絶対に、絶対に金属バットにはMー1の決勝に行ってほしかった

Mー1の決勝進出者が発表された。金属バットはラストイヤーで、来年からはもうMー1に出られなくなる。だから結果発表は自分のことのように緊張した。

敗者復活で準々決勝を通過した波に乗れば優勝だってできるんじゃないかと思っていたのだけど、結果的には敗退だった。

僕は本来そこまで賞レースに興味はないんだけど、本人たちがTwitterでファンに呼びかけるぐらい優勝したいと思ってるならせめて決勝には行ってほしかった。

特に金属はMー1で人気が出たコンビだから、優勝で有終の美を飾って欲しかったし、飾るべきだとも思っていた。

僕が金属バット知ったのは8年ぐらい前のことで、その頃はそこまで賞レースに力を注いでいるそぶりを客に見せてなかった。

そもそも賞レースに出る機会がなかったのと、出る舞台が難波の地下ライブばかりで、メインの客層もお笑い好きというよりは飲酒しながらアングラカルチャーを吸収したい社会人ばかりだったから、そんなそぶりを見せる環境になかったのかもしれない。

僕もそんな客の一人で、暗くて狭くて汚い小屋で金属を見るのが好きで、よく通っていた。

地下のお笑いライブは地上とは違って、ただ笑いにいっているというよりは、救いを求めていっている人が多くて、当時の僕もそういうところがたぶんにあった。

子どもの頃からずっと大阪に住んでたけど大阪が全然好きじゃなくて、だからといって東京に移り住むほどの度胸もなくて、大阪で好きになれるものが見つけられないだろうかと思って、ふつうの人が行かないようなライブによく足を運んだりした。

そこで金属バットを知った。

当時の金属バットはほとんどファンもいなければお金もなくて、言動だって下品で、人に好きだと公言できないような芸風で、それでもライブでめちゃくちゃ面白くて、だからこそ好きになった。

今思い返してみると人として許されざる言動の数々をしていたと思うのだけれど、そんな人でも面白ければ許される世界があって、人の心を動かせる事実に感動した。それを見て救われていた。

だからそのままのんべんだらりと地下で見ていたかったのだけれど、いつ頃からかGyaO!でMー1の予選を配信する試みが始まって、金属が注目されるようになって、そこから目に見えてライブにお笑いファンの客が増えてきた。

それはそれで変な感じがして面白かったけど、仕事帰りのサラリーマンぐらいしかファンのいない状態の金属を見ることはもうできないんだなと思うと寂しくもあった。

今でもその気持ちは少しある。

だけど寂しがったりばかりではいられないな、とも思う。

以前行ったライブで金属バットの友保に「ついといでよ。バンバン飛ばしていくけど、振り落とされんなよ」と名指しで言われたことがあって、本人にとっては単なるリップサービスなのだろうけど、ちゃんとついていかなきゃいけないな、と、思ってしまうのだ。

そうは言っても最近はあんまりライブに行ってなくて、正直金属が出なくなったらMー1に興味を持てるか怪しいぐらいなんだけど、もともと賞レースに興味がなかった僕がこんなに興味を持てるようになったのは間違いなく金属のおかげだから、やっぱり彼らを知れてよかったとは思うし、ついていってよかったとも思うし、金属バットを好きになれてよかったと思う。

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