出ていったビート その6

ビートは夫の実妹のだんなさんが乗りたいと言ってくれた。
部品全部ふくめ、引き取ってくれるそうだ。
妹の近くに行けばビートも嬉しいだろうし、
私たちも嬉しい。

アルシオーネは塗装が剥げているし
しばらく乗られていない。
3月末に車検を予約していたディーラーに
キャンセルと引き取りの連絡をした。

そもそも車に興味もなければ
価値も分からないのだが、アルシオーネは
ネットでみると、300万円がついているものもあるそうだ。
みんなから買い叩かれないようにと念をおされた。

ネットで一括見積もりすると
あちこちから一斉に電話がかかってくるのはイヤだなあと
ながめていると
「金額を見て気に入ったところに連絡してください」
と書いてあった。
なるほど、みんながイヤだと思うところは
改善し、記載してある。いいことだ。

写真を撮って査定に送った。
すると
「このお車を見積もりすることができるのは
 1件のみです」
と出てきた。年式が古すぎて、すぐに値段がつかないらしい。

1件でも来てもらうしかないと電話をすると
若くて元気のいい男子がやってきた。
黒っぽい細身のスーツはパンツも細めで今時のデザインだ。
「がんばらせていただきますので、ぜひウチでお願いします」
言葉遣いもしっかりしていて
一生懸命、営業しているのだな、勉強もしたんだろうなということが伝わってくる。
名刺に書いてあった太陽という名前がピッタリだと思った。

営業車の中で長く電話をかけていたが
なかなか値段がつかないらしい。
「他はおいくらでしたか?」
「N社さんしか、来てもらえなかったんです」

ディーラーの返事がまだだったので
電話をかけると
「買取も引取りもしていない」と言われた。
「電話を待っていたんですけど」と少しあたった。

ビートは概算で40万から80万だそうだ。
アルシオーネの査定がなかなか出てこない。
「上と相談」しているのだが、決まらないとのこと。
もう日が暮れてきて、
N社さんしかないんじゃないと諦めかけてきたころ
太陽君が戻ってきた。

アルシオーネのお値段は・・・

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