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J2 10年生 新スタジアムでの挑戦〜来るJ2開幕戦に向けて〜 前編


今年で10年連続J2で開幕戦を迎えることになった京都サンガ。

今年はなんといっても亀岡駅前にできた『サンガスタジアム by KYOCERA』が注目ですね!
3月27日(金)には男子U-23日本代表の試合も予定されており、日本サッカーファンの熱視線を今最も浴びてるスタジアムなのですから。

オフィシャルトップパートナーである京セラ様が20億円(1億×20年)という巨額の費用を出してくださるうえに、『サンガ』をスタジアム名に冠することになりました。

ありがたや〜ありがたや〜

はじめに

最高のスタジアムができた一方で
・中田監督の退任および新監督として實好コーチの内部昇格
・一美、小屋松、仙頭の強力3トップの移籍
・頼れる闘将・闘莉王の引退
・沖縄キャンプにてガンバ大阪相手に6失点(最も京都出身の宇佐美だけで4失点)
などなど開幕に向けて不安要素がいっぱい。

移籍関連では大型補強なんて言われてますけども、気になるポイントはいくつかあって、そのへんのことはnくんのブログに書かれているのでそちらを参照してください。



「ほんで、今年の京都サンガはどういうサッカーをしよんねん?!」という方も多いでしょうし、自信の程は別として、僕なりの「こうなるんちゃうかなぁ」を前編・中編・後編に分けて書いていく予定です。

前編では2019年内に書く気が全くなかった2019シーズンの振り返りから。
ここを話しておかないと2020シーズンのことを語れないと思ったので、極力分かりやすくがんばります。


※情報源は主に以下の通り
・京都サンガ公式HP、公式Twitter
・京都新聞
・サンガタウン(練習場)での練習見学
・2月9日vsセレッソ大阪(プレシーズンマッチ)および2月16日vs関西学生選抜(関西ステップアップリーグ)の見学(予定)


2019年の振り返り

とめさん、京右衛門さんのシーズン振り返り記事も一部参考にさせていただいたのでそちらも是非。


第1章 新・京都スタイル

基本フォーメーションは4123。
自分たちがボールを持つ時間を長くし、なおかつ相手陣内でプレーすることで「攻撃時間の増加・守備時間の減少」を一石二鳥でできるサッカーを目指していました。
俗に言うポゼッションサッカーと呼ばれるやつです。

スタメン

(過去の試合レビューより 2019第23節 京都サンガ×大宮アルディージャ https://note.com/ks_ktk12/n/n5d6f9cc0c702 )

※攻撃時間が長くなれば相手のゴールに迫る回数も自然と増えます。同時に自分たちの守備時間も減りますから、相手が自分たちのゴールに迫ってくる回数も減ります。


ボールを失った場合は再び自分たちの攻撃時間にするために、攻➡守へすぐに切り替えてボールを奪いに行くようにしていました。いわゆる即時奪回、カウンタープレスというやつです。

※時と場合によっては自陣ゴール前を固めることもありましたが、基本的には上記の方法を主に用いていました。

相手がボールを持っている時は4141(451)➡442へと形を変える可変システムでボール奪取を試みます。

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(引用元:僕のTwitterより https://twitter.com/ks_ktk12/status/1139106535534018561?s=19 )


ボールを奪ったあとは
①相手ゴールが近い場合は少ない手数でゴールを目指すショートカウンター
②相手ゴールは遠いが相手の守備が整っていない場合は少ない手数でロングカウンター
③相手ゴールが遠く相手の守備が整っているor味方が前に少ない場合は従来のボールを保持するポゼッション

というような主に3つのパターンを状況に応じて使い分けていましたが、自分たちがボールを持つ時間を長くしたいからか、③の選択が多いように感じました。


これらを実践するために重要になってくるのがパスの上手さでもトラップの正確さでもなくポジショニングです。ポジショニングで求められていたのは
・味方からのパスを受けやすい位置
・パスを受けた時、相手を混乱に陥れる(誰が奪いに行くのか、周りのマークはどうするのか判断に迷う)位置
・相手に奪われた時にすぐにプレス(奪い返し)にいける位置

というふうになります。

攻撃の時にボールが繋がるように、それと同時に守備の時にボールを奪い返したり自陣に攻め込まれにくいようにポジショニングしましょう、ということです。


これらはヨーロッパの現代サッカーのトレンドで、グアルディオラ監督率いるマンチェスターシティ(イングランド)が代表的です。京都もそれを参考にしている面が非常に多いです。

中田京都が目指したサッカーは欧州トップのトレンドであると言えますね。




第2章 2019シーズンの流れ

戦い方の変化と成績〜シーズン序盤

開幕戦〜第10節あたりまではポジショニングとパスを繋ぐことでスタイルを選手の体に実践で叩き込んでいる時間でした。「攻撃時間の増加・守備時間の減少」の後者の割合が高く、ゴールを奪うという前者の部分は構築段階だったのでしょう。

見てる方からすると「ボール持ってるのに全然シュート打たへんやん!つまんな!」状態です。第7節ホーム・山形戦(0-1●)試合後にブーイングが飛んだのもおおかたそういう理由でしょうか。

戦い方の変化と成績〜シーズン中盤

第11節あたりからゴールに向かう道筋、パターンが整理されてくると、第12〜第27節まで毎試合ゴールを記録し、それとともにチームの順位も上昇しました。


特に7月の上位陣との3連戦で勝ち切る勝負強さも見せ、一時は首位にも立ちました。
7月7日 第21節ホーム長崎戦(1-0〇)
7月13日 第22節アウェイ山形戦(1-0〇)
7月20日 第23節ホーム大宮戦(3-2〇)

・「一美・小屋松・仙頭」という京都の強力3トップが出来上がっていたこと
・夏場にして欧州のトレンドをJ2レベルとはいえ高い完成度に仕上げたこと
・7月のアウェイ山形戦のような「自分たちの長所が出にくくとも徹底して相手の良さを殺すサッカー」ができる柔軟性があったこと

といったことが首位に立った背景にあります。

戦い方の変化と成績〜シーズン終盤〜

一方で首位に立つ、目新しいサッカーをするということは他クラブからの研究対象にもなります。そうすると今まで上手くいっていたことができなくなり、悪循環にはまったのでしょう。


夏場を過ぎるとガタッと成績が落ちてしまい、J1参入PO出場に向けて首の皮一枚繋がっていたものの最終節で大敗し8位に終わりました。

その要因として相手に研究される以外に考えうることが以下の通り。

・スタメンが固定的になり、控え選手との差が開いていたこと
・シーズン終盤にかけて疲労の蓄積やイエローカードの累積で出場停止選手が出たこと
➡これによりフルメンバーが揃いにくく本領を発揮できなかった、スタメンと控えで差があるので出る選手によってクオリティが違う、選手交代で流れを変えにくい


シーズンの大まかな振り返りはこの程度にして、上記のことに関連する次の章に移りたいと思います。


第3章 選手層

怪我でシーズンを棒に振ったDF増川、MF望月を除く27名が最低でも1試合に出場しています。
しかし34試合(シーズンの8割程度)以上に出場したのは
DF黒木、本多
MF庄司、福岡
FW仙頭、小屋松
、一美
の7名のみ。ここに対戦相手により流動的にスタメンだったメンバーが7,8人ほど。

そう考えるとシーズンを戦う上で『戦力』として計算されていた選手は半分程度です。残りの選手はと言うと、怪我・出場停止・スタメンが定まってないという理由でチャンスが与えられた程度なのです。
頭数は多いが層は薄いという状態ですね。

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最も貧弱だったのがセンターバックです。
相手の攻撃を跳ね返す壁性能とボールを繋ぐパスの技術が求められていました。
本多こそ固定できたものの、開幕戦スタメンの上夷は怪我、闘莉王はコンディション等で起用が難しく。
色々と試した結果本職ではない安藤が務めている状態でした。


次に層が薄かったのはウイングです。
ドリブルでの突破力やクロス、シュートはもちろんのこと、ボールを繋ぎやすくするためのポジショニングが重要でした。
小屋松、仙頭のクオリティが圧倒的だったこともあり、2番手のジュニーニョや中野らでは穴を埋めることは出来ず。小屋松や仙頭で手詰まった時に使える駒が皆無という有様でした。


ワントップの一美が不調だった秋頃に代わる選手がいなかったのもありますし、挙げようと思えば全ポジションに置いて言えるかもしれません。


誰が出ても同じようにできるのが理想ですが、選手の実力や戦術に合う合わないというのは常でして、その点はチームの運用上厳しかったところでしょうね。



チームの評価

本音を言えばJ1参入PO出場すら叶わず残念な結果に終わりました。
とはいえこの1年に見せたサッカーはとても興味深く、京都サポのみならずJリーグ全体の台風の目になったと言えます。また客観的に見た時に、この戦力で8位というのはよくやった方ではないでしょうか。

中田前監督、そしてそれを支えるコーチ陣の働きは個人的にはかなり高評価です。
点数にしたら75-80点くらいですかね。

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夏の移籍市場というのはそもそも良い選手が出回ってるわけがありませんからなかなか厳しいのですが、藤本・中坂のレンタル移籍に留まったあたり、移籍市場での立ち回りのところで後手を踏んだ強化部には高評価は付けられませんね。


J2の金満と思われがちな京都サンガですが、近年は成績が芳しくないせいであんまりお金が無いんですよね。
だから札束を武器にした補強は出来ないわけで、強化部の腕にかかってるんですよね。頑張れ強化部。




最終章 京都の課題

「じゃあ一体なにがあかんかったんや?」というところは重要ですので、最後に簡単にまとめていきたいと思います。

※細かい話も入りますがご了承ください

①対人守備能力(競り合いや1対1などのデュエル)の低い最終ライン
②アンカー脇のケア(4123使用時)
③センターバックやウイングなどの選手層の薄さ
④3421の完成度の低さ
⑤1人で何とかしてしまう強力な選手
⑥相手の対策を上回る手法・戦術


① センターバックは相手の攻撃を跳ね返す能力がなんといっても最重要事項なわけです。本多こそマッチしたものの、相方を務めた安藤はその点で遅れを取っていました。
またサイドバックに関しても簡単にクロスを入れられるなど守備面での貢献が高いとは言いきれず、全体的にデュエルの弱さを露呈してしまいました。

競り合いの弱さはクロスやセットプレーの対応にも影響が出てきますし、クロスやセットプレーからの失点が多かったあたりも共通して課題になってきます。


② 4123(守備時4141)というシステムは構造上、アンカー庄司の両脇(左右)にスペースが生まれやすくなっています。そこを使われると誰が対処するのか判断が非常に難しく、京都としては使われたくない場所です。アンカー脇を狙われた時の対応として『中盤の他の選手が下がって埋める』『ディフェンダーが前に出てきて埋める』主に2パターンが考えられます。
前者は前線と中盤の選手は連動して相手にプレスをかけていくため基本的に手が回りません。後者は①にあるようにデュエルの弱さから前に出て潰しにくく、結局シーズンを通して対応がはっきりしませんでした。
じゃあアンカーのいないフォーメーションに変えれば解決するかというと違います。話が長くなるのでそれは割愛しますが。
ここの対応をどうするのか、フォーメーションを変えることで解決するのか別の手法を取るのか期待です。

相手によってはしっかり対応できる試合もあったりしたので一概には言えませんが、京都の弱点のひとつでした。


③ 層の薄さは1つ前の章でグダグダと述べた通りです。戦力として計算できる選手、主力級と競争させられる選手がいないことにはチームは伸びませんし長いシーズンを乗り切れません。
資金力以上に移籍市場での立ち回りというのは今後大切になってくるので、強化部には自チームの客観的かつ的確な分析が必要です。
適材適所な補強にはチームと欲しい選手の分析が欠かせません。


④ 闘莉王を起用した時に主に3421のフォーメーションを用いていました。闘莉王という存在の異質さから、普段の4123のようにプレーすることは難しかった側面もあります。
とはいえ、多少のタスクの変化があったにせよ、フォーメーションが変わってもやるべき事やポジショニングに関しては変わりませんので、3421の完成度が上がりきらずオプションとして使いきれなかったことは2019年の減点材料ですね。


⑤ 昇格していくクラブにはえげつない選手が1人はいるものです。1人で試合をどうにかしてしまうような選手が。それゆえ希少価値は高いですが。
近年の京都でいえばカイオがそうだったでしょうか。2018年の夏に加入し、半年で15試合4ゴール。苦しい時にゴールを決め京都を残留に導いた立役者でした。
どんな試合でも一振りで勝ち点に繋げてくれる選手の有無は大きいです。

誰がそうなるかなんて開幕時にはわかりませんし、勝利とゴールは水物ですから。ここにこだわるのは危険です。


⑥ 京都が攻撃で良い形を作れている時は相手の『ハーフスペース』を有効に使えている場合がほとんどです。しかし相手の研究が進むにつれて『ハーフスペースを極力狭くするためコンパクトに守る』『ハーフスペースへのパスコースを遮断する』などの対策がなされ、京都のハーフスペースを用いた攻撃はなりを潜めました。
僕にはどうすればそれを突破できるかわかりませんが、これを乗り越えていかないことには2020年の昇格争いはないでしょう。

今冬に加入した中川や曽根田は、広がろうが狭かろうがスペースと呼べる空間がありさえすればプレーできる上手さとクレバーさを兼ね備えた選手なので、彼らには期待ですね。

※ハーフスペースというのは相手選手3人以上を線で結んだ時にできる中のスペースといえば分かりやすいでしょうか。三角形や四角形の空洞の部分です。
ハーフスペースにいる選手に対し誰がマークに行くのかがハッキリしにくいため、そこいるだけでも相手の脅威になれます。



さいごに

前編はこれで終わりです。思ったより長くなってしまいました。
これらを踏まえて、2020シーズンはどこを継続して何を変化させていくのか、また今季の課題はどこにありそうかというのを後編で書いていこうかと思います。

ちなみに前編を書き終えた時点で後編は未着手。
クオリティも内容も前編同様に僕の気分次第です。


クオリティの保証はしませんが、今回はサッカー用語を使いすぎず、読めばなんとなく分かるようには書いたつもりです。質問とか感想とかがあれば、コメントなりTwitterなりでお受けしておりますのでどしどし送ってください。


余談 〜僕のモチベーション〜

質問でも感想でも批判でもなんでもいいです。何かしらあると次書く時の参考になりますしモチベーションにもなるので、レスポンスがあれば嬉しいですね。

サッカー未経験な上に自分の気持ちの波次第でインプット・アウトプットの量が増えたり減ったりするので、他のクラブのレビュー書いてる方やライター目指してる方ほど熱心にできないんですよね。

書きたい気持ちはあるのに「やらなきゃ!」ってなるとできないアレです。


昨季は試合レビューをたまに書いていて『いつも楽しみにしてるよ。これでビールでも飲んで。』と500円玉を頂いたことがあります。
丁度気持ちが切れて書く気がない状態だったのですが、モチベーションの種にはずっとなってて、そういうのもあって今年も色々書いてみようかなと思ってます。


モチベーションの種にビールをあげるとこうして芽が出るんですね。
たくさんのビールがあれば花が咲くかもしれません。


僕がこうして書いてるnoteは、お気持ちで支援する【投げ銭】的な制度があるらしいんですけど、僕の場合は一杯のビールがガソリンとなりモチベーションとなりますので、投げ銭よりビールを

※嘘です。ビール高いので。一言お声かけ頂けるだけで嬉しいです。

でも実は最近あまりお酒を飲まなくて、前より弱くなってます。開幕に向けてアルトレ(アルコールトレーニング)も始めなきゃいけません。

今季も自分なりにチャレンジしていきます。

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