見出し画像

STAYHOMEで映画HOMESTAYを見た話


 近年ステイホームって言いすぎてHOMESTAYなんだかSTAYHOMEなんだか割と本気で迷うアラサーオタク、そろそろボケ防止に何か始めた方が良いんではなかろうか…。

 映画「HOMESTAY」を観ました。なにわ男子の長尾謙杜くんが主演を務めたというただオタク的な理由ではあったんだけれど、日々を生きるためのヒントをたくさんいただいた気がするので、忘れないうちに書き残したい。


 森絵都先生の原作は自分が現役中学生の頃もあったのに、スポ根小説ばっかり読んでた私は冒頭の、天使がどうとか輪廻がどうのあたりでファンタジー小説か?とはねつけて読まないままここまできたこと、今になって本当に後悔してる。青々しい中学生だからこそ感じられることが、絶対にあったはずなのよ。まあでもそんなことを今更後悔しても後の祭りなので仕方ない。

 (あらすじについてはネタバレしかない粗めもを前記事にてあげているのでもしご興味ある方いたら参照ください。そしてこの記事も似たような割とどうでもいい感想をつらつらと書いているだけなのでチョコレートでもつまみに呼んでいただけなら嬉しいです。)

 世の中にはいろんな人がいて、いろんな感情があって、起きた時にはご飯が食べたいと思っていたのに、お昼にもなればやっぱり今日はパンの気分だなと思ったり。会社でちょっと苦手なあの人に、昨日は優しくできたのに、どうしても優しくなれず態度に日に限って、電車に乗り遅れそうになったり、仕事が片付かなかったり、携帯の充電を忘れたり、大きなミスをしたり、なんだか踏んだり蹴ったりだなあと自暴自棄になって、あぁ今日もどうしようもないわたしだったな、なんて思う日があったりするわけだけど、裏も表も赤も青も黄色も、それも全部紛れもなく私でいいんだよ、と優しく肯定してくれる物語だった。でも、反対に、そういう人の中のいろんな色を、大人と言われる年齢になった今、果たして理解しようという心を持てているか、誰かのことを意地悪に決めつけていないとかと問われると、ぐさぐさと胸の痛いような気づきをくれた。


 「お前には何が見えていた?」って真が兄から叱責されるシーンがあるんだけど、この台詞がこの映画の一つ大きな軸であると思っていて。「言葉にしなくても察してほしいじゃない、ちゃんと言葉にしなきゃわからない、ちゃんと向き合え」真にとって殻に篭って真っ暗闇だと思っていた世界には、見方を変えればちゃんと彩りも愛もあったということ。映画の描写の中で、真が自死を選択する理由の描写は個人的に多くないように感じていて、それは私がこの年齢だからなのか?14歳の若く青く幼い真にはそれだけの痛みがあったということなのか。私が今現役で学生だったら、きっとこの作品を見た時に感じることは、今と絶対違ったと思うし、多分何年か先にまたこの作品を読む時に感じることも違うと思う。今すぐJCに転生してぇ〜!中学生の真にとっては、家と学校が世界の全てなんだよね。学校でいじめられ、歪んだ家庭に帰り、夢を否定される日々の中で、茫然自失になって、世の中から必要のない人間だと感じること。自分で自分の世界に篭り続け、視点を変えるなんてことはなんてことは、できなかったんだろう。そもそも変えるに足る視点を持つということは、それだけの経験の引き出しを持っていないといけないわけで。大好きな絵を描く時間への悦びや、変わらずいてくれる幼馴染の存在以上に、心の中の闇に支配されるようになってしまったんだよね。


 映画をみたことによって、生きていくことに息苦しさを感じた時、「人生はホームステイだ」と自分自身を客観視することも大切なのだと教えられたのは、自分で自分をがんじがらめにしやすい自分にとっては大きかったな。ありがちに母の不倫のことやいじめのことが全て丸ごと解決ハッピーエンド!、とはならないことはまた一つ世の中とはそういうものだというメッセージなのだと思ったし、それでも真が最後「もう少しこの人生を愛してみようと思う」という小さな希望を見出したことは暖かかった。愛せるかどうかじゃないのよ、愛して見ようと思うことから始めるのが、きっと大事なんだと思う。しぶとく生きたら、見えることがあるかもしれないし。


 真が真である暗くて重たい世界、真の体を通してシロが見るちょっと違和感は感じるけど明るい世界と。シロが真として追体験的に生活を送る中で知る痛みや絶望から、ときどきその2つがドロドロと重なって溶け出しそうになり、ジクジクと気持ち悪さと痛みと切なさを感じたシーンの数々と。最終的にシロ自身が真であることを自覚した瞬間に、確かに別々だった魂が一緒になったように見えた。内向的で大人しくてピュアな真と、優しく明るく男の子らしくかっこいいシロの真と。嗚呼長尾謙杜くん、すごい俳優さんだったよ。普段映画とか2時間見てられない人間なんだけど、すっかり引き込まれてしまった。ポスター?(なんていうの?)の長尾くんが一見笑顔なんだけど窓には真が写っているのがいいよね。いろんな人に見てほしい作品だなって思った。わかっていてもついつい忘れそうになってしまうことを、たくさん教えてもらった気がします。


 しかしまつ毛の長さには毎度真剣に驚くからその睫毛おばさんにちょっと分けてくださいと思ったし、長尾ちゃんがドラマでいじめられるシーンを見ると「そんな可愛い顔面の子をいじめたのはどこのどいつだ!?!!面をかせ!!?!」と思う私がいる。大きなお世話だよ。終われ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?