今日からできるPOTSを予防する工夫


マイペースで起きてOK、ただし規則正しく

前述のゆる体操などでウォーミングアップをして、のんびり、目覚めの時間を過ごしたらそろそろ起きてみましょう。

朝は何時に起きてもかまいません。ただし、なるべく決まった時間に起きるようにしましょう。たとえば午前2時から3時に休んで、10時過ぎに起き出してきてもいいのです。

でも、それでは学校や仕事に間に合わないと思うかもしれません。幸い、いまの時代はフレックスタイム制度を導入している会社も少なくありません。学生だったら午前の遅めか、午後からの授業を中心に単位が取れるように学務課と相談してみましょう。どうしても難しい場合は、通信教育制の学校への転入学や編入学も考慮に入れてください。

また、リモートでの授業や仕事も普及してきました。このような手段を活用すれば、時間や体力の負担になる電車などでの移動を減らせる点で、余裕をもって一日を過ごせるのではないでしょうか。

最低2リットルの水を飲み、食事は和食を中心に

ふだんの生活で心がけてほしいことは十分な水分を摂ることです。POTS患者さんは体の中に含まれる水分量が低めで、とくに夏場は脱水になりやすく、調子を崩しがちなのです。

心臓や腎臓の働きが悪くないかぎり、目安として一日2リットル程度は水を飲みましょう。よく、お茶やコーヒーでもいいかと聞かれますが、カフェインには利尿効果があり、せっかく水を飲んでもすぐに体の外に出てしまいます。

また、塩分も多めに摂ってください。一般的には高血圧の予防のために一日6グラムの塩分が推奨されていますが、POTS患者さんにはこの2倍の12グラム程度は摂ってもらうようにしています。この量は日本人の塩分摂取量の平均とほぼ同じです。和食を中心にした食事を心がけると、自然にクリアできると思います。ちなみに味噌汁1杯には1.5から2グラム、塩鮭1切れでは2から5グラムの塩分が含まれています。

寝起きの悪さへの対策としておすすめするのが、朝起きたときに水を飲むことです。すぐに飲めるように枕元にペットボトルなどを用意しておくといいでしょう。というのも、水を飲むと十二指腸にある浸透圧を感知するレセプターを介して交感神経が刺激されることがわかっているからです。

ただし、この目的のためには少し多め、目安として500ミリリットル程度の水を飲む必要があります。また、スポーツ飲料など水以外の飲み物ではこの効果はありません。「一気飲み」する必要はありませんが、5分くらいで飲み終えてください。

着圧ウエアは脚からお腹までカバーするものがおすすめ

外出するときは、サポート力の強い靴下か、できればストッキングやレギンスのように脚からお腹までカバーできるタイプのものを身につけてください。下肢の血流を心臓に戻す働きを補助して、立った状態で起こる症状を和らげてくれます。20から40mmHg 程度の着圧が得られる医療用の弾性ストッキングがいいと思います。これは軽度から中等度の静脈瘤を治療するレベルの圧力です。ただし、かなり締めつけ感が強いため、短時間の外出から試してみて、不快な症状が出たときは使用を中止してください。


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