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ランニングシューズ履き分け

今年度のレースで1番話題をかっさらったのは、ナイキのヴェイパーフライNext%ではないだろうか。

色々な意見があるが、シューズに注目が向くこと自体は悪いとは思わない。陸上競技・ランニングにおいて、シューズは大きなウエイトを占めるものだから。そして、ランナーにとってシューズは生命線だから。

ランナーの推進力となるのは地面から受ける力のみ。そして地面とランナーを繋ぐ唯一のものがシューズだ。シューズがランナーにとっての生命線であることの説明はこれで十分だろう。

だが、レースシューズと同様に、普段のトレーニングシューズも注目されて欲しいと思う。日々のトレーニングあってのレースなので、トレーニングシューズの選択にこそランナーの考えがより詰まっていると思う。
また、一般のランナーにとっては、トップランナーのジョギングペースがレースペースくらいになるので、そちらの方が参考になることもあると思う。

シューズ全般についてより詳しく知るのならシューズ専門家に聞いた方が良いのは間違いない。ただ、1選手が自分の生命線についての考えを発信するのも悪くないとは思うし、他の選手の考えを聞いてみたいとも思うので、思いつくままに書くことにした。

今は基本的に以下の4足で回している。
フリーランは稀に履く程度なので、実質3足。
今日から始まる合宿は上の3足で乗り切る。

ヴェイパーフライNext%(以下ヴェイパー)
レース、もしくはそれに準ずる練習。1km3’00を切るようなペース。

ペガサスターボ2(以下ターボ)
1km3’30前後の距離走。タータントラックでの1km3’10くらいまでのペース走なら使ってしまう。1km3’30くらいまでならヴェイパーフライよりもターボ2のほうが走りやすく感じる。

ペガサス35(以下ペガサス)
普段のジョギング。万能クン。

ナイキフリーラン5.0(以下フリーラン)
12kmくらいまでのゆっくりジョグで履く時がある。

私は大学2年の時からジョグシューズはほとんどペガサスを履いている。モデルが変わるたびに新しいペガサスを履いていた。
しかし昨年夏、ペガサスターボ2という神シューズに出会ってしまった。これがスピードが出る上に疲れずにいくらでも走れてしまう。ペガサスのスペックを上げて使用範囲が広がった感じだ。そこで、夏から秋にかけてはほとんど全ての練習をターボでこなし、ポイント練習だけヴェイパーを履いていた。
しかし今はターボも準ポイント練習(ロング走、それほど速くないペース走)で使うことにして、ペガサスをメインでやっている。ペガサス36でないのは35をまだ履き潰してないからで、それ以上の理由はない。
ターボはジョグに使うにはペースが上がり過ぎてしまい、落としたい時にも落とせない。普通に走ろうと思ってもキロ4は切ってしまうし、脚へのダメージを感じづらいので距離もたくさん走れてしまう。
疲労の自覚症状がなく靴に走らされてしまい、結果キャパオーバーして脚を痛めてしまった反省があるので、普段のジョグはペガサスに変えた。ペガサスは正直、ターボほど楽には走れないが、その分より身体に向き合うことはできる。よほどペースを上げなければスペックとしても申し分ないので、長期的に考えてペガサスに戻すことにした。

フリーランを履く理由

ターボからペガサスに履き替えてまず最初に
「薄っ!」
と思ってしまった。以前はペガサスで薄いと感じることはなかったので何かがおかしい。
自己分析だが、ターボのクッション機能に頼ってしまっていて足指や足底をうまく使えなくなったのだろうと思った。身体の上から下まで満遍なく使えた方がいいことを考えると、こらはマイナスである。
そこで、申し訳程度にフリーランを履くようにした。フリーラン5.0はフィット感抜群で、足裏をフルに使えるから薄さほどのダメージは感じない。
そういう経緯があって今は上記4足でトレーニングを行なっている。

ズームフライは履いていない

ペガサスターボと同列に扱われるシューズにズームフライがある。

ターボは「ボフッ」と沈み込む感覚。
ズームフライは「パシッ」と反発する感覚が強い。両者、一般的なシューズにはないクセがある。
その2つが調和したものがヴェイパーと考えている。ヴェイパー、特にNext%は言うほど気難しくなくて意外と万人受けするヤツなんじゃないかと思う。

ターボはそこまで人を選ばないが、ズームフライはかなりクセが強い気がする。ヴェイパーの練習用シューズと言われるが、間違いなくヴェイパーより履きこなしが難しい。
具体的には、膝下の脱力と、上半身と下半身の連動が高いレベルで取れていないと、強みを生かせない気がする。それができていない状態だと、重くて硬いソールが牙を剥いて脚へのダメージがむしろ大きくなってしまう。
実体験だが、ソールが厚い分かなり地面をプッシュしてちょうど良いくらいなので、他のシューズで同じ感覚で走ろうとすると脚を痛める危険がある。また、そもそもソールの厚さが違いすぎて接地のタイミングが全然合わなかった。

ズームフライ3の評価が周りでとても高いので気になっているが、履くとしたらペガサスやターボを挟まずにズームフライ仕様の走りを叩き込むことになると思う。

厚底シューズを履いたら脚の筋力が落ちるのか

厚底シューズという概念が出てきたのも最近なので蓄積されたエビデンスはない。だから個々の感覚によるとしか言えない。その上で言うと、個人的にはそこまで気にしすぎる必要はないと思う。さすがに全てのトレーニングをヴェイパーで行うとなれば話は変わるが。
まず故障のリスクが抑えられるのは歓迎すべきこと。そして脚への負担が減る分トレーニングの質量を高めることができる。長距離走はいかに楽に走るかが勝負なので、厚底シューズを履いて楽に走れるならばまずはその感覚を擦り込んだ方が良いと思う。
故障せずに質量高いトレーニングを積めば、脚の筋力とやらは十分にペイできて、ついでに心肺機能にはより負荷がかかるので全体としてはプラスになると思う。
走って身につく脚の筋力は”おまけ”のようなものなので、本当に筋力が欲しいなら自重でもウエイトでも筋力向上に特化したトレーニングを別で行う方が良いと思う。
ただ、上に書いたように、ターボやヴェイパーを履いていて、足底や足指に関しては使い方が下手くそになった自覚があるので、申し訳程度にフリーランを履いている。
全体としては、脚を前で捌く感覚が身につけることに繋がると思うので、得られる恩恵もあると思う。

私のシューズに対する考えはこんな感じである。

ランナーの特性が十人十色である以上、シューズ選びもそうあるべきだが、少しでも参考になれば嬉しく思う。


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