包み込むこの憂鬱で

雨の降る夜…湿ったにおいが窓から流れ込む…私は何故だか泣いていた…グズグズと鼻水をすする音…ああ…なんて惨めな時間なんだろう。

それでも、この真っ暗な中、耳を通して心に流れ込むメロディは心地の良いものだった。意識がどっか遠くに飛んでいく。そんな小さな旅ができていたから…それももう、いまから数えて…いち・にぃ・さん・…とそれほどの月、前…の話だ。

かわいた唇、かみ締めるあの日の雨を、あの日の空を、私はどうやっても無くさない為にしっかりと心に刻み付け、その五弦の重さ・六弦の中の音遊びを夢の中迄運んで行った。 

あの日はずっと雨だった。部屋の中までひたひたに、水に浸かってしまうようだった。それは夢であったかもしれないし…夢ではなかったかもしれないが…とにかく溺れて…息が出来ない…苦しい。苦しい。

孤独とはまことに陰鬱になるものだ。孤独のはずの私ですら…陰鬱を恐れ、畏れ、おそれている。

夢の中で…もうすでに治らなくなった…左腕の、自傷行為によるケロイド状の傷を、上からさらに切りつけていた。

痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。

#夢のような夢

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