出ていったビート その8

夫が長年愛した車は
長年つれそった妻と同じく市場価値が暴落していた。
数百マンの呼び声も高かった
アルシオーネSVXのお値段はなんと・・・
12万円。

長男と同い年で仕事をがんばっているN社の太陽クンに
アルシオーネを託すことにした。
しかし、デジタル署名をした翌日
次男の紹介で原付バイクの引取りに来たMさんが
アルシオーネに興味津々だった。
「これは化けるかもしれない。
 売ってみたいです。
 12万円は確定で、売れた金額バックすることもできます」

書類にサインをしてしまったが
くつがえすことはできるのだろうか。
あの太陽クンに「クソババア」と罵られたとしても、
営業成績があげられなくて落ち込むんじゃないだろうか。

やっぱり手放さないと電話をかけたが、
「僕もここまでがんばったんです。
 もう運送の手配もしていますし」
と何度も言われ、
オバサンは情に負けてしまった。

Mさんもめちゃくちゃいい人で
絶対アルシオーネをいい人に売ってくれそうだったのだけど。

その後、別会社からアルシオーネ15万、ビート50万という見積もりが来た。
もう少し早く連絡してくれたら良かったのに!!
ああ、営業って早く到着するのと、押しというのは基本なのだなとつくづく感じた。

義理の弟が40万でビートが欲しいと言っていたがどうしようか。
連絡をしてみたがなかなか返信がない。
義妹にLINEをすると、熱が冷めたという。

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