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2024明治安田J1リーグ第2節 京都vs湘南


試合結果


2024明治安田J1リーグ 第2節
@サンガスタジアムbyKYOCERA

京都サンガF.C. 1-2 湘南ベルマーレ

【得点者】
田中聡 (15分・湘南)
豊川雄太(19分・京都)
鈴木章斗(82分・湘南)


雑感

試合を振り返ると、序盤は湘南の442ブロック、特に中盤のプレスバックに苦しみロングボールを有効に使えたとは言い難い。
しかしその後相手が繋ごうとするところには必ずプレスをかけてボールを蹴らせて最終ラインで跳ね返す・回収することができていた。

湘南の攻撃の特長として、サイドでトライアングルを作って相手を引き寄せ、中央に戻して相手の裏を取るという形を持っている。
そこに対しても縦・中の両方のルートを複数人でシャットアウトしボールの受け手を潰す意図を見せていた。

京都のスカウティングの優秀さと、それを基に前半のゲームを組み立てるプランは強みだと思う。


しかしコーナーキックのこぼれ球から田中にミドルシュートをねじ込まれあっさり先制を許す。恐らくスカウティングでも警戒はしていただろうが、止め切ることはできなかった。
京都もロングボールのセカンドを拾った流れから、右SB福田のクロスを豊川が冷静に決めて同点に。

20分あたりから、湘南は右SB鈴木雄斗を起点に、ルキアンや鈴木章斗が裏を狙う形で決定機を何度か迎えた。
押し込まれた京都は、34分に後方から繋いで左SB鈴木冬一のアーリークロスに川﨑が飛び込みあわやというシーンを演出。
今年の狙いを最も出せたと言えよう。

後半は京都が湘南のボランチへのプレッシャーを強めることで、湘南に楽にボールを回させずペースを掴んだ。
ターゲットの山﨑の投入や両SBを交代し果敢に仕掛けるなど打開を試み、原が2トップ気味に動かすことで何度か持ち味を生かしたが十分な成果は得られず。

"自分たちでボールを動かしながら攻める"ことができない、曺貴裁サッカーの課題が浮き彫りになったまま試合は進み、82分のコーナーキックで勝ち越しを許してしまう。

平賀や安齋といった攻撃的なカードを切るも追いつくことは出来ず、今季初白星はお預けとなった。


攻撃の狙いと守備の弱点

既にいくつかのレビューやTwitterでも言われている通り、前半34分の攻撃が京都が目指している形だ。

柏戦に比べると、武田や川﨑がビルドアップに参加することが多かったが、ボールを保持しての前進ではなく、サイドから角度をつけて前線に放り込むためであった。

開幕戦のレビューにおいて、京都は相手の最終ラインの裏を狙う回数が増えたのではないか?という仮説を立てた。また縦に長いボールではなく、アーリークロスのように斜めから入れることを試みていた。
それをボールを動かしながら実現できたのが例のシーンだ。

34分の場面では川﨑がクロスに飛び込んだように、クロスボールに対してほぼ必ずIHのどちらかがゴール前に入ることで人数を担保している。
またスペースがあれば逆サイドのSBも上がって厚みを持たせるなど、人海戦術であるが工夫は見られる。

一方で前に人数をかけるほど後ろは手薄になる。
クリアされてもこぼれ球を拾うことが出来れば波状攻撃に繋げられるが、あいにく京都の配置はそうはなっていない。

早い段階での裏狙いはいかに飛び出せるか、クロスに対しては何人を前に置けるかに特化している。
初期配置から前線は前がかりになるし、クロスに備えてIHやSBが上がればなおさらだ。

後ろはもちろん、クリアに備える選手が減りカウンターのリスクが高まる。また残される中盤の負担は計り知れない。
いわゆる前後が分断された状態である。

大雑把な攻撃なため成功回数は低く、単調なボールロストも目立つ。
リスクと隣合わせなだけでなく、リスクが大きく浮き彫りになっているため、アプローチの見直しをする必要があるだろう。


横圧縮

これまたTwitter等でも取り上げられてるサンガの守備の特徴だ。
横圧縮とは片方のサイドに人数をかけて守備をすることである。そうすることで相手がピッチを広く使えないようにでき、人数をかけてボールを奪いやすくなる。

京都の場合、中盤3枚を極端に片方のサイドに寄せ、後ろはSBやCB、前はWGが挟み込むことで密集地帯を作る。
形だけ見れば圧縮してるものの、今ひとつ奪いきれてないどころか、空いてるスペースから逆サイドに展開されてピンチを招いてるのが現状だ。

原因はいくつか挙げられる。
・ボールへの寄せ方が甘い
・パスコースを潰せていない
・逆サイドのケアをできていない
・スペースを見れる選手がいない
・選手の予測能力が低い
etc…

要するにうまくいってないのである。

ボールホルダーに強く行くという曺貴裁サッカーの特長がなぜかここでは薄れている。
今のところ選手に問題があるのか監督らの設計に問題があるのかは分かりかねる。

選手が今ひとつボールに行けてないのか、圧縮してスペースを消すことを優先してるのかいまひとつ良く分からないシーンが多いというのが正直な感想である。
あと2,3試合見ればハッキリするかもしれない。


最後に

京都がどういう意図を持って攻撃しているは明らかになった。軸となるのは豊川とマルコだ。
逆に言えばいまいちハマりきってない原をどう使うかによって、今後の攻撃の幅や質は変わってくるだろう。ここに注目していきたい。

守備の前後分断の問題はしばらくはどうにもならないだろう。攻撃の単調さを改善し押し込めることで極力分断を防ぐやり方になるのではないかと思っている。
根拠は最終ラインにかかる負担が昨季、一昨季から一向に改善されてないことだ。

なにはともあれ、恐らく下位を争う相手に勝ち点を取りこぼしたのは痛い。
進化・深化・真価がどのようにピッチに現れるのか、引き続き見ていきたいところである。

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