違い

一般ユーザから見た提供サービス自体は大きく変わらないように見えるが、HPグルメは主にtoC, ぐるなびはtoBを中心としている。

toCの提供価値:「意思決定を助ける情報の提供」
toBの提供価値:「集客力」

HPグルメは開設当初より飲食店予約のオンライン化に注力し、「ネット予約可能店舗数No1」を訴求し続けている。それに伴って特に予約システム周りのUXが優秀でユーザ満足度も高い。ユーザ課金ではなく店舗からの加盟店料と予約手数料により収益を得るモデルで、2020年3月には392億円の売り上げ収益を計上している。(参考:株式会社リクルートホールディングス2020年3月期決算短信

一方でぐるなびはtoB向けにフォーカスしており、単なる集客サイトではなく飲食店向けの経営支援に注力している。ネット予約手数料による売り上げも大きく増加傾向にあるが、店舗との長期契約(ストック型)が全体の売上309億円のうち約77%を占める。

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(出典:株式会社ぐるなび2020年3月期決算説明会資料

②店舗業務支援の違い

withコロナの時代においては外食の出足が例年と比べ減少することが予想され、予約手数料の売り上げは低水準になると見られる。飲食店としてはコストを抑えたい反面一層の集客努力が必要となるため、集客サポートをはじめとした業務支援サービス需要が増加することが予想される。

HPグルメの提供する業務支援としてはまず予約台帳アプリとPOSレジアプリが挙げられる。これらは無償提供のため売上には直接影響しないが、特にコロナの影響を大きく受ける小規模店舗においては人件費の削減も重要な課題であり、業務効率化の重要性とともに需要は増していくと思われる。
ただし(その他有料オプションに顧客管理やDM等のサービスもあるが)、いずれも同様のサービスがぐるなびにもあるためあまりパッとしない印象で、いずれも予約→来店という既存のフローを効率化する枠組みの中にある。

業務支援という観点では「ぐるなび大学」を通したセミナー開講、人的サポート体制に基づく情報共有など、飲食店の経営全体に対するサポート体制をもつぐるなびに大きな強みがある。こうしたサポートを求めた新規顧客の獲得も期待され、コンサルティングも含めた経営支援によって苦境に立たされている店舗を支援しつつ売上を維持・拡大できるかがポイントとなる。

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