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山城初心者のための持ち物リスト

はじめに

最近、低山遭難に関するニュースをよく見るようになりました。
コロナ渦でアウトドアブームが来ているとも聞きますので、はじめて登山する人が増えてトラブルが増えているのかなと思います。

一方、城巡り人口も年々増えていて、その中で山城に行く人も増えているかと思います。基本的に低山でのトラブルは山城に行く人にも同じ様に起こります。以下のニュースは金華山、つまり岐阜城でのトラブルが増えているという記事です。

私は2015年から城巡りをはじめて、これまで300以上の城に訪問しました。関東在住なので必然的に山城が好きになり、山城が大半を占めるようになります。さらにコロナ渦になって登山にも手を広げるようになり、様々な知識を得るようになりました。今になって振り返ると、はじめの頃の私の行動や装備に問題があるなあと感じます。

というのも、山城初心者向けの書籍には登山に関する記述は少なく、簡易な装備で十分という趣旨の記述が多く見られます。おそらく、山城へのハードルを少なくする意図があるのだと思います。それはそれで私も賛成なのですが、やはりもう少し詳しいがあった方が安全だったなと思います。

逆に、登山の初心者向けの書籍・記事ではかなり詳細に記載されています。登山にはリスクが多いので注意喚起のために必要なことだと思います。また、揃える道具も登山ショップで購入するものが多く、登山ショップの装備は基本的に高価なものが多いです。そうなると、やはりハードルが高くなってしまいます。

そこで、私なりに考えた山城初心者向けにちょうど良い装備をご紹介したいと思います。手頃でハードルが低く、かつ最低限リスクを軽減できるように参考にしていただければ良いと思います。
とはいえ、私の主観による選定になりますので、その点はご留意ください。リスクをおさえながらご自身で感じた必要な装備を揃えていってください。

必ず必要な装備・服装1(三種の神器)

第1に必須と思う装備・服装を紹介します。
まず、登山の三種の神器をご説明します。これは山城向けにも必要と思います。

・登山靴
・ザック(リュックサック)
・レインウェア

まず、登山靴から。いろいろなところに記載されている初心者向けの靴はミドルカットの登山靴です。ハイカットは本格的な登山用でそれよりは足首まわりの高さが低いものになります。昔から足の捻挫を防ぐために足首をしっかり守ってくれる登山靴を、という目的とのこと。こちらは登山ショップまたはスポーツ用品店で購入できます。必ずショップで試着してから購入するようにしましょう。サイズだけでなく足幅も重要です。
私のおすすめはローカットの登山靴です。確かに足首まわりがしっかりしていると捻挫の程度は下がると思いますが、捻挫するか・しないか?は歩き方の問題だと思います。山城を歩く人は街歩きもたくさんします。なので軽量で歩きやすいローカットの方が便利です。
とはいえスニーカーは避けた方が良いと思います。スニーカーと登山靴の違いは、防水性と足底のグリップ力、ソールの硬さです。値が張っても多少は良いものを購入すべきです。

次に、リュックサックについて。こちらは手を空けるためにも、登山中の疲れを軽減するためにも必要です。サイズは10L~20Lくらいのもので十分です。あと、腰ベルトが付いているものを選ぶと良いと思います。腰で重量を支えてくれるので肩の疲れを軽減してくれます。

最後にレインウェアについて。最初は折り畳み傘でもよいです。なるべく天気の悪い日を避ければよいのですが、山の天気は崩れやすいと言いますので、念のため折り畳み傘を常にリュックサックに入れておきましょう。
というのも、レインウェアは非常に高価ですし、だからと言って安価な中途半端なものを選ぶのもよくありません。頻繁に行くようになったらしっかりとしたゴアテックス素材のレインウェアを購入すると良いでしょう。

必ず必要な装備・服装2(その他の持ち物)

三種の神器以外に必要と思う装備・持ち物は以下の通りです。

・ヘッドライト
・水とおやつ
・地図(縄張り図)
・薬・救急セット(ファーストエイド)

ヘッドライトは山城初心者は持っていないことが多いと思います。私も登山をはじめてやっと購入しました。というのも、使うことがほぼありません。でも、道迷いして、遭難したときに暗くなったら必要なものだと思います。普段は街に住んでいる私たちには、夜間の山は想像を超えるほど暗い。だから万が一に備えて持っておくべき装備です。低価格のもので良いので準備しておきましょう。予備の電池も忘れずに。

は重要です。山城の中で購入することはほぼできないと思ってよいでしょう。私は山城に行くときには500mlのペットボトルを2本持っていくようにしています。山に登ると冬でも汗をかきます。季節に限らず持ち歩きましょう。
それから、おやつも意外と重要です。登山用語でいうところの行動食にあたります。行動食というと、カロリーメイトやゼリー状のものを想像する人もいると思いますが、普通のおやつ、スナック菓子やチョコレートでもよいです。主郭や景色のよいところに着いたら、おやつを食べながらひと休みすると楽しみも増えるというものです。

地図はいうまでもなく。山城好きな人は縄張り図を持っていく人が多いでしょう。これはリスク回避のためにも重要です。そもそも、城郭というのは敵兵がすんなり攻め込めないようにするため、迷わせる仕掛けがたくさんあります。したがって、縄張り図を持って歩くことでどこにいるのか?を把握することができます。よく整備された山城では案内板も出ているので迷うことは少ないのですが、そうではない城郭もあります。
また、地図は城域の縄張り図だけでなく登山口から城域までのルート地図も必要です。山城は基本的に登山する人たちにとってマニアックな山域であることが多いです。それによって詳しい地図が手に入らないこともしばしば。地図が手に入らない場合は写真付きのブログ記事や攻城団などのサイトで情報を入手すると良いでしょう。
それから、地図を読むためにもコンパスはセットで必要になります。私も何度か方角を間違えて迷ったことがあります…。

最後に薬・救急セットです。登山ではファーストエイドとして様々なものを用意して、何かあったときに対処できるようにします。山城初心者でも以下のものくらいは持っていくと良いでしょう。
・絆創膏
・消毒液
・テーピング(捻挫の処置だけでなく靴擦れの処置にも使うことが多い)
これくらいならば近所の薬局でも購入できると思います。

必ず必要な装備・服装3(服装)

登山初心者向けの記事や書籍ではあれもこれも買うべきという記事が多いです。でも、すべて揃えたら金額は相当なものになります。というのも、登山の服装は一着一万円を超えるものも多くあります。確かに機能は優れたものなのでお金に余裕がある方は揃えても問題ありませんが、最初から手を出すには庶民にはつらいものがあります…。

そこで揃える服装のポイントをご説明します。ポイントをおさえれば安価なものでうまく揃えることもできます。
・レイヤリング(3レイヤ)
・素材

この二つです。以下、それぞれ解説します。

レイヤリングはいわゆる重ね着です。薄い素材の服を重ねて着ることで暑くなったら脱ぐ、寒くなったら着る、というように調整します。というのも、登山中、とくに登りでは体温はかなり上がります。しかし、山頂で休憩をとると寒くなります。特に山頂は標高が高い分、気温が下がっています。さらに登りで汗をかいてしまうと汗の蒸発により体温が一気に下がってしまいます。つまり行動中は汗をなるべくかかないようにして、休憩中は体を温めるようにすることが大切です。

素材も重要です。それは、汗をかいたときに早く乾くようにすることです。NGの素材はずばりコットン(綿)です。コットンは汗を吸って、なかなか乾かない素材なので避けた方が良いです。おススメの服装は化繊のインナー(ロングTシャツなど)とソフトシェルまたはウィンドシェル(いわゆるウィンドブレーカのようなもの)、冬はそれに加えてダウンジャケットまたはフリースを着ると良いです。私はユニクロのウルトラライトダウンを夏でもリュックに忍ばせておいて、山頂でひと休みするときに体が冷えてきたらすぐに着ています。

服装に関する詳しい解説は以下の動画がおススメです。

理論的に理解することで、安価なものでしっかりリスクを下げられるようになります。お金で解決したい場合は登山ショップで揃えれば良いでしょう。登山ショップには以上のようなポイントをおさえたものが揃っているので外すことはありません。

必要ではないもの

これまで必要なものを紹介してきましたが、続いて必要ではないものを紹介します。いらないという訳ではなく、最初から必要とも言えないもの、私が最初に購入していらなかったと思うものです。したがって、行き先(山城)や行く人(体力など)によって変わりますので、その点ご注意ください。

・ストック(トレッキングポール)
・チェーンスパイク・アイゼン
・登山用グローブ
・熊鈴

ストックは、私が最初に買ってしまったのですが、使う機会はありませんでした。捻挫など怪我をしたときに降りられないと困るかな?と思って買ったのですが、今思うと買わなくても良かったと思います。しかも、ケチって1本だけ購入したので中途半端でした。ストックは歩行中の疲労軽減やバランス確保にあると便利なのですが、山城は比較的歩行時間も短いので最初から必要という訳ではありません。それよりも無理な計画をしないことの方が重要です。

次にアイゼンチェーンスパイクというものです。これは靴に取り付けて雪道を歩くときに滑り止めになるものです。山城初心者の方は、そもそも最初から雪道を歩く可能性のある場所は選ばない方が良いです。雪道は歩行時のリスク以外に多くのリスクがありますので避けるべきです。慣れてきたら冬はチェーンスパイクを忍ばせておけば何かあったときの保険になると思います。

グローブは登山中にロープが設置されているところで必要になるのですが、山城でそういった場所は多くありません。本格的なグローブは登山をしていくと必要になっていくのですが、山城であれば市販の軍手で十分でしょう。滑り止めが付いている軍手であればなお良しです。鎖・ロープの場所以外でも下山時に手をついて降りると安全な場所は多くあります。その際に軍手があると便利なのでひとつ持ち歩くのが良いです。

熊鈴については賛否両論あるようです。熊鈴では効果がないとか、むしろうるさいのでやめてくれとか、様々な意見があって必要論・不要論が分かれてきます。心配であれば持っておくと良いと思いますが、必要かと言われると疑問が残ります。

どこで購入するのか?

以上、必要なものを紹介してきましたが、どこで買えばよいのでしょうか?
必要なものはすべて登山ショップで購入できます。(石井スポーツ・好日山荘など)
しかし、高価なのでなかなか手が出しにくいのも事実です。そこで、安価でいろいろ揃えられるお店を紹介します。

1.ワークマン
もともと作業着のお店でしたが、最近では作業着を作るノウハウを活かして登山者用の服を作っていて、登山者たちに人気です。金額が押さえられるので非常に良いと思います。

2.ユニクロなど低価格帯のアパレルショップ
コットンの品が多いので選択肢は少なくなりますが、知識を持って選べば安く必要なものを入手できます。

3.百円ショップ
最近では山で使えるものも揃えるようになってきました。広い店舗でじっくりさがせば、必要なものに出会える可能性があります。

4.スポーツ用品店
登山用ではないですが、化繊のウェアを購入できます。私はスポーツ用品店のバーゲンセールで化繊のトレーニングウェアを探してインナーレイヤとして揃えることが多いです。

5.モンベル
こちらは登山ショップなのですが、その中でも比較的低価格の商品が並んでいます。登山ショップで一通り揃えたい人はおすすめです。先に示した4つのショップで探して最後に揃わなかったものをモンベルで入手するというのがよいでしょう。

まとめ(チェックリスト)

最後に持ち物リストをまとめます。
【凡例】 ○:必須、△:あったらよい、×:最初はなくても良し

・登山靴 ○ → おススメはローカットの登山靴
・ザック(リュックサック) ○ → 10L~20Lで腰ベルトあり
・レインウェア × → 最初は折り畳み傘で十分 ○
・ヘッドライト △
・水とおやつ

・地図(縄張り図)
→ 加えてコンパス
・薬・救急セット(ファーストエイド)
→ 最初は絆創膏+消毒液+テーピング
・服装 △ → レイヤリングと素材が重要!
・ストック(トレッキングポール) × → 必要なら2本のものを!
・チェーンスパイク・アイゼン × → そもそも雪道を避ける
・登山用グローブ × → 最初は軍手でOK!○
・熊鈴 △ → 自己判断で!

山城を気軽にはじめるにはあまりうるさいことは言わない方が良いと思います。しかし、それでも実際にトラブルになることが多いのも事実ですので、知っておくべきことはあると思います。

そのためにも初心者向けの最低限の知識を得てもらい、安全に楽しく山城巡りに行っていただきたいと思います。この記事がその一助になれば幸いです。

今回は持ち物リストをご紹介しましたが、次回ははじめての攻城(登山)計画の立て方や攻城(登山)中の行動注意点などを紹介したいと思います。
長い文章になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!

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