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外見はアラサー、中身は子ども。



 学生時代、数学とか化学とか物理とかうんぬんかんぬん、俗に理数系科目と呼ばれるものが嫌いだったな〜と思い返した、8月の共読『八月の銀の雪』2度目の読了。理系の知識に基づいた文章は、静かだけれども熱く、背中を押してくれる作品でした。今になってあの頃は、自分自身のわからない→悔しい→嫌いになった究極の負けず嫌いな感情によるものだったかもな〜と、最近こういう専門的な研究についての小説を読むたびに、自分の中の知的好奇心が存外ワクワクしているのを感じていて、それがたとえどんな形にならなくても、学び直してみたいかも、なんて気持ちになっているところ。あの頃の自分、勿体無いことしたなあと反省することばかりあるけれど、今からでも遅くないぞ!と思わせてくれるのも、本という存在のいいところだな〜と思います。


 5篇の短編集の中で、お気に入りは表題作の『八月の銀の雪』と『玻璃を拾う』かな。不器用だけどまっすぐでいる人が好きです。他ならぬ私自身の中にもある曲げられなさに、自分自身で「あぁ生きづらいなあ」と苦しむアラサー人生の曲がり角なんだけれど、その真っ直ぐさを大切に、捨てずにいてもいいと思わせてくれる暖かさが心地いい。ヤワそうな外核に見せかけてガッチガチに硬い内核のことも、大切にしてやりたい。


 お盆休みに帰省をし、リフォームを控えた実家の片付けをしていた時、小学3年生の頃の担任教師が、離任式の日に児童一人一人に宛てて詩を書いてくれた色紙を見つけた。竹中郁さんという方の「もしも」という詩だった。


もしも この地球の上に

こどもがいなかったら

おとなばかりで

としよりばかりで

おとなはみんなむっつりとなり

としよりはみんな泣き顔となり

地球はすっかり色をうしない

つまらぬ土くれとなるでしょう

こどもはとです

こどもはアコーディオンです

こどもは金のゆびわです

とびます 歌います 光ります

地球をたのしくにぎやかに

いきいきとさせて

こどもは

とびます 歌います 光ります

こどもがいなかったら

地球はつまらない土くれです


 どれだけの労力を割いて当時これを作ってくださったのかわからないけれど、いまになって頭が下がる想い。同時に、小学3年生の頃、何を言っているかわからなかったこの詩のことが、今になって少しわかるようになった気がして、ちょっとだけ泣いた。もちろん、甥っ子を持つ年齢になったことも大きいけれども。先生が他の児童にどんな詩を宛てたのかはわからないけど、先生が私にこの詩を宛ててくれたこと、先生の目にどんなふうに私が写っていたかを、しみじみと噛み締めたい思いでいます。世の中の顔色ばかりを伺わずに、自分が楽しいと思うことに手足を突っ込んで、自分の人生もっと楽しくしてやりたいなと、生きづらい世の中と禍のなかでしゅるしゅると萎んでしまっていた気持ちに今一度火がついた気がします。

 半年ちょっと、えぇ感じに読書体験を積み重ねてきて、今は割と理系分野に興味津々。昔の数学の教科書引っ張り出してきたら、「算数から始めないと無理かも…」となったことには絶望したけれども。天文台、プラネタリウム、鯨の声、いきもののこと、植物のこと、地球のこと、考え始めたら知らないことだらけで、本を読んで知ることばかり。ひとまず手近な博物館か美術館にでも行ってみようかなと思っているところ。こないだ台風7号のニュースで、「中心気圧が同じ場合強風域が狭い方が風が強くなる(台風の大小は強風域の範囲で決まるので小さい台風こそ風が強くなる場合がある)」と報じていて、ほへー!なるほど!と思わずiPhoneにメモしてしまった。そしたら今度はじゃあ中心気圧って何者?という話になってくるわけで、わたしの知的好奇心、よしよししめしめその調子…!というところです。そういえば夏は自由研究の季節だし、自分のワクワクを、少し膨らましてみますか。いつまでこの気持ちが続くかわからないので、熱意が冷めないうちにね。 

 何度となくこうしてnoteで筆を取りながら、生きづらいとか周りが結婚出産してどうとか、仕事がどうとか、人生しんどいとか、つらつらと恨み妬み嫉みのようなものをこぼしながらきたんだけど、視野を勝手に狭めていたのは他でもなく自分自身で、わたしはもっと無邪気でいたいと思った。アラサーにもなって子供じみすぎててアホなんか?と思われるかもしれないが、人間みんなアホである。好きなこと、興味があることに恐れず手足を出して、おもしろい!とおもえることに挑戦していきたい。まだ少しだけ、勇気を出さないといけないけど。

 最近読んだオードリー若林さんのエッセイで、斜に構えて馬鹿にしている時間が勿体無い旨のことを書かれていて本ッッッ当に「人生の教科書!!!!!」という気持ちになった。私はもっと素直で無邪気で愉快な大人になりたいのだ。なんだか読書感想文を書くつもりが、自分の人生の決意表明になってしまった。終われ。

 今月も共読ありがとうございました!付き合ってくれるご友人方に感謝感謝。引き続きよろしくお願い申し上げたい。あまりに暑くてしんどい日々が続きますけれども、どうにかご自愛ください!

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