見出し画像

人生まだまだ初めてだらけの話


 やっほ〜オタクです。夏が来ることを認めたくない気持ちと、しかし事実感じる真夏の気温に唸り声をあげてしまう年頃。雨が降ったり暑くなったり、元気でいたい自分の意思に反して体が不調を訴えてくるのは加齢なのかしら。

 さて、アイドルオタクとしていろんなことを経験してきたつもりだけど、人生で初めて作家さんのサイン会に行った日の話を、熱いうちに残しておきたいので筆を取ります。あまりに興奮して色んなところで言いふらしているので耳タコな話がたくさん出てくると思いますが、私用の日記の気持ちでつけさせていただきたく悪しからず。これからサイン会に行かれる方にとって何かの参考になればいいけれども多分何の得にもなりません、悪しからず。


 大好きな辻村深月先生のサイン会開催の話を知り、これは絶対に行かねば!と鼻を膨らませたものの、WEBで先着申込のチケット。作家さんのサイン会って倍率もろもろどんなもんなんだろう?と全く見当もつかず。とりあえずいつものオタクの感覚で、発売開始時刻にスタンバイ。12:00になった瞬間ただ流されるまま画面操作をし、チケットを勝ち取れたとわかった時は自分がはて何をしたのかわからないくらい混乱していて、同時にじわじわと浮き足立ってもいた。結局チケットは発売開始数分で売り切れたようで、暦年のオタク人生の力が少しだけ発揮できたのかもしれない。先生にお会いできるんだと思うと、開催はまだ何週間目先なのに、なんだかこの時点からソワソワが止まらず、何度も何度もチケットを見返した6月頭。


 きっとサイン会の短い時間では伝えたいことも伝えきれないだろうと、手紙を書くことに。何を伝えようか、サインしていただく著作も今一度読み返し(そしてまた泣き)たり。そしてこの手紙を先生に直接渡せることを想像しては時々ぐっと涙ぐんでしまったりなどした数週間。


 そしての当日。19:00ごろのサイン会に対して、朝からソワソワが止まらず、パタパタと家の中を歩き回っては掃除したり料理したり。何をしていても気がそぞろになってしまう集中力の無さ。結局いてもたってもいられず、今世紀最大の気合いで化粧をし、普段ほとんどしないアクセサリーをつけ、一張羅のワンピースを着て外出。大混雑の土曜の都心でなんとかカフェの人席をゲットし、この数週間考えに考えた手紙の中身を清書。(現場前にカフェで手紙を書くの、松竹座以来でそれもまたニコニコしてしまった)緊張して胃がぎゅうぎゅう、食欲のない体にアイスティーをぶち込み、いざ参らん。

簡潔に書こうとしたつもりが便箋6枚分の激重レター

 イベント会場に着くと、ポスターなり看板なりの告知物もなく、スタッフさんもあくまでずっと「イベント」「サイン会」とだけ言っている印象で、「ほあ…大作家さんのサイン会となるとこのセキュリティ体制…」などと勝手に感心しながら決められた番号に並ぶ。番号を見るに1部50人くらいなのかな?という認識。50×5部制としても、今回サイン会に来られた人数って300人にも満たないんじゃないかと思うと震える思い。並んでいる方々は年齢も性別も様々で(チケットがネット争奪だったので若い人が多いイメージではあったけど)、ここにいる人たちがみんな同じ作品を読み、同じ本を買って今サインを心待ちにしているんだなあと思うと、ないコミュ力を結集させて端から声をかけていきたい気分だった(大迷惑)並んでる時点からすでに込み上げるものがあって、ぐっっっとおさえこんでいよいよ会場入り。テレビやメディアでみたままの穏やかで柔和でにこやかな辻村先生がそこにいらっしゃって、ヴワーーー!!!と叫び出したい衝動に駆られながら、はやる心臓と痛む胃腸。もはや大切な本を手汗でびしょびしょにしそうだった。前の方のお話も聞けるスタイルだったんですが、辻村先生がそれぞれに「昔から読んでくださってるんですか?」などと問いかけてくれて、皆さんが学生時代から読んでいる話とか好きな作品の話をしているのを聞いて、それぞれの人生の中にこれまでの人生と共に辻村先生の作品があるんですねというお話をたくさん聞いて、そしてまたそれに辻村先生が丁寧にその時の裏話なんかをしっかり時間のゆるすまで話してくださっていて、周りのファンもスタッフもそのやりとりに感嘆したり頷いたりしていて、アイドル握手会の強烈な剥がしと違ってここはなんて暖かな空間…(泣)などと涙しそうになりました(情緒不安定)ここで辻村先生がそれぞれのファンに話してくれたことも覚えていたかったのに、緊張しすぎて全然覚えていられなかったの非常に未練。
今にも泣き出しそうな心をぐっと奥歯を噛み締めて抑え込み、伝えねば!と意気込んで先生の前に立ったけれどもやはり頭は真っ白で、20周年おめでとうございますと、封筒に書いたうさぎの絵をかわいいと褒めてくださったことと、今回サインをしていただける『凍りのくじら』という作品のことがすごく好きだという話と、そして『凍りのくじら』にちなんでくじらの刺繍をしたんです!ということはしっかり伝えられました……もっともっと色んなことを覚えていたかったのに、初めてのサイン会体験、完敗。しかし実際サインをしていただいたページを何度も何度も眺めて触っては、宝物だなあとにこにこしている。学生の頃から読んでいた人に比べれば、大人になってから出会ったにわかファンだけれども、先生の作品に心救われたことは数知れず。そんな大尊敬の作家さんから、1番好きな作品にサインをしていただけて、大切な初体験になりました。


〜余談〜
 憧れの人に会えた緊張でサイン会が終わってしばらくしても胃痛と震えが止まらず、これはもう飲むしかない!!と思いたち、しかしよくある大衆居酒屋にドヨルに1人は入りづらいし、1人で居酒屋入るの実はほぼ初めてだし、でも今日は何でもかんでもとにかく特別にしたいなあという気持ちしかなかったので、おひとり様居酒屋を即検索。おひとりさまプレートをいただける、しかもビールが大好きな一番搾り!というお店を見つけ、即刻途中下車して電話予約を入れ、いざ出陣。一歩踏み出した自分に乾杯。

茗荷苦手だったけどこの茗荷サラダ(左下)は食べられた


 どうやらこちらのお店も何周年かの記念の年だったらしく、常連らしいおばさまが一杯目のビールを奢ってくださるというここでも初めて体験。世の中まだまだ知らないことだらけで、生きてるもんだな〜(壮大)などと思ったりした。おひとり様プレートはちょうどいい量でおいしかった〜地酒が色々あるお店だったので、ビールの後は日本酒をいただきました。

激かわいいラベル。Tropical Bunbun。

 日本酒ビギナーで甘めのが好きですとお伝えし、出していただいた山口のわかむすめをいただく。フルーティで甘くてしかし後味きゅっと爽やかな感じ?14度?の度数を感じさせないおいしさ、そのくせ飲みすぎてしまいそうな危険な味がした……炭酸割りにしたい。地酒は全国に無限にあって、そして奥が深くて、美味しい日本酒に出会えて、やっぱり生きてるもんだな〜(壮大)などと思いました。1人飲み居酒屋デビューとしてかなり良い経験ができた気がします。

 日本酒とビールで良い感じにほろ酔って、ホクホクとした気持ちのまま帰宅。飲み終わりのチョコモナカジャンボっていつもの5割増してうまいよね、と思いながらジャンボを食べて就寝した。

 数年しばらく心身ともに塞ぎがちだったけど、アラサーまだまだやれてないことありすぎだなあと実感したし、初体験に意欲的になれるくらいには元気になってきた兆しを感じ、そしてまたとてもいい初体験ができた特別な1日になって本当に良かったです。今後とも白い目で見られようと色んなところに足突っ込んでいくぞ〜、終われ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?