DXは推進したい、でも電話は手放せない
事例で読み解く「間違いだらけ」のDX、第3回は「電話」について取り上げます。
このマガジンでは、さまざまな事例から「間違いだらけ」のDXを読み解いていきます。
自社に当てはまる事例がないか、DXの認識にずれがないか、チェックする上で役立つでしょう。
ぜひ参考にしてください。
本日の事例
DX推進チームのメンバーとして加賀さんが抜擢されてそろそろ1ヶ月。
これまでも先輩社員との感覚の違いにカルチャーショックを受けていた加賀さんでしたが、認識のずれが決定的になる出来事がありました。
それは、電話についての話題がチーム内で挙がったときのことでした。
事例の解説
先輩社員と加賀さんの考えが平行線を辿っている原因は次の通りです。
吉田・松井→市外局番の電話番号は必須であり、会社としての信用に関わる重要な問題と捉えている
加賀→そもそも連絡手段として電話が最重要ツールとは考えていない
たしかに代表番号に関しては、依然として市外局番の電話番号が望ましいとされるケースはあります。
しかし、業務で日常的に使用する連絡手段は、必ずしも「電話」でなくてもよい。
まして、「市外局番」に固執する理由はない、と加賀さんは考えています。
DX推進において、意外と鬼門になりやすいのが「電話」の扱いです。
日常的に電話を使って仕事をしてきた人は、電話なしで業務を進めるのは「あり得ない」と感じる傾向があります。
チャットツールを導入することはあっても、電話とは別の連絡手段と認識しているケースもあるようです。
電話の即時性・双方向性が有効なケースはたしかにありますが、まずは「電話は必須」という前提を疑ってみる必要があるでしょう。
事例の間違いポイント
DX推進は「痛み」を伴うことがあります。
これまで長く続いてきた習慣を変えなくてならないケースや、仕事の進め方が大きく変わるケースもあるからです。
吉田係長・松井さんは、現状の習慣を維持したままDX推進に取り組もうとしています。
そのため、社外で電話の発着信に対応するには「会社の電話番号」が必須になると考えているのです。
しかし、今や社員がフルリモートで就業している企業も決してめずらしくなくなっています。
あらゆる会社には必ず「オフィス」があり、「固定電話用の電話番号」があるとは限りません。
慣れ親しんだ習慣を一切変えることなく、DX推進に取り組むのはほぼ不可能です。
もし連絡手段にDXのメスを入れるのであれば、取り組むべき課題は「電話を使い続けるための方法を考えること」ではありません。
むしろ「連絡手段は電話でなければならないのか」「ただの思い込みではないのか」を本質的に問うべきでしょう。
まとめ
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