バークリー理論とクラシックの和声法
iiの和音を最初にIIm7と書いたの誰なんだろう。。僕はこれはすごい発明だと思っています。
クラシックの和声法、どの本を読もうかなって軽く調べたら、近代に限ってもシェーンベルクやヒンデミット、日本だと藝大和声というのがあって赤い本、黄色い本など幾つか…
いわゆるバークリー理論(巷でポピュラー音楽理論と言われているもののことです)でやってきた僕ですが、クラシックの和声法の、主に短調の扱いを確認したくて軽い気持ちで始めたのですが沼でした 笑。
お世話になったアニソンの作家さんもシェーンベルクの和声法を使って学んでいました。このヒット曲沢山のかたは音大出身ではありません。やる人はちゃんとやってる。
僕はといいますと『ジャズ・スタディ』渡辺貞夫著に地元の図書館で触れたのが初めての音楽理論でした。中学生の時です。だからクラシックの和声法でiiと書くべきところをIIm7と記すのに全く抵抗無かったし、そういうものだと思っていました。渡辺貞夫さんがバークリーで学んだことをまとめた本です。
ヤマハが教えているのは、クラシックの和声法も使いつつ、この『ジャズ・スタディ』を、より分かりやすくしたものという見解もあるようです。日本のポピュラー音楽理論の特殊事情ですね。
バークリーを日本人で初めて卒業したのは穐吉敏子さんだそうです。自伝『ジャズと生きる 』より…『トニーはバークリー音楽院が、シリンガー・システムという音楽理論を教えていると同時に、ジャズをも教える唯一の公認された学校であると私に教えてくれた。』(p107)このトニーという人はボストン出身のギタリストの米兵で、穐吉さんの渡米への夢への助言。
前置きが長くなりました。
いわゆるバークリー理論はロシアの作曲家、ヨーゼフ・シリンガーの理論が礎になっています。そのヨーゼフ・シリンガーはスクリャービンの弟子なんです。そして、ガーシュウィンやグレン・ミラーはシリンガーの弟子です。
歴史は繋がっていて、突然にジャズ理論 vs クラシック理論、みたいなものではない事が分かります。
このあたりの歴史は本当に面白いです。
まぁもう、なんと言いますか、今生のうちに学びたいんですこの事。義務感でも何でもないです。興味と探求。
シリンガーの原書は量がすごい。全12巻、およそ1600ページです。分野も膨大で、リズムのことに始まって、終わりのほうは管弦楽法です。
意気揚々とシリンガーの原書を眺めていますが、どうやらiiの和音をIIm7と記すような事は出て来ません。まだ全部は見れてないのですが、そういう雰囲気です。
少し分かってきたのは、シリンガーの理論をバークリーでそのまま教えていたわけではないようです…
論文『シリンガーとバークリーの理論を巡って』石塚潤一著が参考になるようです。近いうちに読みたいな。
この記事も参考になります。
調べものしててちょっと面白かったのは「バークリー理論」(Berklee method)という言葉はバークリーはもとより日本国外では使われない。
(一応エントリーは見つけました)
https://en.wikipedia.org/wiki/Berklee_method
また、アメリカの他の音大や音楽学部でジャズを教えているところではクラシックの和声法が使われているようです。
バークリー理論があるからジャズがある、のようなある種の神格化をしてしまうと何かを見誤りそうですが、シリンガー・システムが今日(こんにち)のポピュラー音楽理論、ジャズ理論に与えた影響への僕の興味はそれとは別の軸を持って、より深めていきたいと考えています。
さて、和声法にも軽く触れておきます。
和声法(学)の本はどれも古くから、それこそベートーベンやモーツァルトの頃よりさらにさかのぼる時代からの伝承によるものを、例えばシェーンベルクがそれをお弟子さんに教えるためにまとめたものなのだそうです。
シェーンベルクが編み出した画期的な和声法!のようなものではないということです。
和声法の本により個々の差異もありますがこの事は押さえておきましょう。
どの和声法の教科書も演習問題が重要で、そこに著者の音楽に対する考え方が反映されます。著者とは別の作曲家が演習問題を作ることもあります。
ドイツ風味、フランス風味(=藝大和声)など幾つかあるのはこの演習問題の作風の要素も大きいようです。
大作曲家による演習問題というのはなかなかに萌えます。
一方でシリンガー・システムやジョージ・ラッセルのリディアン・クロマティック・コンセプトは伝承ではなく著者独自のものです。
短い間にこのような予備知識は得られました。実際に進めて行ければと考えています。
もう一度、
iiの和音を最初にIIm7と書いたの誰なんだろう。。僕はこれはすごい発明だと思っています。
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