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チーターはオンラインゲームを殺すのか

Adobe製品が高すぎて嫌気がさしてきたので(PDFファイルをつくるためにもアクロバットを買わないとダメとか、ほんとそういうとこだぞ…)Canvaでヘッダー画像をつくってみた。ものものしいフォントがイケてる。

表題の件、ライアット新作FPSのVALORANTをダウンロードしたら必ずついてくる「Riot Vanguard」なるアプリ。ライアット曰く

「Riot Vanguard」はライアットゲームズが独自チューンを施したゲームセキュリティソフトで、コンペティティブ・インテグリティ(競技の公正さ)をできうる限りの高い水準で確保でき、維持するよう設計されています。https://support-valorant.riotgames.com/hc/ja/articles/360046160933-Vanguard%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

とのことで、カーネルドライバが入っていて、チートアプリのゲームへの介入を防いでいる。チートアプリがそもそもOSに介入するカーネルレベルで動いていて、ユーザーモードという低い特権レベルでチート対処しなければならないゲームアプリは圧倒的に不利だった。だからチートアプリと同じ特権レベルで戦うためにカーネルドライバを実装したんだ!とライアットはブログで声高に宣言している。

ライアットがオンラインゲームにおいてチーターの存在がどれだけ脅威であると認識しているかは想像に難くない。ベータ段階からチート対策を逐次報告し、バンを繰り返し、アンチチートシステムを改良してきた。期間中に7,000以上のアカウントがバンされたそうだ。(Sucker!)

理屈は良く分かるし、チーター対策はしてほしいのはやまやまだが、カーネルレベルのアンチチートシステムが一般化し、ゲーム一本(またはパブリッシャー)単位でアンチチート用のカーネルドライバをインストールして、OS立ち上げ時のたびに常駐する未来を考えると頭が痛くなる。ランチャーと同じ数だけ各ゲームのアンチチートアプリが常駐するというのは地獄だ。

Riot Vanguardについても「アンチチートは良いけれど、常駐するのはちょっと…」というプレイヤーの声もあがっている。

例えばプロの試合でチートや不正が発生する、というのは理想としては0にすべきなのだが、現実としてなくなりはしないだろう。伝統的なスポーツ興行でも薬物利用や八百長や不誠実なプレイが頻発するわけで、ゲームのプロシーンでそれらが発生しないとは限らない。対処はすべきだが、0にはならない。

だが、オンラインゲームにおけるチーターというのは次元が違う話で、

プレイヤー人口を増やしてマッチング環境を良くする

→増えたプレイヤー人口の課金によって運営を安定させる

→その資金でアップデートを充実させる・興行を行う

というサイクルをまわすゲーム企業にとって、チーターが発生するとチートをしていない真っ当なプレイヤーが離れていくという実害が発生する。プレイヤーがいなくなればマッチングが悪くなり、課金が減り、アップデートもされず、興行も行われず、結果としてオンラインゲームが死んでいく。プロの試合で"観客ががっかりする"どころではなく、生態系そのものを破壊する害悪、それがチーターなのである。

そもそも汎用的なOSで動くゲームにおいてMOD文化があり、ハックするという思想と隣り合わせ、ゲームを改変することが当たり前のなかで、チートアプリは微妙な存在ともいえる。MMOではマクロなんかも使われるわけで、どこまで禁止すべきかの境界線はつねに曖昧だ。

今後クラウドゲーミングが普及すれば、ゲームに対するプログラムの介入が間違いなく困難になる。(それでもハックしようとする奴はでてくるだろうけれど) もっと言えば、汎用的なPCではなく、ゲーム専用機であればサードパーティーがチートアプリを配布できないのでいいじゃないか。PSやXbox、Switchといったハックできない専用機がアンチチートとしては最適なのは間違いない。

一つこれしかないと個人的に考えている方法があって、チート検出ができる人工知能に監督させるというものだ。今でもデータ解析を行ってチーターを検知している会社も多いと思うが、ゲーム内データに加えてSNSや動画配信といったあらゆるソースからチーターを特定し、審判し、処置を施す。ゲームの世界に絶対的な存在をつくる

その人工知能はどんな名前が良いかな~。

やっぱり、ビッグ・ブラザーかな。

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