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定期購入契約の解約をする場合の通知書の書き方

 ネット通販や動画視聴サービスなど、定期購入(サブスクリプション)の契約が増えており、便利な一方で契約解除の手続が面倒で難しいというトラブルも生じています。
 通販の契約は消費者が主体的に注文を行うことから不意打ち性はないとされており、クリーングオフの適用はできず、販売業者がウェブサイト内に表示する利用規約の内容が優先適用されるのが原則になります。

 その利用規約に、例えば「6ヶ月以内に解約する場合は、違約金として3万円の支払いを要します」と記載されていれば、契約をした消費者はこの条件に同意したものとして扱われるため、違約金の支払いが必要なケースもあります。

※本記事は読み切りであって、ご質問等には応じておりません。

通販の定期購入の契約では、

・申込しようとしているのが定期購入契約であることの明示
・購入金額
・定期購入契約の期間
・販売条件(最低数量や契約条件など)

という事項を明瞭に表示しなくてはいけません。(特定商取引法第11条)

※2022年6月1日施行の改正特定商取引法(第12条の6)では、書面もしくはウェブサイトの「最終確認画面」において6つの事項を表示することが義務化されました。

 通販事業者が上記について怠った表示をして「顧客の意に反して(略)申込みをさせようとする行為」があったときは同法第14条による行政処分の対象になります。
 ただし、現行の特定商取引法では、この事由による消費者の取消権を認めていません。

※2022年6月1日施行の改正特定商取引法では、書面もしくはウェブサイトの最終確認画面において、6つの事項について誤認させる表示を禁止する規定を追加しており、そのような誤認を誘う表示があった場合には、消費者に取消権が認められます。(同法第15条の4)

 ところで消費者契約法では第10条において、「消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み(以下略)」を第1要件とし、「消費者の利益を一方的に害するもの」を第2要件として、この二つの要件を満たす契約については無効と扱うことを規定しています。

 定期購入契約の条件が適正にウェブサイトに表示されていなかった場合には、この消費者法第10条の2要件に該当するのであれば、この規定に基づいて無効を主張することはできそうです。

 ただし、消費者がウェブサイトの定期購入の表示を単に見落としていた場合には無効とはならず、定期購入であることが巧妙に隠されていたケースでは無効の主張が可能ということになります。

 そうした契約の無効を主張できない場合は、利用規約で指定された方法で解約手続きを行い、違約金を支払うことで解決を図ることになります。
利用規約で「解約は専用ダイヤルでのみ受付」と記載されていれば、その条件に従って手続を行わなくてはなりません。

このような定期購入の解約トラブルには以下の3つのパターンがあります。

(1)解約には違約金がかかることを承知しているが、専用ダイヤルがつながらず解約手続きが進まないケース。

(2)ウェブサイトに定期購入であることが表示されておらず消費者契約法第10条を根拠に無効を通知するケース。

(3)ウェブサイトの最終確認画面に定期購入であること等が表示されておらず特定商取引法第15条の4を根拠に取消を通知するケース。

 本記事では、これら3つのケースについて、消費者が定期購入事業者に対して送付する通知書の書き方(ひな型)について例示します。
なお、ひな型に沿って通知書を作成して郵送したとしても、解約できることの保証はありません。
具体的な相談を希望される場合には、最寄りの消費生活センターにお問合せください。

それでは、以下に通知書の書き方(文例)を記載します。

【ご注意】
※本記事は読み切りであって、ご質問等には応じておりません。

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