見出し画像

読書の秋なので


 急に寒くなったから着る服ないな〜って毎年思っているけどやっぱり今年も思っている秋。そして私の誕生日がやってくる秋。そろそろ扇風機片付けないとな、と思いながら結局ずっとそのままにしていることになんとなく後ろめたさを感じつつ、人生の節目の日なので、何をしようかなあと考えて、読書の秋だしな〜と決めました。

神保町駅の出口から目と鼻の先

 2023年は年明けから読書にハマりにハマり、ありがたくその熱は今も冷めないまま続いているので、(いつも読んでるけど)ホテルで好きなだけ本を読むか〜!!と思いbook hotel神保町に泊まることにした。ホテルは駅の出口から出てすぐのとてもわかりやすい立地&綺麗な建物。すぐ近くに神保町ブックセンターとか古書店もたくさんありさすが本の街・神保町〜〜とあまりにも月並みな感想を抱きながらの訪問。今回は天気も微妙だったし、ホテルステイで本に浸かることだけを考えていたので、書店やカフェはまたの機会にぜひ訪れたい。

 チェックインは15:00から可能なのだけど、15:00には何人かエントランスにひとがきていて、みんな「時間いっぱい本を楽しむ気なんだな…」とおもうとニコニコしてしまった。かく言う私もその仲間であるけれど。

 一階エントランスから既に本、本〜!大都会の一角にあるホテルなのに、図書館の中にいるみたいな静けさが落ち着く。古書の町神保町だし、Book Hotelだし、わたしのような雑魚且つにわか読書家には理解できないような高尚な本ばかりあったらどうしよう…とちょっと不安にもなっていたけど、普段読むような本たちもたくさん並んでいて安心。1冊1冊、書評を読むのもたのしい。

 事前情報でホテルの中にとにかく本がたくさんある&様々なサービスで本を借りられたり貰えたりするため本を持参していく必要がないとわかっていたので、宿泊用品だけ持って行ったけど、これはむしろ半年くらい住める。自分の心が想像以上に踊ってしまいニヤニヤしそうになったので本当にマスクをつけていて良かったと思います。

 365日その日をイメージした一冊のコーナー。ありがたく誕生日当日だったので、迷わず10/8の本を手に取る。「とわ」の日ということで村山由佳さんの『永遠』。

 階ごと様々なテーマに合わせた本が特集されていて、エレベーターを降りた瞬間たくさんの本に出会える。「この本読んだことある〜!」とか「よく見かけるけど実際読んだことないな…」と思いながら本棚を眺めるのも楽しい。泣ける本のコーナーに辻村深月さんの『スロウハイツの神様』が鎮座しているのを見た瞬間には心の中でスタンディングオベーションした、選書担当様と握手したい。(辻村オタク)

 事前にアンケートに答えると、ホテルの方が自分のための本を選んでくれる「ブックマッチングサービス」。ホテルの方の手書きのメッセージ付きなのもとても暖かい。普段手に取ることがない、というか、見かけることすらないような本に出会えるときめきを味わえる。佐藤さとるさんの『だれも知らない小さな国』。コロボックルが登場する児童文学だそう。顔も知らない宿泊客に対して本を選んでくれる方の苦労を思うと頭の下がる思いだけど、誰かが私のために選んでくれた本というだけで、とても特別な本に思える。し、実際その時の自分にちゃんと染み込む話にも思える。ぽちぽちダラダラと続けている婚活目的のマッチングアプリなんかよりずっと私のことを理解し且つ暖かい気持ちにさせてくれるなんて、同じ「マッチング」なのにえらい違いだな……などとひとりごちたりもした。こちらはチェックアウトと同時に返却するものなので、今回はこちらを読むことにする。


 宿泊プランとして「コーヒー、チョコ+本を一冊」いただける「ブックペアリングプラン」というので予約していたので、早速フロントの方に声をかけてブックペアリングしてもらった。その時のイメージカラーや読みたい本のテーマなどから一つだけ選んで、本をいただけるサービス。悩みに悩んで「イメージカラー・白」にしたところ、村山由佳さんのエッセイ『猫がいなけりゃ息もできない』をいただいた。紙袋にラッピングした状態でいただけるの、ランダム好きのオタク心が疼く。なにこれ、ハッピーセットのおもちゃもらう時のドキドキだ!!可愛いねこ様の表紙に癒される。そして誕生日の一冊も村山由佳さんだったことに気づき、勝手に運命を感じてパチリ。ペアリングしていただいた本はもらえるものなのでこれは家に帰って読むことにする。

 枕元、ソファの横、部屋の中にも本がたくさん。こんな場所に今回一泊しかできないことをチェックインの瞬間から既に憂い始める。広い部屋、大きいソファとベッドと本、半年は住める。「ここがわたしのアナザースカイ‼️」みたいな気持ちでベッドに飛び込んでみたりした。

頂いたコーヒーと乃南アサさん

 誕生日ブックで選書されていた村山由佳さんの『永遠』に泣き、ブックマッチングサービスで選んでいただいた佐藤さとるさんの『だれも知らない小さな国』にわくわくし、立て続けに読了。自宅と違っていいベッド&枕だからか何時間読んでても体が痛くならないのもまた良い。晩御飯休憩を挟んだのち、何を読もうかなあと悩んで、部屋に並んでいた本の中から乃南アサさんの『しゃぼん玉』を読む。これが個人的にかなりのヒットで結局日付超えるまでかけて一気に読み終えてしまった。なんたる充足感。村山由佳さんも佐藤さとるさんも乃南アサさんも初読みの作家さんだったけどどれもとても面白く、こう言う形でないとなかなか出会えない、素敵な出会いをしてしまった〜。


朝はアメニティの緑茶と一緒に🍵

 正直神保町まできたしホテル泊だし翌朝はちょっと早めにホテルを出ておしゃれモーニングでもして帰ろうかな🎶とか思っていたけど、ホテルの中にいるだけで読んで読みたい本が無限に湧いてくる仕組み(?)なので翌日も朝から本を読んだ。朝井リョウさんの『ままならないならわたしとあなた』。初読み作家さんの作品にときめいて運命感じるのもよかったし、普段よく見かけるけどなかなか読むに至れていなかった本を読めるのもよかった。二局対立でこちら側にバカデカ問題提起をしたまま颯爽と去っていった朝井リョウさん本の余韻を引きずり、まだまだ気になる本が山のようにあったのに手に取ることもできず後ろ髪をひかれながらチェックアウト。何度でも言うけど半年住みたい。5億欲しい。(どさくさ)


 ひとつ歳を重ねて、10の位が一桁変わることへの恐怖や不安や焦りで、誰かと比べて隣の芝が一層青く見えることにしんどくなることが、ここ1年くらいは殊に多かった。誰しもがそうなのかもしれないけど、社会的な地位も恋人もない私にとってその気持ちはかなり強くて、でもだからと言って自分を奮い立たせ時に曲げてまで、誰かを出し抜きたいとか社会に同化したいと言う気持ちも起こせずにいる期間がかなり長かった。頑張りたいのに頑張れないし頑張りたくないでも頑張らなきゃいけないし頑張っている私でしか愛せない、そんな自分の中の歪みに耐えられなくなった。自分は本当に社会の中のヒエラルキーの極々端っこにいて肩身が狭く生きているような気がしていたけど、それでもまあ歳は抗えず重ねるものだし、私は私だし、2が3になったところで女の価値がどうと言うやつには言わせておけば良いんだし、正直毎日頑張って生きてるし、隣の芝が青くて私の芝が枯れていたってまあ枯れた芝もそれなりに素敵じゃない?と、最近になってようやく思えるようになった気がする。もはや諦めすら含んでいるかもしれないけど。そんな気持ちに傾いていた時に、今回このホテルで出会った村山由佳さんの『永遠』の一冊を胸に刻み込んだ。やはり運命やタイミングはあるかもしれないと思うし、そう思っていた方が幸せなんだと思う。

 「考えてもみて。人を恨みながら生きても、誰かと笑い合って生きても、同じように人生は過ぎていっちゃうのよ。あんたなら、どっちを選ぶ?」

p.71


 どう人生を転ばそうと、どんなに「年甲斐ないな〜」と思うようなことも、ハッピーラッキースマイル🎶の精神で楽しく生きていたいと思い直す。食べたいものを食べ、会いたい人には会いたいと言うし会いに行く。そう言う意味で究極にご自愛できた今回のホテルステイは大変有意義なものだった。素直な自分を曝け出〜し🎶愛することを諦めな〜い🎶って天下の嵐先生も歌っているからね。あいも変わらずこんなやつですが、いつも仲良くしてくれる友人各位、いつもありがとうございますそしてこれからも何卒。家に帰ってきたら、結論部屋のベッドが一番落ち着く。おやすみなさい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?