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イームズ アームチェアの年代判定方法まとめ

みんな大好きイームズのアームチェア。ビンテージモノの年代判定方法を日本語でまとめておこうと思い立ちここに記しておきます。

当記事は、下記ページを参考に書いてます。誤りがあれば教えてくださいませ。
また、アームチェアとサイドシェルチェアとでは、年が少し違うのでページを分けて書いていこうと思います。


我が家のアームチェアはいつ頃製造のものなのか気になったので調べてみた

命名規則について

脚の種類によって名前が変わる。ややこしいのでメモしておく。
他にもたくさん種類があるけど整理できないので割愛。

  • DAL = Dining (height) Armchair (arms) La Fonda (base)

  • DAR = Dining (height) Armchair (arms) Rod (base)

  • DAW = Dining (height) Armchair (arms) Wood (base)

  • DAX = Dining (height) Armchair (arms) X-Base (base)

  • DAG = Dining (height) Armchair (arms) Wall Guard (base)

  • DAT = Desk (height) Armchair (arms) Tilt (base)

  • MAX = Medium (height) Armchair (arms) X-Base (base)

  • SAX = Small (height) Armchair (arms) X-Base (base)

  • RAR = Rocker (height) Armchair (arms) Rod (base)

  • PAW = Pivot (pivoting) Armchair (arms) Wood (base)

  • PAC = Pivot (pivoting) Armchair (arms) Contract (base)

  • LAR = Low (height) Armchair (arms) Rod (base)

  • LAX = Low (height) Armchair (arms) X-Base (base)

Generationについて

ハーマンミラー アームチェアは、大きく5世代に分類されています。
1947年 ジョージネルソンが創業者のDJデブリへ推薦したことで、イームズは、ハーマンミラー社とデザインコンサルタント契約を締結。
1947年 イームズは、ジーニスプラスチック社とファイバーグラスの椅子の開発を進める。
1950年1月9日 シカゴの「Home Furnishing Market」でアームチェアを初展示。5月に発売。(LAXの価格:32.5ドル)

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1st Generation(1950 - 1954)

1stは、カリフォルニア州ガーデナにあるゼニス・プラスチックスの工場で生産されました。当初は3色展開で、後に3色が追加されました。

  • Zenith Plastics × Harman Millerのチェッカーボード ラベル

    • フルチェッカーボード ラベル

    • ハーフボード ラベル:本体に変更は見られないが、1.5世代と呼んだりする。

フルチェッカーボード ラベル(1950 - 1954)
ハーフボード ラベル(1950 - 1953)
  • ロープエッジ:ロープで淵が補強されている

  • ラージショックマウント(ワッシャー付き)

  • ファイバー多め、プラスチックが透けるぐらいに薄い

  • 当初は3色展開(グレージュ、エレファントハイドグレー、パーチメント)のちに3色加わり6色展開となった。(レッドオレンジ、レモンイエロー、シーフォーム)

  • LAX, DAX, MAX, LAR, DAR, RAR

2nd Generation(1954 - 1955)

2ndは、カリフォルニア州ガーデナにあるゼニスの工場とサンタモニカのイームズ・オフィスの2箇所で製造がされていました。
1stに比べて分厚くなりファイバーが少なくなっています。

  • Red Veniceラベルがあったりなかったり:赤いトランジションタグ、カリフォルニアで製造されていたことがわかる。

Red Veniceラベル(1954 - 1955)
Harman Miller Foil Strip(1951 - 1956)
  • ロープエッジが廃止され、縁がストレートになる。

  • ラージショックマウント(ワッシャー付き)

  • 6色展開(エレファントグレイ、レッドオレンジ、レモンイエロー、グレージュ、パーチメント、シーフォーム)

3rd Generation(1955 - 1958)

3rdでは、より小さなショックマウントが導入されました。ほとんどが1955年に3Mが買収したゼニスの工場で製造されました。

  • 3ドット(3M)と逆向きZマーク(1955 - 1957)

  • ストレートな縁

  • 小さいショックマウント(ワッシャーなし)

  • 6色展開(エレファントグレイ、レッドオレンジ、レモンイエロー、グレージュ、パーチメント、シーフォーム)

Herman Miller Silver Medal(1956 - 1964)

4th Generation(1959 - 1993)

4thのシェルは、複数の工場で製造され、シェルカラーも様々です。ほとんどにハーマンミラーのエンボス加工が施されています。

  • ファクトリーロゴ(Summit、CMM、GATC、CPI)と共にハーマンミラーの名前が表示されるようになりました。

Mスタンプのみ(1958 - 1959)
GATCダブルトライアングル(1959 - 1962)
*General American Transportation Corporation
Cincinnati Milacron ハンドスタンプ
初期 Cincinnati Milacron (Mercedes)
Summit Prime スタンプのみ
Mロゴとハーマンミラー社名(大文字)(1959 - 1989)
他スタンプと混在
フレイムロゴ(1959 - 1960)
Summit "S"スタンプ(1959 - 1989)
後期 Cincinnati Milacron (Star)(1965 - 1978)
CPI – Century Plastics スタンプ(1974 - 1982)
Embossed Herman Miller Oblong Stamp(1980 - 1993)
  • ストレートな縁

  • 小さいショックマウント(ワッシャーなし)

  • マルチカラー展開(1960年以降、HMには一時26色ものカラーバリエーションがありました。)

5th Generation(2013 - 現在)

5thは、環境問題をクリアした新しいFRPとして、ミシガン州ジーランドにあるハーマンミラー社で製造されている。

  • 新しいロゴ

  • ストレートな縁

  • 新しいショックマウント:フロントは大きく、リアは小さい。

  • 2013年当初は9色。2020年に3色が削除され、新たに2色が追加された。

その他のGenerationについて

日本国内製造モダンファーニチャーセールス/ハーマンミラージャパン(1966 - 1990頃)

日本国内でも製造ライセンスの提供を受けて作られていた。日本人の体型に合わせて座面が低いです。

1960年 伊勢丹百貨店(新宿)でハーマンミラー社製品の展示会を開催。
1964年3月17日 日本ハーマンミラー家具販売株式会社を伊勢丹の子会社として設立。
1964年4月 モダンファニチャーセールスに改称。
1966年より米国ハーマンミラー社から図面提供を受けて自社工場や外注先で製造を開始。(シェルのみ台湾で製造した時期があったが質が悪かったために中止された。)
1988年7月 ハーマンミラーがハーマンミラージャパン設立
1989年3月 ハーマンミラージャパンがモダンファーニチャーセールスを吸収合併。
1990年ごろには、ハーマンミラーから輸入される様になり国内製造は廃れていく。

  • 「Exclusive License of Herman Miller Furniture Products」のエンボスあり

  • 日付スタンプは、昭和元号

  • ショックマウントをつけるところが盛り上がってる

  • アプホルスター(生地張り)のシェルチェアが多い

  • Mマークのエンボスがなく『DESIGNED BY CHARLES EAMES』だけの場合もある。これは、アメリカで廃盤となったあと、シェルを日本へ輸入。国産ベースを付けて販売されたモデル。(1990 - 1998)

  • ショックマウントが透明の場合もある

M マークと『Exclusive License of Herman Miller Furniture Products』のエンボス
『Modern Furniture Sales Co, Ltd』まで入っているパターン
Mロゴが入っておらず『DESIGNED BY CHARLES EAMES』のパターン(1990 - 1998)
ショックマウントが透明の場合もある
『Modern Furniture Sales Co, Ltd』ラベル

イームズを読み解く:図面からわかった、その発想とデザイン

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ポリプロピレン製(1998 - 現在)

1998年からVitraがポリプロピレン(PP)を用いてシェルチェア復刻。
2004年5月からハーマンミラーがアジア圏でのイームズアイテム販売権を獲得し、Vitra製シェルチェアの販売を開始。
2010年9月 ハーマンミラーがシェルチェア製造を再開
2011年7月 ハーマンミラー製シェルチェアに完全移行。
2023年よりPIR(ポストインダストリアル再生プラスチック)に変更され、展開色が変更される。

Vitraロゴ
ハーマンミラーのロゴ

背もたれ側の脚の付け根にヒビが入りやすい。ポリプロピレンなので接着難易度が高く騙し騙し使うか廃棄するかになってしまって製品寿命はFRPに比べると格段に短そう。

マウントんはぎ位ヒビが入りやすい

ポリプロピレン対応の接着剤でくっつけ直すか、座面側から超極低頭ねじを貫通させて固定するのが良いと思います。

1950年 スイスのヴァイルアムラインでVitra創業。
1953年 Vitraが視察旅行先のニューヨークで、イームズのDCW(Dining Chair Woodlegs)と出会う。
1957年、ヴィトラ社はヨーロッパ市場向けにハーマンミラー製品の販売ライセンスを取得。
1984年、ハーマンミラー社とのパートナーシップを解消。その後、ヴィトラはチャールズ&レイ・イームズとジョージ・ネルソンのデザイン製品のヨーロッパと中東での販売権を獲得しました。

https://vanilla-kagu.com/c/special/eameschair-content2016

モダニカの復刻FRP(2000 - 現在)

1980年初頭 Zenith PlasticsはCentury Plasticsに社名変更
1983年 Century Plasticsはハーマンミラー社向けのFRP製造を終了。
1987年 のちにモダニカ創立者となるFrank NovakとJay Novakが閉鎖された工場の駐車場で12,000個のグラスファイバーシェルを発見
1989年 モダニカ社設立。
2000年、Zenith工場の金型とプレス機を使いモダニカがFRPを販売開始

モダニカ ロゴ

モダニカのマウントは接着剤がたっぷり。

より細かい年代特定方法(1957 - 1989)

パテントラベルの情報を参照することで、より細かく製造年を特定することが可能です。
パテントラベルは1957年(3ドットアームシェルに初めて表示された)以降、1993年にグラスファイバーチェアが製造中止となるまで米国製のシェルチェアに使用されました。
特許番号は取得した順に増えていくので、末尾の番号で確認をするのがよいでしょう。

パテントラベル
  • D147613 to 2738835(1956 - 1959)

  • D147613 to 2893469 V1(1959 - 1960)

  • D147613 to 2893469 V2(1960 - 1962)

  • D155273 to 3046572(1962 - 1963)

  • D155273 to 3082036(1963)

  • D155273 to 3088178(1963 - 1964)

  • D155273 to 3114575(1964)

  • D155273 to 3124390(1964 - 1978)

  • 3075235 to 4009856(1978 - 1989)

我が家のアームチェア、年代判定結果

1959年GATC製造のアームチェアだということがわかりました。
みなさんも調べてみてくださいね。

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