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16000円のスカートと、人生で初めての福袋のこと

年末、友達との待ち合わせ前にふらっと入ったお店で、あるスカートの虜になった。見惚れるというのはこういうことを言うのだろう。20年間、これまでファッションに特別な思いを抱いていなかった私の中で、なにかが生まれた。
16000という数字は今の私が服を買うのに到底払えるものではない。もともと今日は服を買うつもりじゃなかったんだ、と心に言い聞かせて店を出た。

1月2日。
母が初売りに行きたいと言う。「初売り」はこれまで気にしたことがない言葉だったし、こういう言葉は「買わなきゃ」と急かされているようであまり好きじゃなかった。でも急に頭の中にあのスカートがよぎった。
あくまで母の付き添いという体で私も街に繰り出した。同じ場所に綺麗に飾られているスカートのタグには40%オフという文字。
9600円、払うことはできる金額になったけども、このスカートを私は着こなすことができるだろうか。服を買う時のマイルールが「今持ってる服で3パターン着回せるか」というもの。お店の店員さんの「このスカートはどんなお洋服にも合いますよね~!」という天使のような声をききつつ、脳内では「お前のクローゼットの服とは品が違うよ」と悪魔の声が聞こえてくる。

街を3時間練り歩き考えたが、店に戻ることはなかった。

初売りでは、3箱1000円の入浴剤福袋を買って帰った。人生で初めての福袋。おかげさまで現在我が家では24カ所の湯めぐりが合計42回分できます。最近父が入浴剤を入れたがるので、喜んでもらえるだろう。反応が楽しみだ。ちなみにこの日の夜の行き先は、別府のにごり湯になりました。

赤と白で「福袋」と大きく書かれた紙袋を持って家に帰る。街からの帰り道、重たいなぁとお正月なのにどこか薄暗い気持ちになったのは、入浴剤の重さだけじゃないと思う。


1月3日。
朝起きた瞬間に、
「ああ。あのスカート可愛かったな」と思った。
これは恋なのだろう。

家に帰ってきて、ゆっくり道後温泉の湯船に浸かりながら、今自分のクローゼットの中で一際輝いているあのスカートを履いてどこに出かけるか考えている夜です。

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