恋愛小説

恋愛小説が好きではない。
なんでかと言うと、自分ともう一人ですべてをまるっと収めることがゴールであることが多いからだ。

人にはいろいろな面がある。
優しいとき、悲しいとき、どうしようもなく腹立たしいとき。
ゆっくりしたいとき、何かを追いたいとき、新しいことを知りたいと思うとき、いろいろ。

それに人の心は常に移り変わる。
同じ場面に遭遇したとしても、その時その人が置かれている状況、疲れていたり、悲しいことがあったときと、毎日幸せなときや直前に嬉しいことがあったときでは、人の行動は変わる。
経験を得たり、歳を取って身が変わることで心も変わる。

それなのに、自分の全てを理解してくれたり、自分の欲しいものをすべて与えてくれたり、どんな時でも自分に好意を向けてくれることをたった一人に求め、どうにかしてでもその関係を成り立たせればすべてが解決すると思い込んでしまう。

実に非合理的だ。
そもそも人間は社会性を持った生き物である。
多くの人と関わりあうことで生きていく種だ。
それなのに、たった一人に自分のすべてを任せようとするのは理に反しているとしか言いようがない。
人は誰かを愛せるだろうけれど、たった一人だけ愛することができればすべてが報われるなんてことはないし、それをしたらかなりの確率でお互いに不幸になる。
何が真の愛かなんて、たった一人のことだけを考えているだけで見つかるはずがないのだ。
多くの人を見、人間とはどんな生き物なのか、この地球の生物はどんな特性を持っているのか、どうして宇宙から生命が誕生したのか、それらを考えなくては愛とはなんなのかにはたどり着けない。

それでもふと思い出したように恋愛小説を読んだり、そういう手の映画を見たりしてしまうのは、愛とはなにかを確かめる相手がいないから、せめて文字や映像で答え合わせをしたいと思ってしまうからなんだと思う。

皆さまのご厚意が宇宙開発の促進につながることはたぶんないでしょうが、私の記事作成意欲促進に一助をいただけますと幸いでございます。