机上で随想「インプレッション」
人は結局慣れる生き物である。
どこかで割り切って適合する。
Twitterが𝕏になってしばらく経ち、インプレゾンビなる存在が跋扈するようになったが、みんなたくましく呟いている。
中にはインプレゾンビを利用した絵描きやBOTなど、適合しすぎている者もいる。商魂たくましいというかなんというか、いち早く取り入れられる姿勢だけ切り取ればすごいと思う。リアルアカウントか?
インプレゾンビが現れた当初はひどい騒ぎだったが、所詮は画面越しのゾンビなので噛まれる心配もなく、かといって対処される訳でもなく、放ったらかしになったまま“日常”と化した。
日本に上陸する危険性がないのならリアルゾンビでもこうなってるのかもしれない。
バズってるツイートに群がるだけなのでバズらなければ無縁だし、仮に目に触れても鬱陶しい以外の実害もない。
そもそもインプレゾンビがムカつくならリプ欄を見なければいいだけの話だし、インプレゾンビ対策でリプ欄を閉鎖している人も少なくない。
湧いた当初の困惑こそすごかったが、思えば我々はインプレゾンビの祖とも言える存在を実は目にしているのではないか?
そう、二次創作絵師のリプ欄に群がるオタクである。
ただ、「上手です!」「一目惚れしたのでフォロしました!」みたいな人達のことではない。
巨乳の女に盛り上がったり、「好みの画像だったので保存した、ではさらばだ…」「RTといいねをガンガン叩くギアッチョ」みたいな画像を送ったりしていた、アレだ。
アレは今思えば元祖インプレゾンビであろう。
しかも彼らには「公式垢になってインプレッションを稼いで収益を得る」という目的すらない。
ゾンビかつ収益に興味がないとは、生物として二度破綻している。
今や彼らはほとんど見かけない。
彼らはインプレゾンビが現れたとき、各自渾身の画像リプが下へ下へ追いやられて被害を被っていることに憤慨しただろうし、それでいて内心複雑だっただろう。
「俺がやってた事って…これだったのか…?」
「形式美だと信じてやまなかったけど…実は結構イタいのか…?」
「俺は…ただ皆が笑ってくれると思って…」
そんな葛藤があったはずだ。
更にリプ欄を見てもらえなくなるのであれば、自分たちの存在価値は無くなったも同然。
自分の活動に意味を見い出せなくなり、一人、また一人と自分の頭に銃口を向けていく。
「きっと皆もそうだったんだ」
「どうやら俺はゾンビじゃなく、人間だったみてぇだ」
ゾンビ史上初となる自然消滅である。
でも完全に消滅したわけではない。
イタいツイートやズレた格言に画像(笑いを堪えてる小藪とか)を引用して万バズしてる、インプレゾンビに知能がついた亜種をたまに見かける。
あれマジでどうやってミュートしたらいいの???
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