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ゲーム批評祭投稿 Life is a Game

最近18歳になった僕。
海外に住んでいる都合上、来年からは一人暮らしです。


そんな人生に不安を抱き始める時期に、こんなゲームを見つけてしまいました。


life is a game
直訳は『人生はゲームだ』
いかにもティーネイジャーが好みそうなタイトルに、あっさり惹かれてインストール。
オフラインゲームということもあり、隙間時間にプレイすること百数十回。
気がつけばがっつりやり込んでいる自分がいました。
というわけで、ここからはいくつかの項目にわけて、僕を沼にはめたこのゲームを紹介していきたいと思います。


ゲームシステム


このゲームはジャンルでい言うのならばラン系シュミレーションゲーム。
道中に出現する様々な種類のコインと、Choiceボタンによる選択によって擬似的な人生を体験することができます。
お金や勉強などの能力を司るコインは集めた量に応じてそれ相応の見返りがあるので、積極的に集めて行きたいところ。
ただし、友達、恋人、ビジネスチャンスなどの人生の要所要所では、選択ボタンを押していかないと味気のない人生になってしまいます。


このプレイヤーのジレンマをさらに加速させるのが画面の端に位置する自由時間とヘルスバー。
ヘルスバーは健康、メンタルの二つがあり、それを害するものを取得すると減少し、完全になくなると病死、自殺エンドが登場。
自由時間のボタンは一定時間経つと復活し、趣味を楽しむ、友達or奥さんに電話をかけるのどれかを選択できますが、偏りすぎるとフィードバックの画面で寂しい絵図が流れてしまうので、かなり神経を使います。
ラン系ゲームの特徴である慌ただしさの中、周りに気を使って行きていく。まさに人生そのものを約5分間のプレイ時間、そして手軽なスマートフォンで体験することができます。


グラフィックのこだわり
今のゲーム上で語られるグラフィックに求められるのはリアリティー。
より鮮明な画質でぬるぬる動くキャラクター。圧巻のデジタル絶景。
それはゲームアプリでも同じで、最近では黒い砂漠mobileが注目を浴びていました。
ただlife is a gameでは古き良きドット絵で表される細かなディテールが本当にいい味を出しています。
簡略化された表情はよりストレートに感情を表現し、
一見なんでもないように見えるバックグラウンドにも、小さいおもちゃや、教室で遊ぶ子供達など、ある種のノスタルジーを誘うような演出が。
特に愛の告白成功時に相手の女性が見せる1ピクセルの嬉し涙は是非とも本編を遊んで見てもらいたいです。


シュミレーションゲームとしての側面
このゲームは主に死なずにより多くのものを手に入れる(金、嫁、家など)のが目的ですが、多くのプレイヤーが待ち焦がれるのが、人生終了時に表示されていくフィードバックです。
愛妻家だった、孤独だった、おしゃれだった。
そんなコメントと共に流れる人生の場面のドット絵。
最後にはキャラクターが歩いてきた道を逆戻りし、人生の要所要所でコメントを残していきます。
このマルチエンディングをすべて見るのはかなり高難易度で、すでに色々調べてかなり回数プレイしているのですが、なかなかすべて拝めません。これはやり込みたくなる。
またよりリアルな人生を演出するため、キャラクターの年齢や健康状態などのステータスにも一工夫、製作者のこだわりが見て取れます。
ゲーム開始時、プレイヤーは赤ん坊、幼児、学生と、徐々に成長していくのですが、この序盤のフェーズでは、メンタルの数値がとても上がりやすく、下がりにくいです。
ただ歳を重ねるにつれて、段々とメンタルの上がり幅が小さくなって行きます
婚期をすぎて中年時代にもなると、お金のコインを獲得することで発生する僅かなメンタル現象でさえ回復が間に合わないほどに休息の機会も回復量も減っていきます。


シュミレーションゲームと言えば、主に自由度の高いアクションゲーム(Goat Simulatorなど)が主流でした。
ただLife is a game では選択と運の相関性、数値では表しにくい人の感情や気分、プレイヤーに身近な題材で訴えかけるコンセプトなど、かなり異質なファクターを軸にシュミレーションを展開して行きます。
プレイ中のありとあらゆる選択を、フィードバックで余すことなく伝えきる。
やってきたことが何一つ無意味では終わらない。
そんな人生の感動を製作陣は伝えたかったのでしょうか?


最後に
ユーザー層のこともしっかりと考え、簡単な操作方法、ノンゲーマーも入りやすいグラフィックなを完備しつつ、コアゲーマーのためにしっかりとやりこみ要素を入れて収集癖を刺激。
このように人生というビッグな題材を扱う上で、その複雑さを見事にシステムに落とし込み、その表現が許す範疇でゲームとしてより面白く、やりごたえのある形に仕上あげていました。


18という大きな人生の分岐。この先も、こうやってルート選択を迫られることが多々あると思います。皆さんも少し人生に疲れたら、このゲームで客観的に世界を眺めるのはいかがですか?少し微笑ましくも、ブラックなその世界が、なんだかより身近で暖かいものに感じられると思います。

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