見出し画像

『歌舞伎デカ前田刑事』サウンドトラック解説

2022年3月20日・21日に上演される予定だった劇団120○EN第34回公演『歌舞伎デカ前田刑事 -10th Anniversary year ver.-』のサウンドトラックを用意いたしました。

せっかくなので、全曲解説を作曲者である僕自らやってみようと思います!(上演されてはいませんが普通に楽曲として楽しんでくれたら嬉しいです)

おろすのテーマ

少し怪しげな民族音楽っぽいアプローチで、というお話だったので、音楽ソフトの中からインドネシアの楽器「ガムラン」を使って作りました。少し異文化的な響きの中に子供っぽさ・巫女っぽさのあるメロディーができたのではないかなと思っています。個人的お気に入りです。おろすのイメージも合いますし、彦十郎のテーマにもなってるかな、と個人的には思います!

往け!前田刑事!(demo) Opening ver.

テーマソングのオープニングバージョンです。歌詞を頂いた時にノリノリのアニソンっぽさが浮かんできました。少し悩みましたが、イントロのギターリフが思いついたところから作曲が進みました。とにかくわかりやすいロックソングにしたかったので、変なコードを一切使わず超基本的なコードを歪み一発で使う曲にしました。

ちなみにこれはデモ版で、エンディング版で使っているテイクとは全く異なるものです。また、ミックスも僕がラフに行ったものなので結構聴き辛い子もしれません。違いを感じてみてください。

West Side Rock'n Roll

ダンスシーンでの楽曲で「ウエストサイドストーリーのオープニングをイメージしてほしい」という方針でした。正直あの映画の曲をやろうと思っても難しいので、あえてノリノリのロックンロールにしました。なんの捻りもない超王道コード進行ですが、ダンスをするならシンプルにしよう!っていう感じですね。

ここは戦国

一発で戦国とわかる曲を!というイメージだったので、バンバン和太鼓を入れつつ尺八でメロディーを作りました。ちなみにこの曲のBPMを遅くすると、僕が大好きな和風ゲーム音楽、FINAL FANTASY6『カイエンのテーマ』っぽくなります(本当になんとなくですが笑)自然とそういうメロが出てきたんだろうなあ。

覚悟

悲しい雰囲気の曲がいろいろなところで必要だったのですが、その1案を採用していただきました。不協和音っぽく聞こえながらも結構よく使われるコードである「m7-5」系のコードを使いました。ちなみにこんなことを言っていますがコードの理論とかは一切わかりません(笑)あくまで感覚的に作ってます!

Battle for you

バトルで使われる通常戦闘曲です。明確なアイデア元はないのですが、戦闘曲を作る時に参考したのは布袋寅泰の映画サントラ『samurai fiction』です。この映画は布袋寅泰が劇伴を手がけたヘンテコ(良い意味で)時代劇なのですが、時代劇だけど曲はロック、というコンセプトがまさに前田刑事とバチッとハマりました。サブスクでサントラが聴けるので、ぜひ聴いてみてください!

喪失

先ほどの『覚悟』で使ったコードを少しだけ聴きやすくアレンジしつつ、エフェクトをたくさんかけて雰囲気を出しました。

Council

上杉軍の会議、評定で流れる曲です。荘厳なイメージ、という言葉を聞いて真っ先に太鼓のリズムとギターが思い浮かびました。頭の中に出てきたのは『半沢直樹』に出てくるデッケエ会議室ですかね笑

あの会議室明らかにあんなにでかい意味ないですよね?

愛と猫

優しい女性のイメージ、ということで、アコースティックギターを使いつつコード進行は超王道のカノン進行を使いました。手抜きと思われても仕方ありません・・・・。でも弾き方でアレンジは無限大ですからね!結果的に愛姫と猫御前の優しい日常風景にマッチする曲になりました。

王老杉

この曲は元々『おろすのテーマ』として提出していました。「少し怪しすぎる」ということで敢えて怪しい雰囲気の欲しい王老杉関連のシーンで使う曲になりました。こちらも同じくガムランを使用しております。

岡のテーマ

各キャラクターのイメージをなんとなく知りたいなと思い12月にセリフの読み合わせに参加した際、岡は関西弁を使い飄々としたイメージなのがわかり「かっこいいけど少しヘンテコ」な曲がいいかな〜と思い、ワウを使用したファンクなサウンドにしてみました。ノリノリのシンセベースも入れてあります。こういうアイデアの源流にはRed Hot Chili Peppersの曲がありますね。『Dani California』や『Can't Stop』のような楽曲を聴いていただければ「確かに・・・」となります笑

おかしな父

取り調べシーンその1で使う曲。あからさまに「取り調べっぽい」曲を作りました。

取り調べ

こっちも取り調べ曲ですが、サウンドが多くなってます。指パッチンに「デッデデッデーン・・・」というメロディーが思い浮かんだところから作りました。ちなみに指パッチンは弟と二人で録音しました笑

moment

こちらも『愛と猫』のような優しい曲をイメージして作りました。このアコースティックギターの旋律は僕が大好きなBUMP OF CHICKENのボーカル藤くんが手癖でよく使うフレーズがアイデア元です。『スノースマイル』『花の名』などの曲で出てくる雰囲気のフレーズですね。

また、FINAL FANTASY7の『旅の途中で』とかMOTHER2の自宅BGMの匂いもしますね。まあ結果論ですが・・・・笑

単純に僕の好きなゲーム音楽として聴いてみてください笑

夕陽を背に

作っていてとても楽しかったです!刑事ドラマのオープニングっぽく、という指示でパッと思い浮かんだのが「刑事が渋く歩いてくる」構図でした。正に「Gメン'75」ですね。

今聞き直してみたら出だしの旋律Gメンと一緒ですね笑笑ちょっとこれはまずいかな・・・笑でも言い訳をすると他にもアイデア元はありまして・・・布袋寅泰の『SPACE COWBOY』とか『月光ピエロ』のギターリフも頭にありました。ぜひ聴いてみてください!

さらに、上記のイメージと一緒に思い浮かんだのが「ジャンジャカジャンジャカ」なっているアコースティックギター。そこから連想したのはこの曲!どうぶつの森でとたけけが歌う『ゆけ!けけライダー!』です笑

名曲ですね〜まさか劇伴のアイデア元にとたけけの曲が選ばれるとは笑

政宗のテーマ

まさにダークヒーロー・ヴィランのイメージということで、連想したのは映画『JOKER』でジョーカーが階段から降りてくるあの名シーンで流れている曲。

これをまんまやるのは問題なので、「ズッズダンズズッズダン」というドラムのフレーズだけ引っ張ってきて、悪役っぽい重たいギターサウンドを重ねました。また、テーマ曲なのでメロディーがあった方がいいかなと思い、ギターでのフレーズも足しました。

元々はもう少しBPMが早かったのですが、通し稽古で使われているのを聴いて「もしかして遅いほうがかっこいい・・・?」と感じたのでBPMを修正しました。

現実

こちらも悲しいアコースティック曲。使っているコードはRed Hot Chili Peppersの『Californication』のイントロで使われているもの発展させました。レッチリ大好き!

Brave

隆太さん演じる本庄繁長が「開門!!!!」と叫んで流れるカッチョイイ戦闘曲。前述した戦闘曲『Battle for you』よりも重たくしたかったのでキーを一つ下げつつ、ギターの歪み方を変えたりして雰囲気を変えました。今回の劇伴の中でもとてもお気に入りの曲です。

敗北

敗走してきて流れる悲しい曲。『Battle for you』をアコースティックギターで悲しくアレンジすることで作りました。

前田広朗の苦悩

テーマ曲である『往け!前田刑事!』を悲壮感たっぷりにアコースティックアレンジしました。ストレートなコードを使っていた原曲ですが、あえて悲しいマイナーコードに変えることで物悲しさを演出しました。

伊達軍のテーマ

伊達軍や政宗のシーンで全て『政宗のテーマ』を流すと、合わないシーンもあるのでアコースティックアレンジ版を作りました。『政宗のテーマ』で使われているメロディーをアコースティックギターでなぞりつつどこか物悲しいイメージに仕上げました。

伊達軍の決意

『政宗のテーマ』のBPMをさらに遅くしつつメロディーを抜いたバージョンです。彼らの決意や進軍の勇ましさが感じられるかな、と思います。

もののふの舞

この劇の曲を作るとなった時に1番最初に思いついたのがこのメロディーでした。いかにもゲーム音楽っぽい和風な戦闘曲のイメージです。FINAL FANTASY14のボス曲や、アクションゲーム朧村正の戦闘曲などが源流かもしれません。これも結果論ですが笑

NoBuNaGa

ラスボスっぽく思い切りヘビメタで!と指定されたので、思いっきり僕の思うヘビメタをやってみました。僕はマキシマム ザ ホルモンが大好きなので、ギターのチューニングをダルダルにしてゴリゴリギターを引くイメージもすぐに沸きました笑

思い切りテンポが遅くなって一気に早くなるところは福島のハードコアバンド「SANZASHI」さんの曲もイメージ元です。大学時代の先輩がいるバンドなのですがめちゃくちゃかっこいいです。

あとイントロの「デーンデンデーンデーンデーン」というフレーズですが、僕の幼少期を支えたゲームボーイ版『ドンキーコング』でボス面に入る時の曲と似てますね。これ余談ですが笑
以下の動画の10:14あたりです

往け!前田刑事!Instrumental ver.

メインテーマ曲のインストバージョンです。バックトラックはエンディングバージョンを使用しています。ギターでメロディを弾いてみました。

別れと始まり

泣ける曲ください!というド直球の指示で作りました笑

泣ける、と一言でいても難しいな・・・と思ったのですがメインのメロディはギターをある時適当に弾きながら思いつきました。「あれ?これ意外と良いんじゃね?」と。作曲って案外そういうものです。実際にはハープの音色で作ってあります。

また、最初のデモにはストリングス(弦楽器)は入っていなかったのですが、2月に母校の管弦楽部のOBOGコンサートに足を運びまして、その際に「あーバイオリンとチェロビオラってこういう風に動いてるのか・・・」と旋律のイメージを何となく感じつつ、そのノリで重ねてみました。

FLY

エンディングっぽい曲を!ということで思い浮かんだのが布袋寅泰の『FLY INTO YOUR DREAM』という楽曲です。バラード曲なのですが、曲の後半で長尺のギターソロを演奏するのがライブの恒例になっておりまして、まさにそのイメージで作りました。というかそれを目指して作りました笑

現代へと戻ってしまった前田の切なさと、希望に満ちた雰囲気もある感じでまさにピッタリかなと。

往け!前田刑事!Ending ver.

エンディングで演奏されるメインテーマ曲のフルバージョンです。何といってもラスサビ前の転調ですね。アニソンっぽいなら絶対転調しないとダメだろ!と思い、Cメロから半ば無理やり転調(半音上げ)しています笑

ちなみにLandmarksは現時点で全ての曲をボーカルの庄司が作曲しているので、初めてLandmarksに僕が書いた曲となりました。貴重な機会を本当にありがとうございました。


長々と書いてまいりましたが、いろんなバリエーションの曲を作るのが本当に楽しかったです!たくさん聞いてくれると嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?