Underground Rapについての私の見解
前置き
70年代初頭、金銭的な問題によりディスコに通う事が困難だった黒人達は、地域の公園でパーティーをするようになります。ブロックパーティーと呼ばれるこのイベントは黒人達にとって、掛け替えのない娯楽であったと共に、彼らの中で音楽という存在がどれだけ精神的支えになっていたのかを物語る事が出来るものです。
今や世界の音楽市場においても大きなインパクトを残し続けるHIPHOPというジャンルは、Undergroundで大きくなった存在と言っても過言ではありません。
パーティー文化として生まれたこのジャンルがGrandmaster Flash & The Furios Fiveの"The Message"を機にメッセージ性が強く、社会に対する自分達の意思や批判を率直に表現していくジャンルへと切り替わっていったのも印象深い。
今や"Conscious Rap"として確立されたHIPHOPのサブジャンルですが、政治的及び社会的な意思表明というものは80年初頭のKRS-One (Boogie Down Productions)やPublic Enemyなどが代表格で、その意思は今現在においても引き継がれているほどHIPHOPというジャンルの中核を担う大切な要素のひとつになります。
そんなHIPHOPも誕生してから50年が経ち、様々な国で様々な進化を遂げてきました。USだけでなく、今や肩を並べるほど大きくなったUKのHIPHOP市場に加え、ヨーロッパやアジア、アフリカなどでも盛り上がりを見せています。
ブロックの公園で行われていたパーティーがこんなにも大きくなるなんて。それ程までにHIPHOPというジャンルが持つ力強さと影響力は計り知れないものがありますね。
Underground Rapとは
さて今回の本題へと入りますが、『Underground Rap』と聴いて皆さんはどんなものを思い浮かべますか?
私のイメージとしてはどこか複雑で何が良いのか分からないという印象が強いのかなと思います。
今現在Undergroundシーンの頂点と言っても過言では無いbilly woodsが正にそのイメージに当てはまるかと思われますが、私もこのスタイルを初めて聴いた時、全くしっくり来ませんでしたし、大衆の意見と同じ事を思っていました。果たしてこれの何が良いのかと.....
ただbilly woodsに関しては少し異質というか他のMC達とは違う世界に生きているような人なので、この人を1発で好きになる人の方が珍しいのかなと感じます。
こちらにbilly woodsのおすすめアルバムを添付して置きますので聴いてみて下さい
・billy woods & Kenny Segal - Maps (2023)
billy woodsのアルバムの中で個人的に1番聴きやすいアルバム。
・billy woods & Kenny Segal - Hiding Places (2019)
billy とkennyの初コラボアルバム。Mapsとは比較にならないほど複雑。だけどそれが癖になるのがこのアルバムの魅力です。
・billy woods & Blockhead - Known Unknowns (2017)
初期のBlockheadは結構シンプルなビートが多い。私がbillyのアルバムの中で1番好きなアルバム
これらのアルバムを聴けば分かる通り、billy woodsが創る音楽はどのMCとも違う一線を画すものなのでもしUnderground Rapを聴いてみたいという方は安易に彼から入らない方が良いのかもしれません。
それほど特異な存在ですから。
さて少し話が逸れましたが、『Underground Rap』というジャンルについて、某サイトではこのように言及されています。
もう正にこのとおり。
私はここにある [商業的か否か]という記述と[大手レーベルに所属していない]という記述はセットで考えるべきものだと思います。
やはり音楽を始めようとなると、有名になりたいと思うのが一般的であり、王道的な思考だと感じます。そうなってくると1番大きな目標となるのが大手レーベルとの契約に漕ぎ着けること。
大手レーベルと契約すれば
などなど、多大な資金がいるところをサポートしてくれるため、アーティストにとってはかなり助かりますよね
ですが、大手レーベルと契約したとて、間違いなく売れるとは限りません。音楽市場は移り変わりが激しく、日々競走は激化しています。
そのうえレーベルと契約すると沢山の制約がかかり、自由に表現出来ないこともあったり、曲を作るペースも自分達の思う様に出来ないケースも多々あります。
HIPHOPに関しては特にそうで、やはりスラングや放送禁止用語が多々入ったり、過激な表現も数多く出てくる。ですが、それらは総じて彼らの武器で、生き様な訳であって、そこの自由を奪ってしまうのはもう彼らの人生そのものを否定してしまっているようなものだと思います。
そういった事が全く無い完全なる自由の世界こそUnderground Rapシーンなのです。
メインストーリームで活動するMCとアンダーグラウンドのMCの違い
今やアルバムを出せば、必ずチャートの上位を独占するDrakeや21 Savage、Travis Scottなどの超人気ラッパー達は大手レーベル、もしくは自身が持つ大型レーベルに所属しています。
彼らとアンダーグラウンドシーンで活動するMCの違いとして1番謙虚に表れている所があります。
それは『音楽性』です
例えば、昨年Drakeがリリースした" For All The Dogs "からLil Yachtyとコラボした曲なんかが分かりやすいですね。
何が言いたいかと言うと、メインストーリームで活動するラッパー達は 『流行りに敏感でなくてはならない』という事です。
2020年から2022年辺りになるとUKでドリルが進化してできた"UKドリル"というものが世界を席巻し始めます。その時もいち早くこの波に乗ったのがDrakeでした。
2020年にリリースされたDark Lane Demo TapeではこのUKドリルビートを使った曲が2曲も収録されています。その他にもUKのドリルキングであるHeadie Oneとコラボしたり、最近ではUKだけでなく世界でも人気を博す、Central CeeとOn The Radar Freestyleでコラボするなど、話題性に事を欠かないのが彼をここまでの存在にしたのだと強く感じています。
ではアンダーグラウンドシーンではどうでしょうか。
私の見解では、彼らの中に流行りというものは存在しないのだと思います。
現に個人個人が自分のスタイルを確立しており、そのスタイルを究極まで高め続けるのが彼らの最大の魅力であり、私が愛してやまない所以だからです。
Earl Sweatshirtによる大名盤 : Some Rap Songsがリリースされたのが2018年。この当時はトラップ全盛期で、どこもかしこもトラップで溢れていた時にリリースしたのですが、彼はそんな時にLofiなドラムレスサウンドの作品を世に送り出しました。
このとおり、彼らにおいて1番大切なのは世間の目よりも、自分達がやりたいようにやる・成りたいように成るという考え方が根底にあるのだと感じます。
今のHIPHOPシーンに多大なる影響を与えたアンダーグラウンドのレジェンドである故・MF DOOMもその思想を持っていた或いはそれ以上の何かを心に宿しながら曲を作っていたのかななんて思ったりします。King GeedorahやViktor Vaughnといったオルターエゴは、彼がいかに異質な存在であるかを認識させられるというか、彼がここまで大きな存在になったのはなるべくしてなったのだなと納得させられるような感情を抱かせてくれます。
RadioheadのメンバーであるThom Yorkeが、彼の事を『意識の流れを言語化する天才』と評したように、Undergroundで活動し名を挙げているMCの多くはラップのスキルが並外れています。
それはやはりメインストーリームのラッパー達にはあまり見られないもので、Kendrick LamarやJ. Cole、最近ではJIDなどが突出していますが、それ以外でこの人ラップ上手いなと感じることはほとんど無くなりました。
これもアンダーグラウンドシーンで活動するMC達が背負う宿命というか、『ラップが上手くなければここではやっていけないぞ』というような強い信念のようなものをを感じます。
最後に
Underground Rapの魅力というのを言語化しようとすると非常に長い文章になってしまいますが、
自分という存在がどういう存在なのか、はたまた自分が成し遂げたいことは何なのか、そういった哲学的思想が根底にあり、それらを音楽として落とし込む事によって唯一無二の作品が生まれる。
そういった結果だけでなく、結果を生むための過程の部分も総じて素晴らしいというのが私なりのUnderground Hiphopの見解です。
......長いですよね笑
でも仕方がない事で、それ程までにこのジャンルは奥が深く、類稀なる没入感を与えてくれます。
レジェンドから新人まで、幅広い年代のアーティスト達が自分達のやりたい事をやりたいようにやって生きたいように生きていく、最高にカッコイイじゃないですか!
今回の記事は、記事というより私が思っている事を殴り書きのように綴った言わばメモ書きのような感じですが、言いたい事は伝わってくれたのかなと思います。何を言っているのか分からないという方もいると思われますが御容赦ください。
まだ21歳の若造です。温かい目で見ていただければそれだけで十分有難いです。
文章ばかりで詰まらない記事だったとは思いますが、最後まで御清覧して頂き、誠に有難う御座いました。
また次の記事でお会いしましょう!
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