ASMR概論

はじめに

みなさんは「ASMR」「音フェチ」と言う言葉を聞いたことがあるだろうか。そして「知っている」「聞いたことがある」と言う方は、そこから連想するものは何だろうか。

近年、咀嚼音動画等の知名度が上がったことで市民権を得た「ASMR」しかし私は本当の意味での「ASMR」を知っている方は少ないのではないかと考えている。むしろ勘違いをしている人も多いのではないだろうか。

この記事は至って真面目に、ASMRファン歴9年の私、taikingが、ASMRとは一体何なのかという根本的な部分を解説するとともに、YouTubeにおける素敵な音フェチクリエイターの方々を紹介するディスクガイド(?)的な内容となっている。総じてASMR概論、とさせていただく。ぜひ楽しんでいただきたい。

1 : ASMRとは何なのか

冒頭、私は「ASMRと聞いて何を思い浮かべるか」という問いかけを行った。代表的かつメディアに取り上げられやすいと言う意味では咀嚼音のイメージを浮かべる方が多いかもしれない。もちろん正解である。

他にも色々ある。耳かき、囁き、水の音、紙の音・・・全て正解なのである。

ご存じWikipedia大先生ではASMRをこのように定義している。

ASMR(英: Autonomous Sensory Meridian Response)は、人が聴覚や視覚への刺激によって感じる、心地良い、脳がゾワゾワするといった反応・感覚[1]。正式、または一般的な日本語訳は今のところ存在しないが、直訳すると自律感覚絶頂反応(じりつかんかくぜっちょうはんのう)となる。
Wikipedia - ASMR

つまり、なにかを聴いたり見たりしたときに「気持ち良い」「心地良い」と感じればそれはあなたにとっての「ASMR」になるのだ。その分かりやすい例として咀嚼音が頻繁に取り上げられているだけであり、ASMR=咀嚼音というイメージが付いて欲しくはない、と私は考えている。本来ASMRはもっと自由なものであり、1000人いれば1000通りのASMRがあるのだ。

そしてこのASMRをYouTube動画で広めるのがASMRtistであり、音フェチ系YouTuberなのである。私は2013年(中2の時)にASMRに出会い、以来ASMR動画を追いかけ続ける人間となった。

私の場合、とりあえず身体を休めたい時や寝る前、さらには作業中のBGMなど、事ある毎にASMRを再生している。もはや中毒である。

もちろん、どんな時に聴くか観るか、それも全て自由、まさに千差万別な癒しコンテンツがASMRだ。ASMRは自由な癒しなのである。

2 : ASMRはアダルトコンテンツではない。決して。

急に尖った話になるが、これは本当に声を大にして言いたいことなので言わせていただきたい。

近年、VRの発達と共に「ASMR」と銘打ったアダルトコンテンツが増えたような気がする。確かに間違いではないのだが、ASMRと聞いて卑猥なイメージが付くことだけは避けたいのである。

もちろん、ASMRとアダルトコンテンツの親和性が高いことは事実である。ASMRは高機能マイク(バイノーラルマイクが主流)が使われることが多く、いわゆる立体音響で楽しむことが多い。立体音響と言えば、アダルトコンテンツとの親和性は以前から高い。また、ASMRの中にはマウスサウンドや囁き、耳かきなど、アダルトな方向性に持っていこうと思えば持っていけるコンテンツが多いのも事実である。ASMR動画の定着が相まって、ASMR系アダルトコンテンツ、というネームバリューが生み出されてしまったのである。

ここで言いたいのは、先ほど申し上げた通りASMRとは「心地よくなれる聴覚視覚的刺激」であり、アダルトとイコールでは結ばれないと言うことである。

また、重ねて言えば「立体音響」がASMRな訳でもない。いや、ASMRの中に立体音響が含まれるのは事実だが、立体音響だからといってASMRになるわけではないのだ。

例えば。立体音響で収録されたボイスドラマがあったとしよう。それが「ASMR音源!」と紹介されていたらそれは間違いである。ASMRコンテンツとは、あくまで心地よさを与える目的のモノであり、立体音響だからといって全てが全てASMRにはならない。しかし、それを聴いて結果的に「なんだか心地良い」「眠くなる」と感じた場合、それはあなたにとってのASMRとなる。

つまり、重ねて言うようだがASMRは自由なものなのだ。断固としてアダルトコンテンツではない、と言うことは強く断言したい。

3 : ASMRの種類

ここまでかなり熱弁してしまったが、ここでASMRの基礎に戻ろう。先ほどから「ASMRとは心地よくなれる視覚的聴覚的刺激」と申し上げているが、では実際のASMRとはどのようなものなのか、ご紹介しよう。その分類の例として動画も添付している。

もちろん、ここで紹介できるのは一部であるし、前述の通り、1000人いれば1000通りのASMRが存在する。あくまでYouTubeのASMR動画でよく見られるモノ、というカテゴライズだと言う前提のもとご覧いただきたい。

①物の音系

物の音。紙をめくる音、水音、炭酸を注ぐ音、足音・・・日常に溢れている音もASMRである。

代表的なものとして紹介したいのは、「ネイルタッピング」だ。ネイル、つまり爪で様々なモノをカタカタと叩いて(?)鳴らす。そうして心地良い音を出すのがネイルタッピングで、ASMRの王道の1つである。そのほかにもスクイーズのニギニギ音とか、キーボードのカタカタ音とか、ゲーム機のポチポチ音とか。とにかく「モノを鳴らす」ことで心地よい音を出す、と言うのが物の音系ASMRである。

ASMR動画のかなりのウェイトを占めるのがこの「物の音系」でもある。まあ、カバーしている範囲が広いと言うのが理由ではある。

②マウス音系ASMR

マウス音系、と言ってもパソコンのぽちぽちではなく「口」の方である。このジャンルには大まかに2つの分類がある。いわゆる「囁き系」のASMRと「マウスサウンド系」のASMRである。

「囁き」は非常にわかりやすい。とにかく囁き声で話しているASMRは全てこれに分類される。よって、オノマトペ(コチョコチョ、サクサク、などの擬音語)を囁くASMRだったり、雑談ASMR・朗読ASMR・ロールプレイASMR(詳細は後述)など、多岐にわたる。しかし、分かりやすく言えば「囁き声でなにかしら発しているのを聴いて癒される」ものがこれに当たる。

これに対してマウスサウンドは、「明確な言葉を発する」のではなく、言うならば「ペチャペチャ」という音のような口で音を鳴らすタイプのASMRである。これは、聴く人によってかなり好き嫌いも分かれるタイプかもしれない。また、音のタイプとしては後述する咀嚼音に近い。

余談ではあるが、筆者は圧倒的に囁き系ASMR信者であり、とにかく囁き声でなにかしら話している動画を見るのが日々の癒しである。これがないと落ち着かない。もはや病気である。

③:咀嚼音系ASMR

ASMRといえば、の代名詞である。その名の通りで、なにかしら食べている咀嚼音を聞くという極めてシンプルなASMRである。前述のマウスサウンド同様、好き嫌いは分かれやすいタイプのASMRかもしれない。

咀嚼音動画の場合、癒しという側面もありながら「人が食べているのを見る」というYouTube動画文化にも属するかもしれない。美味しそうに食べてるのが良い!みたいな反応もよく観られるので、一概に癒しのみがフィーチャーされるわけでも無いだろう。

④:ロールプレイASMR

ASMRの中でも少し特殊なのがこのロールプレイASMRである。なにがロールプレイなのか、と言うと、とにかく「なにかしらを演じている」ASMRという意味でロールプレイである。例えば、「診察」「魔法使い」「耳かき屋」「マッサージ屋」などなど、クリエイターが何かを演じていればロールプレイASMRになる。もちろん、その中に付随して囁き声が含まれていたり、ネイルタッピングが含まれていたり、耳かきや紙の音といったASMRが含まれているなど、非常に複合的な作品となるのがロールプレイASMRである。

複合的、かつ演出された作品、という意味では「ロールプレイASMRの完成度が高い」というのはクリエイターの「分かりやすい凄さ」に直結しているように感じている。

⑤:ハンドムーブメント

少し特殊なものである。というのも、ASMRの定義として「動きで癒しを感じる」ことも挙げられている。ゆっくりとカメラの前で動いている物の動きを見ているだけで何だか眠くなってしまう、という催眠術的な?効果があるのがこちらのハンドムーブメントである。勿論、動かすのは手だけではなく棒だったりライトだったりで様々だ。

ちなみに、ハンドムーブメントも複合的ASMRになる割合が高い。音もなく手が動いているだけでは味気ないため、囁きながらハンドムーブメント、病院ロールプレイにて光を目で追う、など他のASMRと組み合せて演出されることが多い。

このように、計5種類のASMRジャンルを紹介した。もちろん、大雑把にいえば、というだけの話である。様々なクリエイターが各々たくさんのASMR動画を生み出しており、それぞれの個性がある。様々な動画を見ていく中で、自分がドンピシャで癒されるクリエイター・動画を見つける、それが1番の楽しみなのである。

4 : taiking的推しASMRtist

ここまでASMRとは何なのか一通り紹介してきた。しかしASMRは実際に見て聴いてみないとわからないものである。ここからは私taikingが推しているASMRtistを大量に紹介する。

ここまでなんかこうあえて固い文章で書いてみたのですが明らかにレコメンドの文章をこのまま書くのは難しいので固い文章をやめます。笑
なお、先程ジャンルの例で挙げた動画の方が結構多いてます!

華凛 (karin_asmr)

日本のASMR・音フェチ動画の第一人者!かく言う自分も、2013年の夏に華凛さんの動画にたまたま出会ったことでASMR沼へと足を踏み入れることになりました。なんと言っても王道のASMRが多いので、人を選ばないところが魅力。質もさることながら、動画投稿自体のキャリアも長いことからバリエーションも豊富です。(なんと今年の5月で9周年)とりあえず華凛さん見ておけば間違いありません。

Hatomugi ASMR

ハトムギさんも日本のASMR第一人者。1番再生されている動画は1000万回再生を越しているなど、実力的にも日本トップ。こちらも華凛さんと同系列で、とにかく王道のわかりやすいASMRが特徴。こちらもASMRビギナーにはおすすめ。ちなみに華凛さんとハトムギさんは「かりむぎラジオ」というチャンネルもやっています。推しと推しのラジオ番組。良い。

ASMR BlueKatie

日本とオランダのミックス、と言うなんともキュートな方。この方もとにかく動画の質が非常に高いです。個人的推しポイントは英語と日本語両方使えるKatieさんだからこそできる「2カ国語」なところ。同じテーマの動画でも英語版と日本語版があったり、どちらも混ざっている動画があったり・・・とにかく大好きなASMRtistさんです。

みちゃんねる ASMR

ここまで紹介してきた方々とは少し打って変わり、質!と言うよりも動画の内容やキュートさで大好きな方。ロールプレイ動画が結構多めの方なのですが、学生時代に演劇部に所属していたと言うこともあり演技力が非常にあり、自然なロールプレイ動画になっているところが魅力。また独特の緩さも持ち合わせているのも推しポイント!

あにてぃ。ちゃんねる

あにてぃ。さんはYouTubeではなくニコニコ動画で10年近く前から活動されており、ASMR第一人者と言って良いベテランの方。いったん活動休止したものの、2015年からはYouTubeに動画投稿をされています。マイクなどの質は決して高くないものの、これぞ元祖音フェチ!というようなマウスサウンド(特に囁き声・リップノイズ)がとても心地良い方。緩い動画が多いのも魅力。マイクの良さが実に直接繋がるわけでもないのです!

benio店長 / ASMR屋さん

ここ最近のASMRtistの中ではトップクラスで伸びまくっている実力者。音の質やバリエーションの多さはもちろん、全体的に煌びやかなヴィジュアルの動画が多く、目でも楽しい作品が多いです。とにかく音の出し方も上手い!あとマイクが良い。全体的にbenioさんが出す音が個人的な好み。

mariko ASMR

絶対もっと伸びるべきだろ・・・・。といつも思っている方。とにかく囁き声の出し方が良すぎ&ロールプレイの質が高すぎる、のWパンチ。あまり動画の頻度は高くないのですが、その分一つ一つの満足度があります。あと視聴者への姿勢がいつも非常に謙虚で、少しこっちが申し訳なくなるくらいです。笑 そんなところも推しポイント。

Eraing ASMR

ここで韓国のASMRtistシリーズに行こうと思います。実はASMRtistには韓国の方も非常に多く、英語圏に次いでASMRが異様に盛り上がっている?言語な気がしています。(気のせいかもしれない)
日本人的にいえば、韓国のASMRtistの方は日本語の動画も出すことが多いので、「韓国人がやる日本語ASMR」というジャンルすら存在しています。これがまた良いんだわ。

そんな中イラインさんは結構活動歴が長い方で、僕も2016年くらいから見続けています。ちなみに最近の動画と昔の動画を比べると、明らかに日本語が上手くなっているのがわかります。笑

Zerona ASMR

こちらも推しの韓国ASMRtist。音の良さとか囁き声の良さとか、平均的にどの部分もポテンシャルが高いところが大好きです。
なんかこう、韓国の方が話すカタコトの日本語の語感が非常にASMRとの親和性が高いんですよね。マウスサウンド化するというか。この方はそれが特に良いです。

Runa ASMR

日本のASMRtistに戻ってきました。
最近では1番リピートしている方の1人。基本的には囁きが多いのですが、全体的にユニークな動画が多いのが推しポイント。なんと言っても謎の「行動経済学シリーズ」が存在するのですが、これが大好き。行動経済学を解説するってだけなんですけど、こう言う、聴いてて内容も面白いASMRは非常に良いです。あと猫みたいな目が好きです。

ヤマト / Yamato ASMR

一切ビジュアルを見せていない方なのですが、ゲーム実況や朗読がメインの囁き特化型のASMRtistです。とにかくその囁き声が良すぎて見つけた時に衝撃を受けました。マイクラ実況なんてマイクラの音だけで眠くなるのにそこに心地良い声ですから、それはもう寝ます。

さぴASMR

ここ最近見つけた方です。ほとんどがロールプレイ動画なのですが、注目すべきポイントはその内容。ファンタジー系やSF系など、演劇チックで独特なロールプレイ動画が沢山あるのが特徴。いろんなシリーズものがあるんですけど、シリーズごとに雰囲気もガラッと違ってとても楽しいです。正直あまり動画が伸びていないのが惜しい。音の質も声もとても良いのに!

ピエール

ここまでご覧になった方の中には「いやお前女性投稿者しか観ねえじゃねえかよ」「結局ASMRよりも異性かよ」と過激なツッコミをしたくなる方もいらっしゃるかもしれません。甘んじてその指摘は全て受け入れます。いやまあしょうがないでしょそこは。許してください。

しかし、男性ASMRtistの方でも非常に好きな方おります。安心してください。1番好きなのはこのピエールさん。

囁き声が非常に心地良い!そして音の出し方も上手い。多分フランスの方?だと思うのですが、普通に日本人レベルで日本語が上手い笑

以上、沢山のASMRtistを紹介してみました。

もちろん、この方々の動画はいつもチェックしていますが、オススメ欄にある初見ASMRtistの動画は基本チェックし、新しい癒しを常に探し求めています。

くどいようですが、ASMRは1000人いれば1000通りの好みが存在するようなものですので、私にとっての癒しがあなたにとっての癒しとは限りません。しかし、このオススメを参考に少しでも癒しとの出会いがあれば、と思っています。

5 : おわりに

今回は約6500字をかけて私のASMR愛を伝えてみました。音楽歴が10年ちょっと、と考えると、ASMRは私にとって音楽に次いで2番目に長く追いかけ続けているコンテンツかもしれません。

ここまでの愛に対し引いていただくのも結構ですが、人類普遍の「癒される」という体験を追い求めている、という点で何らおかしくは無いと言うことだけは分かっていただきたい!事実、ASMRが文化として市民権を得ていますし、さらに盛り上がって欲しいとも思っています。

これまで「あまりASMR知らなかったな」「正直誤解してたな」そんな方はぜひ、YouTubeでさまざまなASMRtistさんに触れてみてください。

とにかく、ASMRマニアとして伝えたいことは今回の記事に全て詰め込みました。「ASMRとは癒しのコンテンツだ!」「三者三様のコンテンツだ!」「アダルトコンテンツではない!」「たくさんASMRtistがいる!」この辺が分かっていただければもう結構です。笑

ご清聴ありがとうございました。この記事を書いている間もずっと作業用BGMとして ASMRを聴いています。笑

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