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「計画相談」の地域格差とその課題

計画相談の現状

「計画相談」とは、障がい者総合支援法に基づいたサービスで、障がい福祉サービスの利用に必要な計画の作成や見直し、サービスの相談や調整、関係機関との連携を行い、障がい者の自立した生活を支えることを目的としています。

計画相談を受けるには、お住いの市区町村に支給申請を行い、指定された相談支援事業所に相談員を依頼します。相談員は障害者のニーズや希望をヒアリングし、適切なサービスの検討や調整を行い、「サービス等利用計画案」を作成します。市区町村はこれを基に支給の可否を判断します。

サービス等利用計画は、障がい者の状況や必要性に合わせて見直しが必要であり、相談員はモニタリングを通じて変化に対応し、見直しを提案します。計画相談は障がい者の自立と社会参加を促進する重要な役割を果たしており、相談員は障害者の立場に立ち、ケアマネジメントやソーシャルワークのスキルを駆使して支援を提供します。

この計画相談という制度は全国で展開されています。
次の表は、令和3年 介護サービス施設・事業所調査をもとに、都道府県ごとの事業所や相談員の数、相談員1人当たりの利用者数をまとめてみました。

相談員1人当たりの利用者数は、全国平均と大きな差はなく、だいたい25~29人の範囲に収まっています。私のこれまでの経験では、市区町村によっては相談員制度を利用せず、セルフプランで対応しているところもあり、もう少しバラつきがあるように感じています。

1. 相談員必須の地域

一部の市区町村では、障がい福祉サービスの利用を希望する方(利用者)には必ず相談員がつけられる仕組みがあります。相談員の存在することにより、利用者は日々の生活や仕事における悩みを相談、共有でき、サポートを受けながら事業所を探すことができます。
しかし、相談員の数が不足している地域もあり、相談に苦労する場合があります。また、1人の相談員に対しての請求上限があり、適切なサポートを提供するためには相談員の数の増加が求められます。

2. 相談員制度が機能していない地域

一方で、相談員を必要としない地域も存在します。このような地域では「委託相談」や「計画相談」が機能しておらず、利用者や家族が自身で「セルフプラン」を策定することが求められます。
セルフプランのメリットとしては、相談を契約をしなくても福祉サービスを受けられることです。 デメリットは、作成や手続きに時間や手間がかかったり、適切なサービスを見つけにくかったりすることです。
セルフプランで対応している地域であったとしても、相談員をつけることは可能ですが、相談員の存在やサービスの内容が周知されておらず、利用者がサービスを受ける際に不利益を被るケースも見受けられます。

課題と今後の展望

① 地域格差

相談員制度においては、地域ごとにサービスの内容が微妙に異なることがあります。サービスの基準は定められていますが、最終的な判断は各市区町村に委ねられています。これが引越し等で地域が変わった場合、利用者や家族にとっては大きな課題となります。全国的に相談員制度を充実させ、利用者が移動してもサービスにアクセスしやすい環境を整備する必要があります。

② 人材不足

現状、相談員の数が不足しています。ただし、数を増やすだけではなく、利用者に寄り添った支援を提供できる資質や考え方を持った相談員の必要性があります。人材の育成や相談員の業務を理解しやすくするための情報発信が求められます。

まとめ

現行の制度は、地域によって受けられるサービス、支援体制に大きな差があり、相談員制度の充実が望まれます。
相談員の存在や重要性を広く認知し、地域格差を解消するためには、行政や関連機関との協力が不可欠です。相談員として働くことの重要性を理解し、資質を持つ人材を増やす努力も必要です。


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