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kyoto oyatsu pan

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京都のおやつやパン
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#日常

島原口「樋口金松堂」

樋口金松堂は昭和7年創業のパン屋さん。西本願寺のほど近く、嶋原商店街の入り口近くにそのお店はあります。 ▶日常に溶け込むパン屋 お店に並ぶ素朴なパンたち。イートインもできるということで、ハムクロワッサンとあんぱんを手にとり、ホットコーヒーを頼んでお店の奥へ。店内にはピアノのクラシックが流れています。 すると出入りの業者さんがパンの粉を運んできました。サンガ弱いね。大丈夫かね。なんてお店の息子さんと話しながら食パンを三斤買って帰っていきました。次にやってきたおばあちゃんも食

百万遍「ベイカリー白川」

白川ベーカリー。正しくはベイカリー白川。または白川製パン。こじんまりとした店内の奥にはパン工房があって、白い調理服を着たお店のお父さんお母さんとおぼしき人物が立っている。店の奥には古い写真が。 店の前に店員と思しき着物姿の人々が立っている。お店の軒先には「ンパムゥユシルカ」…カルシユゥムパン…カルシュウムパン。相当古そうな写真です。いつのものか尋ねると、創業した昭和三年に撮影されたものなんだそう。 京大北に農学部ができたことで、関係者が周辺に移り住み、新興住宅地が広が

高野「パンドール」

双鳩堂をでて、南へ下る。 べっ甲みたいなタイルの床屋さん。 洋式住宅がくっついた大きなお屋敷。 いかにも宿場って感じの、京都の街中では見ない、横に長い町屋や商店が続く。街道の趣がある。後で調べるとここは旧大原街道だったらしい。 --- 旧街道をずっと歩いて一乗寺まできた。ほぼ一駅歩いた…ところで見つけた。 趣深い看板。斜め具合がレトロで良い。 日に焼けたテント、店前に並んだプランター(私はこれを店前園芸と呼ぶ)。いかにも街角のパン屋さんという佇まい。 何より惹

一つより二つ、二つより三つ(烏丸五条「今西軒」のおはぎ)

誰かと一緒じゃないと楽しくない、とは思わない。 一人のほうがかえって気が楽だ、と思うことが多い。 でも一人より、二人のほうが楽しい、と思うことだってある。 --- 地下鉄五条の南西出口をあがって歩くとすぐに着いた。 あんこ好きにはおなじみの今西軒。 前に訪れた時はお昼の2時過ぎでおはぎは完売しており、絵馬のような店札がフラフラ揺れていて哀愁を誘ったのでした。 今日はつぶあんが5つ、きなこが3つ、こしあんが1つ残っていました。 「三種類とも全然味が違うからね」 店

手のひらを泳ぐ金魚(京都市役所前「松彌」の金魚)

銭幸を出て夷川通を東へ向かう。夷川通には家具屋さんが並んでいて、そのあいだに古い大衆食堂、おしゃれなカフェがぽつりぽつりと点在している。 店先にアジサイを置いたお店が目立ちます。 角に咲く大きなアジサイ。街中にこんなにアジサイがあったんだと、六月になって初めて気づく。 松彌さん。マンションの一階に入っていました。けれどもちゃんと鍾馗さんがいる。……と思いきや大黒さんとえびすさんでした。 お店に入って気になったのが、この画。 奥からお母さんが出てきたので尋ねてみると、

島原「菱屋」のうすばね

きんせ旅館を後にして、ふたたび山本合金製作所へ向かう。「昔からある地元のお菓子屋さんが好きなんです」と言うとじゃあ、と地元の方が連れて行ってくださったのがここ。 島原大門を出て少し歩いたところにある「菱屋」さん。明治創業なのだそう。 うすばねという薄いせんべいみたいなのが看板商品なんだとか。お店のお母さんはとても優しい方で、お店のことを色々と教えてくださりました。 菱屋さんは俗にいう餅屋さん。昔はお寺さんからおそなえのお餅をお下がりでもらって、それを割ってあられにしてい

銀閣寺道「日栄軒本舗」の懐中もなか

ベイカリー白川を出て東へ向かう。 こんな日にこそあのアイスキャンデーを食べたい。「アイスキャンデー」「ソフトクリーム」白地に赤黄青の原色のゴシック体で書かれた店先の様子まで思い出せる。でもあの店はもうないのでした。 「長い間ありがとうございました」と書かれた張り紙をみてハアと息をついていたところ、隣におかしやさんが。 内装はぴかぴかで新しいけれど、並んでいるのは水無月、若あゆ、赤飯…。長そうなお店である。懐中しるこは茶釜のかたちをしている。 昔絵本でみたぶんぶくちゃが