感慨深い

過去の話をすればするほどに。

私たちには共通の職場で同僚として働いた過去があって、未だにその時の話を懐かしく楽しんで話したり。
働いた期間は1年半程度なのにとても濃い時間を過ごしたような気がする。
家庭に居場所を見いだせなくなり始めて仕事に逃げた時期、八方美人に拍車がかかっていたなと今になって思う。
一方の彼氏は単身赴任で妻子を地元に置いてあくせくと働いていた。
私たちは数少ない既婚者、そしてお互いに恋愛的な興味を持たないという安心感の元で中が良かった。
私も彼氏も意味は違えども配偶者を大切に思っていたし、横恋慕なんて考えてもいなかったし。

新婚1年目にしてモラハラの片鱗がチラつき、仕事に逃げて、仕事先では愛想笑いに八方美人。
そんな中で眼中に無いし嫌われても悪影響のない彼氏は、私にとって無表情でいても害のないどうでもいい人だった。
顔は確かにタイプど真ん中だったけど、私は一応元夫が好きで好きで仕方ない女だったのでイケメンだね()くらいしか思わなかったな。
話していて楽しいし、良い人だけど、お互いに絶対そんな気にはならないって、少なくとも私は思っていたのに。
彼氏は当時から私をタイプだと思って、そして(元)嫁に申し開き出来ない状態になるとしたら私だと思って線を引いていたらしい。
他の女性社員となんか違ったっけ?と思わず聞いてみたけど、細かく色々思っていたと。
それの筆頭は何があってもサシ飲みしたらダメとか言うから思わず笑ってしまった。
サシ飲みしたってあの時期の私は彼氏に靡かなかったと思う、これだけは確信を持って言える。
だって私は元夫だけが好きで、嫉妬に狂いがちな元夫のために大好きなお酒も封印し飲みの場にも行かないくらいだったしね。
今の私が彼氏しか好きじゃないのと同じように、彼氏が不安になるかもしれないことは排除しているように、当時の私は元夫のことだけを考えていたもので。


そんな話をする度に、本当に思うことは感慨深いもんだなということ。
少なくとも私は同僚時代の彼氏から異性として見られているとも、ましてや「タイプど真ん中、やばい」なんて思われていたなんて思ってもみなかったから。
性に潔癖で興味もないと思い込んでいたっていうのもある、だってそう聞いたからさ…
実際は単身赴任しているからこその気遣いだったけども。
元嫁さんに対する誠意の示し方として、性的なことに嫌悪感を持っているし人との肉体的な接触が大嫌いってことにしてたんだってさ。
意味がわからないよね、本当に。
でも私はそれをずっと信じていたんだから馬鹿なのかもしれない。


再会してから知らなかった彼氏を知った。
非公認セフレ時代、私は知らないことばかりで驚いてばかりだったな。
ろくでもない男に惚れたもんだと思う日もあれば、こんなに最高な男なんているか?と思う日もあった。
私に対して誠実ではいてくれた。
時間が無くて短時間でも会いに来て、私が不安定な時はそっと添い寝をしてくれるような人。
セフレだったということを認めてはくれないけれど、本気でセフレだなんて思ってなかったんだろうな…と最近は諦めている。


帰省前後はメンタルが不安定になる私のために会いに来てくれていたと言われてびっくりした。
表に出していない自信があったから。
帰ったら子供と過ごす時間も多いから連絡なんてあまり取れないし、そもそも数日間みっちりと予定を詰め込んでいる。
私はセフレなんていう関係がいつ解消されるのか、帰省したらこっちに帰る気がなくなってもう会わないまま終わるんじゃないかって、本当はとても怖かった。
彼氏的には「きい寂しがってるのかな?」なんて思っていたらしいけど、実際はそういう不安でございました。
だからこそ帰省前後(行く前日と帰った当日)は我が家で私を甘やかして過ごすことにしたらしい。
そしてそれは変わらない習慣として、不安定にならなくなった今も帰省前後は私と過ごしてくれる。


私は誰より臆病で不確かなものは信用出来ないと思ってしまう。
セフレなんてあやふやでふわっふわしたものは、彼氏と別れても二度とごめんだと思うしね。
そもそもが向いていなかった。
向いていないことを続け過ぎて頭の中がぐるぐるしてしまったんだろうなぁ。
いやはや、でも今こうしてちゃんとお付き合いして幸せにやっていけているのだからすごい。
感慨深いんだよ、色々と。
私にとって彼氏は色々とイレギュラーで、本来なら交わらない世界線の人なんだよ。
顔以外はタイプじゃない、友達としては良いけれどの典型例だった。
それが今では全部引っ括めて愛おしい存在に変わったんだから不思議だね。



隣でスヤスヤと寝ている彼氏が今日も可愛らしい。
私の隣で寝るんだし!と言って羽交い締めにしてくるのは変わらないな。
私が望んでいるのはこういう穏やかで何の特別感もない日常が長く永く続いていくこと。
もう少ししたら覚悟も決まりそうで、そうなっても良いかななんて思っている。
誰かと一緒に暮らすことはもうないと思っていたけれど、この1ヶ月くらいで随分と前向きに考えられるようになった。
もう少し、慎重になりすぎる私だけど、もう少しだと思う。


さて明日は粕汁作るぞ~
久々に酒粕使うな…最近売ってなかったんだもん。

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