石丸伸二氏が首長ではなく国会議員になるべき理由

大阪府民の私ですが、今回の都知事選、非常に関心高く観させていただきました。東京に住んでいた10年間でもこんなに興味持ったことなかったのに(苦笑)です。
本投稿においては、この盛り上がりを作り出した石丸伸二さんに対する考察と、今後期待することを書いてみたいと思います。


投票権もないのに、気になる中毒性

今回の都知事選への興味は、紛れもなく石丸伸二さんの影響によるものです。「YouTubeで話題の市長が都知事選に出るらしい」「じゃあ、安芸高田市長時代の動画も」と次々と見てしまうのですが、見れば見るほど、「理解できない何か」が深まってしまうのです。

・日本の大企業出身(私も大企業2社経験)で、これほど忖度しない、軋轢を恐れない人を見たことない(海外駐在が長い人や、ベンチャーを含めても)
・正直、あれほど議会と揉める意味がわからない
・あんなにマスコミと執拗にやり合ってる人も見たことない

石丸さんの主張、そして個人的な感想

彼は一貫した主張をされています。ちょっと雑に書いてしまえば、下記の三つ。
①日本の人口減少に対する危機感
②東京一極集中からのリバランスの必要性
③政治再建、等の政策
あえて③をぎゅっと纏めてしまったのは、一部の教育への投資等を除いて、よくも悪くも具体性に欠けているからです。そこは石丸さん自身「各首長との議論」や「優秀な都の職員を使った具体化」の表現が多く、成田悠輔氏や泉元明石市長はじめ多くの人から「何がやりたいのか、ハッキリしない」と突っ込まれている部分です。

ここにおいて、石丸さんの意思がはっきり表れているのは政治再建で、「根回し、密室政治は悪」、「是是非非で議論する」など、安芸高田市で体現させてきたことそのものです。

そして、石丸さんが必ず最初に力を込めて説明するのは、①人口減少と②リバランスです。ここで言っていることはある意味当たり前なのですが、彼が言いたいのは「どうしょうもないし、まだよそ(他国)に比べれば…」というこの国のゆるんだ空気感に対して、「現実を直視しましょう」ということで、至極真っ当な「啓蒙」であると思います。
主張の内容が新しいのではなく、小池さんや蓮舫さんがそれを分かってないということでもなく、これまで「そんなこと言っても伝わらないし」「誰かを喜ばせないと票にはならん」ということです。
誤解を恐れず言えば、『捉え方のスタンス』『伝え方のスタイル』が新しいわけですし、そもそも論としては多くの人が分かっていることからすると「原点回帰」であるとも言えます。

石丸さんの優れているもの、足りないもの

彼のスタンス、スタイルは、ある意味「分かっている人」から見ると、「目立つだけで、中身がない」と捉えられがちです。
実際には、現実にある問題に対して、人口動態や歴史的経緯、類似事例などから論点と要点を導き出していることは、彼の安芸高田市時代の財政説明のYouTubeをみると非常に分かりやすく纏まっています。
これはまさにアナリストたる所以で、問題を感情論で語るのではなく、我々ビジネスマン目線で見ても、ロジカルかつ納得性の高いプレゼンに映るのではないでしょうか。
つまり「中身がない」といわれつつも、「課題の認識」と「論点整理」については非常に優れていると感じます。

では足りないのはなにか…?
「その先」です。
例え話になりますが、「優れたコンサルタントは、どんな大企業のビッグプロジェクトであっても、ポイントはひとつに絞る」というものがあります。人間の集まりである以上、旗印がないと、方向性が分からないからです。
この点で、石丸さんが人を率いるリーダーたりえるか、に疑問符がつきます。会社で言えば、「経営状況に危機感がない!」「形式的な会議をやめて喧々諤々の議論をしよう」と(だけ)社長が言っているイメージ。って、そんな会社も普通に多いから困るんですが(笑)
実際にV字回復したような会社って、そうではないと思います。例えばJALでの稲盛和夫さんのように、役員の緩みを叱りつけた等のエピソードはあるにしても、骨子はフィロソフィー、仕組みはアメーバ経営など、背景(土壌)だけでなく、幹から枝、そして花や実をつけるまで「結果」に拘ってやるものではないでしょうか。

石丸さんへの期待は『政治クオリティアップ』

一方、石丸さんが目指す、馴れ合いを排して、議論を尽くして、市民に関心を持ってもらえる政治。この「スタイルにこだわる姿勢」自体は、非常に希少性の高いものです。最初に書いたように、「これほど忖度しない人」で、さらに、ロジカルにだれとでも議論展開できる人はそうそういないからです。
そうなると、私が期待し、かつ石丸さん自身がやりたい政治再建を成し遂げるポイントは、「議論を体現」し「発信して関心を集め」、結果として『政治クオリティの劇的レベルアップ』を実現することです。

では、これをどこでやるか?私は「首長ではない」と思います。なぜなら、安芸高田市で本人もいわれてた「炎上商法」は、一種のショック療法であって持続可能ではないからです。「端から見るには面白いけど、ほんとに自分の地域でやってほしいですか?」
さらに、石丸さんから「首長連合のような形で連携」の案がありましたが、多忙な公務の間を縫った薄い横連携では意味があるか不明ですし、逆に「ミニ石丸」を地域に生み出すことになれば、不幸しか生まなそうです(石丸伸二のクオリティは再現できない)。

石丸さんは、必要な手段を駆使して前に進めるリーダーシップというよりは、現状を分析し、問題提起し、議場に緊迫感を与える「焼け石」的な役割のほうが期待できそうですし、その攻撃力も非常に高い。まさにインフルエンサーだと思います。

そこからすると、実は、首長よりも「国会議員のほうが向いている」と感じます。トップである首長は、権限が大きく、やりたいことができるが、清濁併せ呑む度量も必要。問題の優先度を付ける中で、時には些末なことを呑み込むこともある。
純粋に、アナリスト的に問題をあぶり出し、あるべき論を世に問う、そして議論を呼び込むことであれば、「イチ国会議員として暴れ回る」ほうが良いと思うのです。国会は十分メディアの注目度は高いし。眠たい国会中継のビューをバクアゲすることこそ、政治再建のキーポイントになりそうです。

政党に入ればサラリーマン的な部分もあるかもしれませんが、結局は支持率&人気が力を持つ世界です。それこそ「やりたい政策」自体にこだわらない石丸さんなので、自民・維新と渡り歩いても、石丸新党立ち上げても、自分ブランドさえ確立できれば、一向に構わないと思うのです。





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