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一瞬で心をわしづかみにするキャラクター描写

「CONTROL」をクリアした。戦闘システムは楽しくて、とはいえ投擲レベルあげたらどんな敵でも一発KO、TPSなのに銃はポンコツで、投擲用のエネルギー回復の場つなぎになるのは正直悲しいし、2種類の銃を携帯できるのにリロードが共通(実弾ではなくエネルギーを込めて撃つのでそういう仕様なのだ)なので戦略性に幅が出ないという難はあれど、そんな"ざっくりさ"を含めてよかった。空中でダッシュできるゲームは大体良いゲームだ。(偏っている)

でも、ストーリーがダメだった…。クオンタムブレイクのSam Lakeが脚本を手掛けているらしいのだが、最初から最後までストーリーが何を言いたいのか、というか基本的なキャラクターの設定や、物語の展開で何が焦点になっているのかという根本的理解が追い付かなかった。ゲーム内に大量にテキストアイテムが落ちていて、それを粒さに読めば理解できるのかもしれないけれど、それを読みたくなるような引き込みがない。架空の超常現象を扱う組織SCP財団と比較しているレビュー動画があって、なるほどなと。興味のない複雑なことをただ説明される苦痛。

テキストをマップに散りばめて、主体的に広大な世界と交流できるのがゲームの特徴で、ストーリーテリングの媒体として優れている点なのだが、同時にものすごくかったるいものでもある。架空の世界にフックされないと、設定が駄々滑りになり、あらゆる収集アイテムが不要なものに見えてくる。映画なら2時間我慢すればよいが、ゲームだと何時間も付き合わなければならない。

キャラクターが良くなかった。主人公が会話の途中でモノローグを挟み込むので感情の機微もへったくれもないし、出てくるキャラクターは説明ばかりする。性格がにじみ出る物語を話さない。「アンダーテール」のキャラクターは2言3言でその性格に引き込まれるんだが、これはクリエイターの資質的なものなんだろうか。たった1シーンでキャラクターをLikableな人に仕立てる物語の技法はたくさんあるはずなんだけれど。

1シーンで、1つの会話で、1つのギミックで、自分の感性をわしづかみしてくれるようなものが世の中には確かにあって、トビー・フォックスにはそういう感性があってSam Lakeにはないのかもしれない。例えば七人の侍で、それぞれキャラクターに引き込まれる描写がなかったら、7人が登場するたびに「もうやめてくれ…」となるのだが、勘兵衛にも菊千代にも久蔵にも「これは」と思う描写があるわけで。

キャラクターをLikableに仕立て上げる簡単な方法が二つある。それはメシを食うこととペットをめでることだ。だから、「マッドマックス」のマックスはあんなに不愛想なのにLikableなのである。(2の犬と一緒にドッグフードを食べるシーンのはなし)

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