星新一　ボッコちゃん

何気なく買ったこの１冊に圧倒され続けている。

学生の頃に教科書として読んだ星作品では、こんな感情を覚えなかった。記憶している話だと、これがロボットの話だったような…。

そんな話の筋も曖昧な、失礼にもほどがある印象だった。

ところがだ！

何気なく手にしたこの本は、なんていうかすごかった。

あたりまえじゃい、何を言っているんだといわれるだろうが、この発見は今だからもう書くしかない。

ショートショートということで１つの話自体は短く、５分ぐらいで読めるのだが、話の見事な起承転、結び。

この結びが、少し絶望させられるような、背筋が凍るような、いや、恐ろしいのだ。怖ろしい。

１つの作品ごとにハッとし、ヒヤッとし、人間の真理をまざまざとみせつけられた。

ぞわっとする。人間って、とても単純にできていて、悪へ向かうきっかけさえあれば、簡単に残虐になれる。そして、欲望深く、とめどない。

ああ、怖い、そして、夢中になる。中毒だ。

こよいもこの本を片手に風呂に入る。

さて、ここからが本題になる。

ボッコちゃんの中に入っている「月の光」という作品だ。

これは、ある男がペットを飼っている話なのだが、

ああ、読んでくれとしか言えないのがつらい、語彙が足りない。

ただこの話に無性に焦がれる。

陶酔。