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机上で感想「答龍門」

あの日初めて大会の予選を勝ち上がれて嬉しいと思う反面、「俺ってこの並びにいていいのか」と焦っていた。もしかしたらそこでもう決まっていたのかもしれないね。

答龍門で結果出すためにも、まずはそれより前の冠到杯という大きな大会で誇れる大喜利をする事を目標にして大喜利していた。

そしたらそれよりも更に前のレイピアで優勝し、こんなにも美しい形で目標を達成できた事に驚いたし、自信になったし、これで本戦迎えられるぞと思った。

おだンゴさんアッサムさん共催の大喜利十八番杯でも得意なお題でハネきれずに終わった悔しさを次のお題にぶつけて勝ち上がれたし、この「悔しさ」を感じる事もギアに代える感覚も随分久しぶりだったし実行に移せたのもデカかった。

少し前まで完全な空回りを繰り返していて悔しさを感じる以前の問題が続いていたから、色んな人のやり方を見て聞いて学んだことが活かせている証拠だったし、成長だった。

サイレンさんに誘われ招待枠を貰った大喜利会ENDLESSでも、お題に集中することで負けたタイマンもあれど大きく外した感覚はなくて、自分の中でパフォーマンスはかなり良かった。

それでも本戦のメンツは誰がどうなってもおかしくないし、「優勝」という大きい目標を漠然と立てるより「培ってきたものを駆使して全力を尽くす」を最低限の目標、「大ウケをとる」を次の目標に設定して道をつくっていった。

なんだけど結論から言って「今の俺ならこれは達成できる」と踏んだ最低限の目標すらダメで愕然としてしまった。

いつもなら出来るはずのことが出来ないままカウントダウンを迎え、残されたボードの文字で足掻くことすら適わなかった。

俺は大喜利中、お題からシチュエーションや人物を絵で想像したものを言語化するようなやり方をしているのだけど、絵が一切動かなかった。

そういう時は単純に要素から連想ゲームをしていくけどそれも出来なくて、自分でも何が起きているのか分からないまま終わってしまった。

打てど響かずみたいなのは何度も経験してるけど、そもそも意味が分かるお題で答えられなかった事が今までなかったので試合が終わったあともどうしていいか分からなかった。

ただひとつ、不完全燃焼な試合をさせてしまった相手への申し訳なさだけがあった。

相手は寿司ブルドーザーさんだった。

今まで笑う警報とENDLESSで一勝一敗ですね、精一杯やりましょうなんて言った矢先の出来事で、悔しさより不甲斐なさがきて、やりきれなかった。

それからはあっという間だった。

勝ち上がっていく人達からは大喜利の力だけでなく人間的な力や周囲を味方につけていく力を感じ、これは適わね〜と思わせられた。

せめて俺ももっと舞台度胸つけなきゃダメか。

1人のときでも戦えるようにならなきゃ。

あんなに思考が止まった原因は何だったんだ。

考えてもまとまらないまま初めての答龍門は終わった。

それでも無理矢理テンションを上げてエキシビションでウケはとれたはずだけど、気持ちは重たかった。

本戦の壁の厚さに打ちひしがれながら外に出て、せめて人と話すことで和らげようと思った。

そうしたら「どうしてあんなに自己紹介暗かったんですか?」と色んな人に聞かれた。

最初は声の小ささやトーンの話かと思っていたのだけどそっちではなく、「本戦のメンツに相応しいプレイヤーになれたってどういう事?」という意味のようで。

そこでじわじわと最初の認識自体がズレていることにようやく気付いてきた。

俺はあの本戦のメンツに並べた事を堂々と誇って良かったし、もっと自分自身を信じて良かった。

ここ最近で急速にいい大喜利が出来ている事が自信になって、自己肯定感も上がったように思ってたけどもっと潜在的な部分の問題だったようだ。

どうして俺は勝ち上がっておきながら勝ち上がった人たちと肩を並べようとしてたんだろう。

俺は本気でなれたと思ってたからこその意気込みだったんだけど、それが却って心配をかけてしまっていたようで、参加した打ち上げの帰り際にも励まされてしまった。

結局本戦で何故あんなに考えが巡らなかったのか分からないけど、自分を芯から信じてやれなかったがために大会の雰囲気に気圧されてしまったのが原因なのであれば、それは本当に勿体ない事だったと思う。

だし、それのせいでベストなパフォーマンスをとれずに戦ってしまっただなんてしょうもないし申し訳ないので、またどこかで相見えたそのときはベストバウト・デスマッチができるようになろう。

俺は面白いと思われてる。あとは俺自身が面白いと思うだけだった。

たくさんの人の気持ちを無下にしてしまっていた。なんてことだ。

自分自身拗らせている自覚はあったけど、それが人にまで及んでいいはずがない。

俺の事を面白いと思ってくれてる人たちにもっと応えるためには俺は俺をもっと肯定しなければならない。

来年は答龍門があるかどうか分からない。でも他にも大会はあるわけだし、大喜利だけでなく気持ち作りもしっかり整えて臨みたい。

落ちるんかい

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