小室直樹の盲目的予定調和説が興味深い
小室直樹『危機の構造』が復刊されているのを偶然見付け、早速購入して読み始めた。この中で「盲目的予定調和説」が説明されている。
小室直樹によると、盲目的予定調和説とはエリート官僚、エリートビジネスマン、軍事エリートに共通に見られる精神で、日本全体をまっしぐらに破局へ向かって駆り立てる原動力だ。その具体的な思考と行動の原理は次のとおりである。
自分たちこそ自覚せるエリートであり、この点において自覚せざる大多数の国民とは根本的に異なる。そして日本と日本人の運命は自分たちの努力にかかっている。
この努力は「特定の行動」の遂行という形でなされる。このためには全身全霊を打ち込むことが要求されるが、このことと直接関係のないことは一切無視する。これら「その他の事情」は自動的にうまくいき、日本と日本人は安泰となる。
だから「特定の行動」の遂行こそが肝要なのであり、成果は問題にされなくてよい。
このような思考と行動の例は確かにいろいろと思い当たる。このアノミーが生まれる背景を小室直樹は社会の構造に求めている。その点も興味深い。
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